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『ステート・オブ・グレース』 アイルランド系の悪党ども

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『ステート・オブ・グレース』(1990) STATE OF GRACE 133分 アメリカ

監督:フィル・ジョアノー 製作:ネッド・ダウド、ランディ・オストロウ、ロン・ロゾルツ 脚本:デニス・マッキンタイア 撮影:ジョーダン・クローネンウェス 音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ショーン・ペン、エド・ハリス、ゲイリー・オールドマン、ロビン・ライト、ジョン・タートゥーロ

 主人公がショーン・ペン、ガキの頃からの友人のチンピラがゲイリー・オールドマン、そしてその兄でアイルランド系犯罪組織のボスがエド・ハリス。ナイフのような鋭い狂気を秘めた男どもがずらりと揃っている。
ショーン・ペンとゲイリー・オールドマンがギャングというのはこれまでにもあった配役だが、エド・ハリスの悪役は珍しい。これがまた格好いいんだ。最近のエド・ハリスと比べるとまだ髪もあるが、額はずいぶん上の方で天辺から後頭部にかけてハゲ。ハゲは格好悪いというのはありゃ嘘だな。エド・ハリスの髪がふさふさだったらきっとそんなに格好良くない。わたしもまだ髪は大丈夫だが、これから段々と額が後退していきそうだ。でも、「うわーい、エド・ハリスみたいになれるぞ」ってんであまり気にしていない。でもエド・ハリス=ハゲだが、ハゲ=エド・ハリスではないんだよな。

 人を殺してしまったため生まれ育ったニューヨークはウエスト・サイドのヘルズ・キッチンを離れていたショーン・ペンが、久々に街に帰ってくる。犯罪組織に入ったショーン・ペンは、恐喝や取り立てで実績を上げてエド・ハリスに認められ地位を固めていく。
そして、エド・ハリスとゲイリー・オールドマンの妹で街を離れる前の恋人(ロビン・ライト)と再開し、再び恋仲になる。
エド・ハリスがイタリア・マフィアと手を結ぼうとしヘルズ・キッチンに緊張感が漂う中、ショーン・ペンは人目を避けてある人物と密談する。
そして、ショーン・ペンの意外な正体が明らかになるが・・・

 ショーン・ペンの正体は書かないが、これまで頭の中で描いていたストーリーが一気にコペルニクス的展開する名脚本だと思う。だが、当時所属していた大学の映画研究会では「なんでショーン・ペンが○○なのか意味が分からない。あんなの卑怯だ。訳が分からない」とどう説明しても分からない奴がいた。お前の方が訳が分からないってば。
昔馴染みの悪党どもといまでは別の立場に立つ自分との間で、段々とその矛盾に追いつめられていき精神的に不安定になっていく主人公。真実を打ち明けられないことから恋人との間にも溝が生じ、親友も殺されてしまう。
そしてラスト、祭りのパレードで街がにぎわう中、ショーン・ペンはたった一人で拳銃を手に組織の拠点へと乗り込んでいく。
その理由は自らの立場や手柄のためではなく、仇討ちや愛のためでもなく、ただ「きっちりと片を付ける」ためなのだろう。なぜか『昭和残侠伝』シリーズの高倉健(健さん)を思い浮かべてしまった。

 何度か拳銃による殺害シーンがあるが、どれも突発的であっという間に終わり凄みがある。最近のジョン・ウー的に派手な銃撃戦も好きだが、ハードボイルド刑事映画には静かな銃撃戦が似合う。

 ロケを多用しており、ヘルズ・キッチンの風景がリアルに映し出される。室内では照明を最小限にし、陰影を上手く使った画作りになっている。ただ、ブラウン管や液晶では黒が生きないので映画館のスクリーンじゃないと魅力は半減してしまうだろう。

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