『オズ』(1985) RETURN TO OZ 110分 アメリカ 1986/03頃鑑賞
監督:ウォルター・マーチ 製作:ポール・マスランスキー 製作総指揮:ゲイリー・カーツ 原作:L・フランク・ボーム 脚本:ウォルター・マーチ、ギル・デニス 撮影:デヴィッド・ワトキン 音楽:デヴィッド・シャイア
出演:フェアルーザ・バーク、ニコル・ウィリアムソン、ジーン・マーシュ、パイパー・ローリー、マット・クラーク
引っ越しの際に古い荷物の中からバッチが出てきた。
最初は横に見ていて、「O・・・N?なんのこっちゃ。往年のジャイアンツか?王と長島でON砲とかいってたもんな」と首をかしげていた。で、首をかしげたことで向きが90度横になり“ON”ではなく“OZ”だと判明した。
OZ、オズ、あー『オズ(RETURN TO OZ)』の前売り券のオマケでもらったヤツだ。多分。
傑作ミュージカル映画『オズの魔法使』(1939)のラストで魔法の靴によって無事カンザスに帰ったドロシーだったが、その後日談にあたるこの『オズ』の冒頭では病院に入院している。
「えっ、ドロシーはどっか身体を悪くしちゃったの?」
と心配される方もいるかも知れないが、安心して欲しい。彼女の肉体はすこぶる健康である。
だって入院しているのは精神病院なのだから・・・
ドロシーは幼くして両親を亡くし、叔父夫婦の元で育った夢見がちな少女。
そんな少女が竜巻の後で何日間も行方不明になってしまった。ようやく帰ってきたと思ったら自分はオズという魔法の国に行って、そこでカカシやブリキの木こり、そしてライオンと一緒に旅をして悪い魔女をやっつけたと真剣に話しそれを信じ込んでいる。
ひょっとしたらこの少女は悪人に拉致監禁されるかして心に深い傷を負ってしまい、幻想的な架空の話を作り上げそこに逃げ込むことで逃避しているのではないか。叔父夫婦から相談された精神科医がそう考えたとしてもおかしくない。
色彩に欠け重苦しい病院に閉じこめられたドロシー。医師も看護婦も怖ろしげで、彼女の言うことに聞く耳さえ持たない。そして彼女はある嵐の晩に病院を抜け出した。激しい風雨の中で意識を失った彼女が気がついたときはなんとふたたびオズの国にいたのであった。
だが、以前の美しく色鮮やかだった風景はすっかり荒れ果て、悪いモンスターがうろつく世界と化していた。
どうやら地下に王国を築くノーム王が地上侵略を始めたらしい。果たしてドロシーは美しかったオズを取り戻せるのか?
子供時代にテレビで放映された『オズの魔法使』(1939)が好きだったので、この作品は気合いを入れて観に行ったのだが、いきなりな冒頭にかなり唖然としてしまった。
『オズの魔法使』(MGM)と『オズ』(ディズニー)とでは製作会社自体が違うのだが、作品としてもほとんど関係はなく『オズ』は『オズの魔法使』の続編ではない。
では、何作も書かれている原作小説の二作目を映画化したのかというとこれまた違う。中学一年生の時に虫垂炎いわゆる盲腸の手術で一週間ほど入院しているときに、何故だか早川書房から出ている文庫版で5、6作目まで読んだ。原作は後になるほどオズが理想的社会主義国っぽくなっていく基本的にお気楽路線で、『オズ』の重苦しさはない。
小説にもノーム王は登場するしその弱点も同じで、他にもかぼちゃ頭のジャックなど共通する登場人物は多いが全体の雰囲気としては別物だろう。
もっとも、原作を読んだのが遥か昔なので記憶違いをしているかもしれないが。
岩で出来ているノーム王を表現したのが粘土をコマ撮りして動きを表現するクレイアニメーション(クレイメーション)という技法。
劇場版『クレヨンしんちゃん』シリーズのオープニングなどでお馴染みで、技術としては1900年代初め頃からあったそうだが、わたしの印象に残っているのはこれが最初である。ひょっとしたら古い技術ということで使われなくなっていたのが再評価されだしたのかもしれない。
ドロシーはノーム王を倒しオズの国に平穏を取り戻す。そこまではいいのだが、その後に「なんだそりゃ」といいたくないようなこれまた重苦しく鬱っぽいラストを迎える。
まあ今になって思うと『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』とかぽかったかもという気もする。