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『コラテラル』 もうっ!トム君たらぁ

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『コラテラル』(2004) COLLATERAL 120分 アメリカ 2005/05/22レンタルDVDにて鑑賞

監督:マイケル・マン 製作:マイケル・マン、ジュリー・リチャードソン 製作総指揮:フランク・ダラボン、ロブ・フリード、ピーター・ジュリアーノ、チャック・ラッセル 脚本:スチュアート・ビーティー 撮影:ディオン・ビーブ、ポール・キャメロン 編集:ジム・ミラー、ポール・ルベル 音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演: トム・クルーズ、ジェイミー・フォックス、ジェイダ・ピンケット=スミス、マーク・ラファロ、ピーター・バーグ

 トム君ことトム・クルーズが初めて悪役を演じた映画だそうだが、悪役というよりむしろ脇役。髪型もかなりな微妙さだ。
 一見はごく普通な不動産会社のビジネスマンが実は冷酷な殺し屋という設定だが、これが見事に似合っていない。トム君には悪いが冷静で頭の切れる殺し屋には見えないぞ。何故か人殺しをしなければならなくなってしまい、殺そうとする度に失敗してじたんだを踏む男なんてのは似合いそうなのだが、今回の腕利きな殺し屋役ってのはミスキャストだろう。
 じゃあ誰がキャスティングされれば良かったのかと考えると、マット・デイモンは最高の工作員ジェイソン・ボーン役ですでに失敗しているし、ヒュー・ジャックマンはちょっとごつすぎる。ブレンダン・フレイザーは最初から問題外だし、ブラッド・ピットだと登場と同時に曲者だと分かってしまう。エリック・バナ辺りがぱっと見は凡庸なサラリーマンみたいな感じでいいんじゃないだろうか。えっ、コリン・ファレル?
個人的にはまだ若くて毛があった頃のブルース・ウィリスがいいかなぁ。

 一晩の内に5人殺さなければならない殺し屋を乗せてしまったばかりに、黒人タクシー運転手が事件に巻き込まれていく「巻き込まれ型サスペンス」なのだが、主人公達の演技・芸を見せることに注意が行ってしまって、サスペンスとしての盛り上がりが乏しい。ジャズ・クラブでの会話のやり取りはスリリングだったが、ほとんどのシーンは平坦で退屈ですらある。
 トム・クルーズ演ずる殺し屋の凄みも感じられないし、いつも通り自意識過剰なんじゃないのとツッコみたくなる演技だ。善良さが取り柄で他人に文句など言えない運転手が事件の中で暴力(という程の物でもないが)に目覚めて戦い始めても盛り上がらない。
 運転手はあれこれ語るシーンが多く、特に殺し屋の名を名乗って依頼人の元を訪れるシーンでは、「上手いだろ。俺って上手いだろ」というオーラが滲み出しすぎていてうんざりする。
 監督がマイケル・マンだから抑えた演出を得意とするのは知っているが、今作の凡庸さは抑えとは違うもののはずだ。 これは想像に過ぎないのだが、現場でトム君の発言権が強すぎたのではないだろうか?それとも製作総指揮に駄ボラ野郎のフランク・ダラボンがいるせいか?
 かろうじて拳銃の発砲シーンの唐突さとリアルさ、そして夜の風景がマイケル・マンの手腕を感じさせる。派手ではないが格好いい。
 それにしてもジェイソン・ステイサムは何しに出てきたんだ。あんな使い方をするわけが分からない。ゲストってことなのだろうか。いっそのことジェイソン・ステイサムを殺し屋役にしてくれてれば、もっと面白い映画になった気がしないでもない。

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