
『ティアーズ・オブ・ザ・サン』(2003) TEARS OF THE SUN 118分 アメリカ 2003/10/28鑑賞
監督:アントワーン・フークア 製作:イアン・ブライス、マイク・ロベル、アーノルド・リフキン 製作総指揮:ジョー・ロス 脚本:アレックス・ラスカー、パトリック・シリロ 撮影:マウロ・フィオーレ 編集:コンラッド・バフ 音楽:ハンス・ジマー、リサ・ジェラード
出演:ブルース・ウィリス、モニカ・ベルッチ、コール・ハウザー、イーモン・ウォーカー、ジョニー・メスナー
海軍特殊部隊シールズによるジャングル戦は面白かった。間隔を開けて斜め一列に並んだ兵士たちが、前の者から順繰りに後ろに下がっていってまた戦列を組むという敵に隙を見せない後退の仕方などがリアルっぽくていい。
だがストーリーとしては妙にストレスの溜まる物で面白くない上に爽快感もない。
ナイジェリアの内紛でアメリカ人をはじめとする外国人やキリスト教徒の虐殺が始まった。当地で医療活動を行っているアメリカ人女性医師を救出するためシールズが送り込まれる。だが、医師は他の人も連れて行かなきゃ駄目だと同行を拒否する。
もうね、この時点で医師を縛り上げて無理矢理引っ張ってきゃ良かったんだよ。他のナイジェリア人達はどうするのつったって、そんなもん連れて行けるわけないだろうに。ナイジェリアにアメリカの軍隊が乗り込んでアメリカ人を救出こと自体が本来はかなりヤバいというか国際的には問題もあるわけで、そんなのが平気でまかり通るならば日本だって自衛隊を北朝鮮に送り込んで拉致された日本人を救出していいってことになる。でも、そんなことやったら泥沼だわなぁ。まあ現状もある意味泥沼だが。
ナイジェリア人を置き去りにして医師だけを乗せてヘリコプターが飛び立とうとするときに、この医師は隊長(ブルース・ウィリス)のことを散々罵倒し唾まで吐きかける。
あのね、特殊部隊の連中は命がけであんたの救出活動をしてるんだっつーの。任務内容はアメリカ人を救出することで命令にないことは出来ないし、ナイジェリア人を国外に連れ出したら内政干渉になるんじゃないのか。
わがままも大概にしろというか、この医師にはまるで同情できないしそれから隠していることがあるならとっとと言えよ。あーもう、イライラするなぁ。「もう30時間も歩いてるのよ」って休憩している場合か。国境を越えればいくらでも休めるんだからとっとと歩け。
ブルース・ウィリスたちもプロの軍人ならばプロの軍人を貫いてくれればいいのだが、途中から妙なヒューマニズムに目覚めてくるし。でも結局はアメリカの立場でのヒューマニズムなんだよな。だいたい、ブルース・ウィリスは部下の兵士に対する責任もあるわけだがそこら辺はどうなのよ。軍人だから危険は覚悟の上だろうが、任務外の不必要な行動で部下を命の危機にさらすってのはまずいだろ。部下達は「隊長は間違っていません」と従ってるが、一人ぐらい不平を唱えたり反旗を翻しても良いだろうに。それとも任務外の行動でも上官は絶対なのか。
アフリカにおけるアメリカ軍特殊部隊の活動というと他には『ブラックホーク・ダウン』がある。
徹底したアメリカのエゴに基づいて作られている『ブラックホーク・ダウン』に対して、『ティアーズ・オブ・サン』は中途半端にアフリカ人に対する同情の視点がある。それだって上辺だけの通り一辺倒な同情で深く問題に踏み込んだものではない。娯楽としても社会派としても中途半端。
ストーリーなど無視してジャングルでの戦闘シーンを楽しむのが吉かも知れない。