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『マジェスティック』 俺のスイカに手を出す奴は生かしちゃおかねえ!

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『マジェスティック』(1974) MR. MAJESTYK 103分 アメリカ

監督:リチャード・フライシャー 製作:ウォルター・ミリッシュ 原作・脚本:エルモア・レナード 撮影:リチャード・H・クライン 音楽:チャールズ・バーンスタイン
出演:チャールズ・ブロンソン、アル・レッティエリ、リンダ・クリスタル、リー・パーセル、ポール・コスロ

 今日も夕食後にメロンを食べる。がんばって食べたがまだ半分残っている。
 さて、メロンが出てくる映画ってなにがあったかなと記憶を探るが、情けないことに何も思いつかない。途中でちょっと食べてるだけでいいんだが、観る端から忘れていってしまうわたしの記憶力はあまり役に立たない。
 ようやくと思い出したのがこの『マジェスティック』(1974)だ。ジム・キャリーが主演した同タイトルの映画もあるが、あんな駄作と比べちゃいけない。映画ファンなら『マジェスティック』といえばチャールズ・ブロンソンで決まりである。
 この映画に登場するのはスイカなので厳密にはメロンではなくウォーター・メロンだ。だが、まあ似たようなものだろう。原語のセリフでは「MELON」「MELON」って言ってるし。

 チャールズ・ブロンソンは軍のレンジャー部隊やベトナム戦争経験もあるタフな男。いろいろあって妻に離婚され一人娘とも何年も会っておらず、昨年からは160エーカーもあるスイカ農場を経営し始めた。軍人経験がまるっきり活かされていないちょっと微妙な転職だ。子供の頃からスイカ作りに興味があったとか、スイカが大好きで大人になったら腹一杯食べたいとか、そういうバックボーンはまるっきりないようで、なぜにスイカ牧場を経営しようと思ったのか謎だ。

 チャールズ・ブロンソンと言えば戦う男であった。妻と娘を襲われた復讐で街のダニどもを殺し始めたり、トップ・レディ(大統領夫人)を守るために戦ったり、白いバファローを執拗に追いつめ対決したり、メキシコ人の村と子供達を守るために盗賊団と戦う。生涯を戦いに捧げた男であった。
 だがさすがに「スイカを守るため」というのはこの作品ぐらいなものだ。悪徳労働者口入れ業者に脅されたり、留置所を逃げ出した大物殺し屋に命を狙われても、主人公マジェスティックは眉毛を軽く動かすだけで常に冷静に対処していた。だが、殺し屋とその仲間達が留守中の農場を襲い、収穫して積み上げられたスイカの山を拳銃やサブマシンガンの標的にして打ち砕いていったのを見つけたとき、マジェスティックの拳は初めて固く握られるのであった。彼にとってこの収穫が最後のチャンスだったとはいえ、スイカのために激しい怒りを燃え上がらせる主人公というのも初めてであろう。

 監督はリチャード・フライシャー。昔はリチャード・O・フライシャーと呼ばれていたが、いつの間にかOが消えてしまった。この作品でも娯楽映画として見事な手腕が発揮されている。
 悪徳口入れ業者に訴えられたために逮捕され留置所に放り込まれたマジェスティック。そして留置所には有名な殺し屋も収容されていた。その容疑者達が護送バスで他所へと運ばれるシーンが素晴らしい。場所は昼日向のメインストリート。道の両サイドにはビルが建て並んでいて、通行人が平和そうに行き交っている。そこを通り抜けようとした護送バスの前に、ストッキングで覆面をした男が立ちふさがり拳銃で運転手を射殺する。そこから殺し屋の仲間達が護送バスやパトカーを襲い始め、見事な銃撃戦が始まる。
 日常的な街並みの中で、銃声が鳴り響き車が炎上する。次々と撃ち殺される警官や悪党達。迫力満載かつリアルな銃撃戦だ。街中での銃撃戦ではマイケル・マンの『ヒート』(1995)などが有名だが、わたしは『ヒート』よりも『マジェスティック』を支持する。
 終盤の山荘での対決シーンも少人数だが緊張感があり最高。

 人気作家エルモア・レナードが脚本を担当しており、本人の手によって小説化もされた。文春文庫で刊行された『ミスター・マジェスティック』がそれだ。
 基本ストーリーや登場人物はほぼそのままに、上映時間のためなどもあって映画では省略されてしまう細部や心理描写が書き込まれている。

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