
『タップ』(1989) TAP 110分 アメリカ 1989年鑑賞
監督:ニック・キャッスル 製作:ゲイリー・アデルソン、リチャード・ヴェイン 製作総指揮:フランシス・サパースタイン 脚本:ニック・キャッスル 撮影:デヴィッド・グリブル 音楽:ジョエル・シル
出演:グレゴリー・ハインズ、サミー・デイヴィス・Jr、スザンヌ・ダグラス、ジョー・モートン、ディック・アンソニー・ウィリアムズ
グレゴリー・ハインズお得意のタップダンスが全編を通して披露される「タップ映画」。
一度は犯罪に走ったが刑務所での服役を終え更正を目指す主人公グレゴリー・ハインズに、昔のギャング仲間がつきまとい再び悪の道へと誘惑するなのどエピソードもあるが、まああまり気にする必要はない。
「グレゴリー・ハインズのタップめちゃすげー」という感想を持てればこの映画の94%は楽しめたということになるだろう。
夜の街で工事や車などが奏でる様々な音の中でタップを踏み始めるシーンは素晴らしい。ここだけ唐突にミュージカル映画なテイストになるが、ありだろうこれは。ひょっとしたら北野武の『座頭市』(2003)終盤の下駄タップ群舞はこれが元ネタかもしれないと勝手に思ったりもする。
主人公のタップは父親に仕込まれたものだが、その他に恩師的存在としてサミー・デイヴィス・Jrが登場する。亡くなる前年のサミーはすっかり老け込んだ様子で、『キャノンボール』シリーズ(1980、1983)のファンであるわたしには見ていてちょっとつらかった。
サミーはこれまでにない新しいタップを作り上げようとしていて、その夢を主人公に託す。音楽の伴奏付きでタップをやるとタップの音が伴奏に負けてしまう。それを解決しようというアイディアで、具体的にはタップシューズの踵にマイクを仕込み、無線で飛ばしてアンプで増幅した音をスピーカーから流すというもの。確かにこれならば楽器の音に負けない。ちょっと卑怯じゃないかとも思ったが、アコースティックな楽器だってマイクを使って音を大きくする場合があるので同じようなものだ。
監督のニック・キャッスルは『ニューヨーク1997』の脚本や青春SFの佳作『スターファイター』、『ミリィ 少年は空を飛んだ』の監督などSF系を得意とする人。『タップ』での監督・脚本としての起用はちょっと意外かも。