『スペースインベーダー』(1986) INVADERS FROM MARS アメリカ 101分 1986年鑑賞
監督:トビー・フーパー 製作:メナハム・ゴーラン、ヨーラン・グローバス 脚本:ダン・オバノン、ジョン・ジャコビー 撮影:ダニエル・パール 特撮:ジョン・ダイクストラ 音楽:クリストファー・ヤング
出演:カレン・ブラック、ハンター・カーソン、ルイーズ・フレッチャー、ティモシー・ボトムズ、ラレイン・ニューマン
昨日から首の後ろ側のほぼ中心に直径が一円玉大の腫れ物ができている。中がしこりのように堅く、軽く押さえただけで痛い。虫に刺されたとかではないようだがさて原因にまるで心当たりがない。ひょっとしたら本人が気づかぬまま地球侵略を狙うインベーダーに体と心を乗っ取られたのか?そう、映画『スペースインベーダー』に登場する主人公の両親や学校の先生のように。
ある夜、少年は丘の向こうに光り輝く物体が下りていくのを目撃するが、そのことを両親に話してもまともに相手にしてもらえない。様子を見に行った父親は戻ってきて何もなかったと告げるが、少年はそんな父親に奇妙な違和感を感じ、さらには父親の首筋に火傷の痕のような印を見つける。
そして父親だけではなく母親、そして学校の先生の先生までどこか別人のように変わってしまい、その首筋には傷跡があった。街の人間がどんどんおかしくなっていく中、少年は数日前に見たあの夜空の光が遠い星から地球を侵略しにやって来た宇宙人の宇宙船だったことに気づく。
果たしてこのまま静かな侵略によって地球は乗っ取られてしまうのか?
何故だかわからないが親がこれまでと別人のように感じられるというのは、思春期の不安定な青少年の心にありがちな動きを描いているのかもしれない。これは男の子よりも女の子の方が強いだろう。これまで仲が良かった父親のことを、ある日突然汚らしく思えてしまい、距離を置くようになってしまうという話は時々聞く。
だが、オリジナルの『惑星アドベンチャー/スペース・モンスター襲来!』が作られたのは1953年だと聞くと、そこには“赤狩り”の姿も見えてくる。共産主義者あるいはそうだと思われる人物が告発され弾圧された赤狩りは1940年代に始まり1950年代後半まで続いている。自分の家族や親しい知人がある日気づくと共産主義者になっていたという恐怖を宇宙人に置き換えたのが『惑星アドベンチャー』の真の姿だろう。
同じような共産主義者を宇宙からの侵略者に置き換えた作品としてはドン・シーゲル監督の『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』(1956)がある。ロバート・ロドリゲスの『パラサイト』(1998)でSFマニアな少女がジャック・フィニイの『盗まれた街』やロバート・A・ハインラインの『人形使い』を引き合いに出して古典への敬意を表している。
『パラサイト』では他国、他民族などによる侵略といった裏の意味はほとんどなくなっているが、『スペースインベーダー』ではまだそれとなく残っている。なんと言っても製作が反共・反イスラムのイスラエル人メナハム・ゴーランだ。後半に登場する宇宙人がイスラム服を着ていないのが逆に驚きかもしれない。
宇宙船内部のセットや、中に入っている人はかなり無茶な体勢だろうなという宇宙人の着ぐるみがなかなか良くできている。SFX担当がジョン・ダイクストラだけのことはある。
わたしとしては巨大な砂地で、上を歩く兵隊がくるくるっと回って地面に吸い込まれていくところが好きだ。あとはカエルの一気飲みとかかな。
行動を共にする保険医(カレン・ブラック)は当時美人だなと思っていたのだが、今見るとただのオバさんだ。