
『ロックアップ』
(1989) LOCK UP 109分 アメリカ 1989/12鑑賞
監督:ジョン・フリン 製作:ローレンス・ゴードン、チャールズ・ゴードン 脚本:リチャード・スミス、ジェブ・スチュアート、ヘンリー・ローゼンバウム 撮影:ドナルド・ソーリン 音楽:ビル・コンティ
出演:シルヴェスター・スタローン、ドナルド・サザーランド、ジョン・エイモス、ダーラン・フリューゲル、ソニー・ランダム
刑事施設受刑者処遇法が参議院で可決・成立したそうだ。
なんでも受刑者の人権尊重がより重視されるようになり、模範囚は刑務所外への外出・外泊も可能になるとか。他にも外部への電話もかけられるようになり、模範囚にとってはかなり規制がゆるくなるようだ。
それが良いことなのか悪いことなのか、そして実際にちゃんと運営されるかなどはまた別の話として、この模範囚は外泊が可能という制度はアメリカでは以前からあったようだ。
シルヴェスター・スタローン主演の刑務所映画『ロックアップ』はスタローンが刑務所から外泊許可が出て、恋人の待つ自宅で一時を過ごしているシーンから始まる。最初は囚人が外泊できるという意味が分からず、「どーなってんだこれは」と首をかしげてしまった。1989年当時の日本人にとって囚人が外泊できるなんて思いもよばなかった。塀の外へ出られるのは刑期を終えた後か、病気や事故などで死んで棺に入って出るか、『塀の中の懲りない面々』シリーズでは確かそう描かれていたはずだ。
映画と現実とでは違うのだろうが、アメリカの刑務所映画にはいろいろと謎な点が多い。
休憩時間には中庭のグラウンドでベンチプレスをしていたり、牢屋の中に写真や絵など私物を持ち込んで飾っていたりする。比較的規則は少なく自由に過ごしているようにも見える。この作品でもスタローンは刑務所の工場を利用して車のレストアをやっている。その作業はどうも刑として課せられたものではなく、個人的な趣味でやっているようだ。そんなのありか?
自由な雰囲気の反面、囚人同士の暴力沙汰や殺傷事件などは日常茶飯事のように描かれている場合が多い。これもかなり無茶な話だと思うのだが、実際にそんなことが多発しているのだろうか。現実は現実、フィクションはフィクションとして観た方が良いのだろうな、やはり。
刑期もあと数ヶ月で完了するところで、スタローンは別の刑務所に移されてしまう。そこの刑務所長(ドナルド・サザーランド)はスタローンと因縁があり恨みを持っている人物。スタローンを無事に出所させないよう様々な方法で圧力をかけて苦しめ、ついに脱獄しようとしたところを射殺しようという考え。なんかちょっと回りくどいが、これならば大きな問題になることはない。
ドナルド・サザーランドの悪徳所長は憎たらしさが良く出ている。時々ちらっと顔を見せるだけで、登場シーンとしてはかなり短い。妙に不自然なカットもあり、ひょっとしたら撮影現場に来たのは1日だけで、サザーランドの出演シーンだけぱっぱと撮ってしまったのかもしれない。
嫌がらせ(?)を受けながらも、スタローンは不幸・負け犬系の顔でじっと耐える。そして耐え抜いた末、仲間の青年が殺されたことで脱獄することを決める。この耐えに耐えて、そしてついに立ち上がるというカタルシスが良い。この辺りはアメリカ人のクセに任侠映画っぽい作品を撮るジョン・フリンだけのことはある。
でもまあ、どうせ最後には立ち上がるんだから、さっさと立ち上がっておけば本人や周りへの被害も少なかったんじゃないかなとか思ってしまう。「ウルトラマンは変身すると同時にスペシウム光線を放てばいいじゃん」てのと同じ理屈か。・・・違うか。
何故か嫌いになれない作品だが取り立ててお勧めはしない。刑務所映画ファンとスタローンのファンなら観ておくべきか。