『オー!ゴッド』(1977) OH, GOD! 99分 アメリカ
監督:カール・ライナー 製作:ジェリー・ワイントローブ 原作:アヴェリー・コーマン 脚本:ラリー・ゲルバート 撮影:ヴィクター・ケンパー 音楽:ジャック・エリオット
出演:ジョージ・バーンズ、ジョン・デンヴァー、テリー・ガー、ドナルド・プレザンス、ラルフ・ベラミー
スカイパーフェクTVのスターチャンネルで『ブルース・オールマイティ』を放映していたので観る。
神様に悪態をついた男の前に本物の神様が現れ、「お前さんそう言うけれどこれでなかなか大変なんだぞ。なんならちょっと神様をやってみろや」ってんで神の力を授かってしまう。
そこから神の力を好き勝手に使っての騒動が始まるのだが、前半はハチャメチャで面白いものの後半に入ってなんだか孤独を感じたり反省をし始めたりとヒューマンになってからはかなり退屈である。悪い意味で観ている人の予想を裏切らない展開だ。
だから『ブルース・オールマイティ』については特に書くことはない。だが、ブルース(ジム・キャリー)と神(モーガン・フリーマン)が出会うシーンで『オー!ゴッド』のことを思い出した。
主人公ジェリー(ジョン・デンヴァー)はスーパーの売り場主任である。レタスの外側の皮は食べられないので剥いてから売り場に出すが、レタスが小さく見えるじゃないかと店長に怒られるような善良だがごく平凡な男だ。
そんな彼の元に一通の手紙が届く。不信に思いながらも指定されたビルのと27階2700号室を訪れたところ、ジェリーの前に自らを神と名乗る男が現れる。
ところがその男ときたら野球帽をかぶり眼鏡をかけた貧相な老人でとても神には見えない。神様の姿と言えばローブを着た白い髪に白いヒゲの老人か眩しいばかりの光の固まり、あるいはいつまでも燃え続ける柴と相場が決まっており、もちろん主人公も自称神の言うことなど信じない。
ところが、ビルを出たところでこの建物は17階までしかなかったことに気づく。
神はこのままでは人類は破滅してしまう、それを防ぐためにお前が世の中に神の存在を知らしめろと告げる。
だが神の姿は主人公にしか見えず世間に訴えようにも神が存在するという物理的証拠は一つもない。ジョージ・バーンズそっくりなその姿も(というかジョージ・バーンズが演じてるんだが)、本来は神に姿などないのだがそれではわかりにくいだろうと主人公が受け入れることの出来る平凡な格好にしたとのこと。
取りあえず「わたしは神に会いました」と新聞社に行ってみるがまともに取り合ってもらえない。当たり前といえば当たり前だ。
それでもマスコミに神の話をし続けるうちに、神の伝道者ではなく「神に会った」と主張するイカれた男としてマスコミに取り上げられるようになる。
そして神父や牧師など聖職者たちが「神がメッセージを下さるならばその相手は当然スーパーの主任などではなく自分たちだろう」と主人公を批判し始める。
果たしてジェリーは神の存在を証明することが出来るのか?
使命感に燃えるわけでもないが、頼まれたからには嫌とは言えない主人公の朴訥さが共感を呼ぶのではないだろうか。
妻や二人の子供たちも世間から笑いものにされながらも決してジェリーを否定したりはしない。だからといって頭から神様うんぬんの話を信じているわけでもない。
他の人には見えないけれど神は確かに存在している。それをどうやったら人々に信じさせることができるのか。コメディとして映画は進むが同時に困難かつ難解でもある。いや、コメディだからこそ描けた題材とも言える。
最後には実際に神様が人々の前に現れて奇跡を披露することで解決してしまうのが痛快ではあるが少々残念だ。分かりやすい奇跡とかはなしで神様の存在を証明して欲しかった。もっともそれはかなり難しいだろう。
単純にハッピーエンドにはならずちょっとやるせないラストにはぐっとくる。
「もう二度と会うことはないよ」とアフリカへと旅立っていく神様。
監督のカール・ライナーは初期のスティーヴ・マーチン主演作品群を撮っており、もともとはテレビ界出身らしい。どうもコメディアンかなにかだったようで本人がホストを務める番組も持っていたようだが詳細がちょっとわからない。
自分の作品に時折登場し、『オー!ゴッド』でも主人公が見ているテレビのトークショーにゲストとして登場する。顔を「あんたの顔は特殊メイクか」とばかりにぐにゃっと歪ませて、顔が崩れ去っていく男という面白いんだが面白くないんだかなギャグをやる。『オーシャンズ11』では11人の一人である老詐欺師として健在ぶりを示している。
ちなみに『スタンド・バイ・ミー』などの監督のロブ・ライナーはカール・ライナーの息子だ。