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『テキサス1の赤いバラ』 う~、踊る時はサイドステップ

『テキサス1の赤いバラ』(1982) THE BEST LITTLE WHOREHOUSE IN TEXAS 114分 アメリカ

監督:コリン・ヒギンズ 製作:トーマス・L・ミラー、エドワード・K・ミルキス、ロバート・L・ボエット 脚本:ラリー・L・キング、ピーター・マスターソン、コリン・ヒギンズ 音楽:パトリック・ウィリアムズ
出演:バート・レイノルズ、ドリー・パートン、チャールズ・ダーニング、ドム・デルイーズ、ジム・ネイバース

 テキサスを舞台にした楽しい上に面白いミュージカルなのだが、どういうわけか日本未公開でビデオ発売のみ。日本では今一つミュージカルは当たらないのと題材が売春宿だからだろうか。
WHOREHOUSEとは売春宿のことなので、原題を直訳すると「テキサスで最高の小さな売春宿」になる。さすがに「売春宿」じゃまずいだろうと邦題で頭を使ったのだろうが、何故に売春宿がバラになったのだろうか。ちょっと意味不明だ・・・「あっもしかしたら」とちょといやらしい考えになってしまったが追求はしない。
 ミュージカルなのだが主役の保安官はバート・レイノルズ。他にはドム・デルイーズやチャールズ・ダーニングにジム・ネイバース、大学アメフト部のイーハウ野郎どもなどおよそミュージカルに似つかわしくないオヤジ面々ばかりだ。唯一、売春宿のオーナーで保安官の恋人でもあるドリー・パートンとその元で働く売春婦たちがミュージカルらしい華やかさをかもしだしている。

 テキサスはヒューストンの郊外に100年以上もの歴史を持つ娼館があった。「チキン牧場」とも呼ばれるその娼館は犯罪の匂いやいかがわしさなどまったくない健全といってもいいぐらいで町の隠れた名所でもある。
ところがテレビで告発番組を司会しているメルビン・ソープ(ドム・デルイーズ)という男がチキン牧場に目を付けた。自分の番組で取り上げて批難糾弾し取りつぶそうというのである。
チキン牧場を守るため、町の保安官(バート・レイノルズ)はソープに直談判するべくテレビ局に乗り込んでいくが・・・

 健全な売春宿などあるはずがない。それはすべからく女性を商品にして搾取しており、女性差別の最たる物である。そんなものを感傷的に扱うべきではなく、むしろ取りつぶされて当然と思う人もいるだろう。確かにそれは正論ではあるのだが、この映画ではチキン牧場が地域社会にとけ込んでいて市民から受け入れられる明るい存在として描かれている。
実際にはそんなことはあるはずがないのかもしれないが、現実は現実であり映画は映画ということで頭を切り換えてそういう設定として受け入れて欲しい。売春宿が舞台というだけで否定してしまうには面白すぎる映画なのだ。

 主役のくせにバート・レイノルズはたった一曲、それもかなりいい加減にしか歌わない。まあ見るからに苦手そうだし無理して歌うこともない。その代わりに荒っぽくてどこか精神的に未成熟なところもあるテキサスの保安官という役柄はぴったりだ。
ドム・デルイーズのソープは名誉欲と顕示欲、出世欲のかたまりで俗物の見本みたいで、憎たらしいことこの上ない。何かというと正義を振りかざす人間はどこかうさんくさいものだが、そのうさんくささが実に良くあらわれている。
出番は少ない物のテキサス州知事を演じたチャールズ・ダーニングは意外なステップの軽さを見せてくれる。「う~踊る時はサイドステップ」と歌って踊るチャールズ・ダーニングなんてこの作品でしか見られないのではないだろうか。
そして色っぽさ抜群のドリー・パートン。本業は歌手だけあって歌が上手い、それに胸が大きい。バート・レイノルズに別れを告げるシーンで“ I Will Always Love You”という歌を歌う。この曲は聴けばわかる人が多いだろうが、後に『ボディーガード』(1992)でホイットニー・ヒューストンが歌った曲だ。一時期、結婚式などでよく使われていたが、『テキサス~』『ボディガード』両作品からわかるように別れの曲なんだがなぁ。

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