珍しくスーパーのお菓子売り場をうろついていたところ、伝説のアイテムを見つけてしまった。
そう、『前田のクラッカー』だ。
『前田のクラッカー』といえば前田製菓株式会社のヒット商品だ。同社がスポンサーだったテレビ喜劇『てなもんや三度笠』(1962~1968)で主人公の侍あんかけの時次郎(藤田まこと)が襲いかかる悪党数人を打ち倒し、「俺がこんなに強いのも、当たり前田のクラッカー」と口上を述べるCMが有名だった。
さすがにこの番組はリアルタイムで見てはいないが(というかまだ生まれてない)、1990年頃にビデオ化されたことがあり、レンタルして見たことがある。関西発な番組だけあって吉本新喜劇風というか、NHKのクソ番組『コメディお江戸でござる』を1273万倍ぐらい面白くした感じでなかなか面白い番組だった。
財津一郎の「ひじょーにキビシーッ!」のギャグもこの番組で生み出されたんだそうだ。
「何だ、前田のクラッカーは普通に店で売ってるよ」という方もいらっしゃるかもしれない。
だが愛知県では、もうちょっと地域を狭めると知多半島では売ってるのを見たことがない。関西色の強い『てなもんや三度笠』からも分かるとおり、前田製菓は大阪は堺市の会社なので関西での勢力は強そうだ。で、愛知県ではちょっと苦戦していたのかも。
だけど、10年ほど前には愛知県のAMラジオで前田製菓のCMが流れていたな。藤田まことが「俺がこんなに強いのも、当たり前田のセサミハイチ。最近はこれですわぁ」というやつ。でも、肝心のセサミハイチを売り場で見たことはなかったなぁ。
こんな具合にある土地ではごく普通に売っている物が、他所に行くと全く見かけないなんてことは案外あるのだろう。狭いようで日本もそれなりに広いのだ。それによってちょっとしたカルチャーギャップも生じる。
そのカルチャーギャップについて「白みそのみそ汁なんて飲めるかよ」、「赤だしは貧乏人のみそ汁だよな。塩辛くておかずなしでもご飯がすすむ」といった具合に相手をけなし合うのも一つの対処法だが、それを面白おかしく楽しんじゃうってのもありだ。あんまり楽しみすぎると「あんた、馬鹿にしとんのか」と土地の人に怒られるがな。
ちなみに引っ越してきて一番驚いたのは『前田のクラッカー』ではなく、鮮魚売り場にあった『げんげ』という魚だ。ナマズを小さくしたような、いやいやハゼのウロコを取ってぬめっとさせたような、ドジョウを思いっきり太らせたような、こう見るからにぬめっとしてぬるっとしてぐにっとした奇妙な魚だ。好きな人には悪いがどう見ても美味そうではない。
日本海側では割と普通に売られているんだそうな。太平洋側で育ったわたしにとってこんなのもちょっとしたカルチャーギャップだ。