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『ナショナル・トレジャー』 実はルパン三世

『ナショナル・トレジャー』 (2004) NATIONAL TREASURE 131分 アメリカ 2005/3/26鑑賞

監督:ジョン・タートルトーブ 製作:ジェリー・ブラッカイマー、ジョン・タートルトーブ 原案:ジム・カウフ、オーレン・アヴィヴ、チャールズ・シーガース 脚本:コーマック・ウィバーリー、マリアンヌ・ウィバーリー、ジム・カウフ 撮影:キャレブ・デシャネル 音楽:トレヴァー・ラビン
出演:ニコラス・ケイジ、ハーヴェイ・カイテル、ジョン・ヴォイト、ダイアン・クルーガー、ショーン・ビーン、ジャスティン・バーサ、クリストファー・プラマー

 『インディ・ジョーンズ』シリーズのようなトレジャーハント冒険物を期待していくと肩すかしを食うかもしれない。
オープニングの北極のシーンで200年前から氷の下に眠る一隻の木造船を発見する辺りはそれっぽいが、アメリカに戻ってからは遺跡などほとんど登場しない。目玉であるアメリカ独立宣言書を盗み出すシーンも近代的防犯設備が整ったアメリカ公文書館への侵入である。
うーん、この雰囲気はどっかで観たような・・・あーっ、ルパン三世だっ!間違いない、これはルパン三世だろ。
ニコラス・ケイジ演ずるゲイツはもちろんルパン三世、相棒で皮肉屋なハッカーは次元大介、最初は敵でも味方でもない美人博士アビゲイルは峰不二子、ゲイツを追いかけるFBIの捜査官ハーヴェイ・カイテルは銭形警部だ。おお、キャラクタがぴったり合致する。残念なことに五右衛門がいないが。
様々なハイテク機器を利用しての盗みのシーンや様々な謎解きなど、実にルパン三世劇場版ないしスペシャル版向けの素材である。脚本に少し手を加えるだけでそのままルパン三世で使えてしまうのではないだろうか。

 財宝の謎を解くためには独立宣言書を盗み出さねばならないとなったときに、ゲイツは強く反対して結果スポンサーであるイアン(ショーン・ビーン)に裏切られ殺されかかってしまう。相手がショーン・ビーンだから登場した時点で「ああ、こいつは裏切るんだろうな」と分かってしまうのはともかくとして、その後なんとか助かったゲイツが「独立宣言書が盗まれるのを防ぐには俺が先に盗むしかない」となってしまう思考パターンがよく分からない。
そりゃ、そうしないと物語が進んでいかないんだが、独立宣言書を盗み出しそこに隠された手がかり(clue)から次のアイテムを探して財宝に迫ろうというのならばイアン側とやろうとしていることは同じだ。そもそも仲違いして敵味方に分かれたのは、単純に「映画には敵役が必要だよね」というアイディアにすぎない気がする。

 公文書館に侵入するシーンでゲイツは閉ざされた扉とキーボードを前にアビゲイルが使っているパスワードの解明を試みる。結果、パスワードはアメリカ独立に関して大きな意味を持つ渓谷の名前だったのだが、そんなセキュリティ意識の低いパスワードを重要な所で使うべきではない。銀行の数字4桁のパスワードだって、生年月日や電話番号などの個人情報から推測できる数字にしないで、なるべくランダムな意味のない物にするのが当たり前だ。
パソコンやインターネットで使うパスワードだって例えば「EIGABAKA」なんてバレやすいのを使っていたらこれはクラックしてくれと言わんばかりではなはだセキュリティ意識が低いと言わざるを得ない。
セキュリティの担当者もそこら辺を利用者にちゃんと説明しないといけないと思うのだが。

 次の場所への手がかりとして「STOW」(だったかな)というキーワードが浮かぶ。ゲイツらはより詳しい情報を持っていたので先にその場所へ行ったが、イアンたちには決め手がない。そこでどうするかというとノートパソコンでインターネットに繋いでYahoo!で「STOW」を検索するのだ。うーん、便利な時代になったねぇ。
というか、そんな特殊かつ重要なデータがネット上にほいほいあるとも思えないし、そもそもYahoo!アメリカで「STOW」を検索してみたところ「Results 1 - 10 of about 1,770,000」となったんだが。検索結果が177万件って・・・君ら複合検索ぐらいしろよ。
これでどこをどうやったんだか知らないが、イアンたちはちゃんと次の自由の鐘のシーンに登場する。なんかもう、ゲイツが知力を振り絞って繰り広げる様々な謎解きも、Yahoo!とGoogleがあればネットで検索すれば案外簡単に解けるんじゃないだろうか。

 アメリカ独立宣言書が収められた公文書館にベンジャミン・フランクリンの手紙、自由の鐘などなどアメリカの歴史的事物を巡る観光映画でもある。
登場人物がしきりに「200年も前の物だ」「大変に古い」などと驚いているが、1000年以上前の木造建築物がしっかり残っている日本の人間からすると「たかだか200年前か」とちょっと思ってしまう。4000年の歴史を持つと言われる中国の人が見たらさらに「だから?」だろう。
メインのお宝であるソロモン王の秘宝にしても、アメリカが作り出したわけではなく、昔どこかから盗んできたのをまた盗んでさらに盗んできた物だ。元の持ち主に返せよって気もする。

 意味ありげにフリーメーソンの存在がちらつかされるが、それっぽさを出すための色づけにすぎないようで大して関係がない。
ただ、ハーヴェイ・カイテルが何故ラストにあのような行動に出たかは、彼がはめている指輪のアップで察することが出来る。それぐらいか。

 ディズニー映画だけあってか、ほとんど人が死なない。銃で撃たれるシーンもあるが人間には一発も当たらない。このままだと一人も死なないかと思っていたが後半で数人が死ぬ。それでも決して死体は見せない辺り、子供も見ることを考えに入れているのだろう。
傑作ではないしアクション大作でもないが、推理を中心として子供と一緒に楽しめる映画にはなっていると思う。

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