
『ボルケーノ』(1997) VOLCANO 106分 アメリカ
監督:ミック・ジャクソン 製作:ニール・H・モリッツ、アンドリュー・Z・デイヴィス 製作総指揮:ローレン・シュラー=ドナー 脚本:ジェローム・アームストロング、ビリー・レイ 撮影:テオ・ヴァン・デ・サンデ 音楽:アラン・シルヴェストリ
出演:トミー・リー・ジョーンズ、アン・ヘッシュ、ギャビー・ホフマン、ドン・チードル、ジャクリーン・キム
1944年1月、北海道壮瞥町のある麦畑が突然盛り上がり始めた。その隆起は止まることを知らぬかのように大きくなっていき、時折火山性の爆発を繰り返し、その爆発で極めて粘度の高い溶岩が流出してそれがさらに上へと押し上げられた。
1945年9月に活動が治まった時には標高400メートルほどの山が誕生していた。もともとの畑の標高が150メートルだったのでおよそ250メートルほどの高さである。これがいわゆる“昭和新山”だ。
このように、火山活動は浅間山や桜島など一目見て火山と分かる場所でだけ発生するのではない。火山帯が通っているところならどこでだって火山活動が始まる可能性はあるということだ。
そして、アメリカはロサンゼルス、華やかなこの街の地下にも火山帯があった。長年眠り続けてきたそれがついに目を覚ましたとしたら・・・
タイトルの『ボルケーノ(Volcano)』とは火山のこと。ストレートかつそのまんまだ。
主人公のトミー・リー・ジョーンズは危機管理局の局長。この危機管理局というのはどうやら緊急時には警察や消防よりも強い権限を持つ部署らしい。
トミー・リー・ジョーンズの苦み走った顔つきは現場から叩き上げて一流大卒のキャリアエリートを追い越して局長になったのだろうなと思わせる。もっとも、トミー・リー・ジョーンズ本人はハーバード大学出身でゴア元副大統領とルームメイトだったこともあるというから実はかなりのエリートだ。雰囲気は軍隊経験ありといった感じなのだが。
ロスの地下で起きている異変にいち早く気付く火山学者がアン・ヘッシュ。その異変と危険性についてなかなか信じてもらえないのはいつものことだが、この作品ではそこら辺のごちゃごちゃとしたことはほとんど省かれ、とっとと火山活動が始まる。火山弾も飛ぶがこの映画で一番怖ろしいのは溶岩だ。粘度が低い溶岩らしくどんどん街中に広がっていき車も建物も飲み込んで燃やし尽くしてしまう。
火山の近くに住んでいるのならば人々も心構えができているだろうが、地震すらほとんど起こらないロスに住む市民はまさにパニック状態。そこで危機管理局をはじめとして警察、消防のファイター、医師や看護師たちがそれぞれの分野で懸命な救援活動にあたる。トミー・リー・ジョーンズがメインの主役だとしたら、彼らファイターたちがもう一つの主役だ。
危険に直面してもそれを勇気で乗り越え、人々の命を守るために戦う姿は格好良く美しい。決してスーパーマンのような特別な人間ではなく、時には彼らの弱さも描かれる。だからこそ観客の心を打つ。
消防を呼びに来ただけなのに救援活動の邪魔をしたとして白人警官に逮捕されてしまった黒人が、もういいからとっとと逃げろと手錠を外されたのにそこに止まり、溶岩を足止めするためのバリケード作りに加わるところが一番好きなシーンだ。
かわりに、溶岩に襲われた地下鉄からの脱出のシーンはあまりにもあからさまな自己犠牲で好きではない。
ヒロイン的立場のアン・ヘッシュは火山学者だけに火山活動については誰よりも詳しく、トミー・リー・ジョーンズに助けられずとも自分の身を守る方法を知っている。
東洋人の女医は金持ちの夫から早く安全なところに逃げろと言われても、前線の救助センターでの救急医療を放棄しようとはしない。
彼女らはいわゆる古典的ヒロインではなく男性と並んで同じように戦う現代的なヒロインである。
だがそれだけでは物足りないと思ったか、主人公に依存して守られる立場の登場人物として彼の娘が登場する。娘はすでに離婚した妻と暮らしていて、たまたま主人公のところに遊びに来ていたのだ。
ロスに起きている異常に気付いて休日返上で出かけようとする主人公に文句を言うし、留守の間に娘の面倒を見てくれる人を頼むと「わたしはもうベビーシッターが必要な年じゃないわ」と言う。火山活動が本格的になってからもあーだこーだとぶーたれていて、かわいくないことこの上ない。いなくても良かったんじゃないだろうか。
例によって犬が出てくるがこいつは無事。で、飼い主は「良かったね~、良かった~」と大声で騒ぐ。目の前で自宅が盛大なキャンプファイヤーと化しているのにそれどころじゃないだろって気がするが。
わたしも犬は好きだし猫も飼っていたことがあるが、自分が生きるか死ぬかという状況になったら犬はロープこそほどいて自由にするぐらいで、後は放ったらかしてとっとと逃げるぞ。いくら可愛くても犬はしょせん犬だしな。
この作品では獣医さん達も活躍していて、怪我をしたペットたちをボランティアで手当てしているのがテレビに映し出される。しかし、動物を手当てできるんなら人間の手当も出来るだろうから、人手の足りない医療センターを手伝った方がよくないか?瀕死の重傷や大怪我を負った人が次々と担ぎ込まれてるんだしさぁ。