『ターミネーター2:3-D』からちょっと歩くとすぐに『アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド』に到着。
入り口にいる係員いわく「90分待ちです」とか。くわっ!しかしせっかく来たのに一番のお目当てを見ずに帰るわけにもいかない。待つのは覚悟の上で建物に入る。とたんに人の山に驚く。うわっ人口密度高っ!パイプで出来た柵で列が区切られておりその通路に沿って奥へと進む。
すると、引き返してくる人とすれ違った。トイレでも行くのか?と、またすれ違う。何なんだこの人たちは?と思いながら次の部屋に入る。これまたうわっ!それなりに大きな部屋が人で一杯だ。最初の部屋と合わせて何人いるんだ。わたしは日本野鳥の会会員ではないのでとっさにカウント出来なかったが、第一待合い室とこの第二待合い室で1,000人はいるのではないだろうか。
そうか、引き返してきた人はこの混雑振りを見て諦めたと言うことか。ふふふ、まだ青いな。世の中、並びたくなくても行列しなければいけない時は必ずある。戦中戦後の配給、闇市での買いだし、『ゴジラ』第一作目の入場待ち、それに月から持ってきたという以外にさして付加価値のない石ころを見るために何時間も並んだ我々日本人ではないか。
まあ、わたしはどれも並んでないし、並ぶのが嫌いなんで行列が出来るラーメン屋なんて絶対行きたくない。それはそれとして90分ぐらいなら本でも読んで時間を潰せばいい。ちゃんとそのために文庫本をポケットに入れてある。
ロバート・ラドラム著『殺戮のオデッセイ(上)』 原題は『THE BOURNE SUPREMACY』。そう、現在公開中の映画『ボーン・スプレマシー』(2004)の原作である。
原作というか原案というか、一作目の『ボーン・アイデンティティー』からして原作の小説とはほぼ別物なのだが、『ボーン・スプレマシー』ははっきりと別物。あまりに違うんで「原作どんなだっけ?」と本棚の奥から約20年振りに引っ張り出して読み返している次第。
香港返還がまだ将来の出来事だったり、テロリストのカルロスことイリッチ・ラミレス・サンチェスがまだ逮捕されずに活躍していた時代を舞台にした小説なので大幅に変更が必要だったのは認めよう。ヒロインであるマリーが経済学者からフリーターに変更になったのもまあ許そう。
しかし、主人公が唯一心を許す相手でシリーズを通して彼を支え続けるマリーが、『ボーン・スプレマシー』の開始早々で「あれ」されちゃ駄目だろ。寅さんじゃないんだから、無理に毎回新しいヒロインを出さなくたっていいだろうに。
てなことを考えながらまだまだ続く通路を進んでいく。あれ?また部屋を出るのか?ってことは第待合い室があるのか、うわ~と扉をくぐったら屋外だった。テント張りの屋根こそある物の衝立のような壁から容赦なく風が入ってくるので寒い。すでに待合い“室”ですらないのだ。
そこに柵でジグザグに仕切られて並んだ人がこれまたどう見ても500人以上。並ばずに引き返してきた人はこれを見て諦めたのだろう。わたしもその気持ちが少し分かったが、末尾に陣取ると『殺戮のオデッセイ』を読み始めた。
行列はゆっくりゆっくりと前に進んでいく。このテント待合い室では柵が掲示板状になっていてスパイダーマンを始めにしてドクター・オクトパスやハイドロ・マンなど登場人物が紹介されている。ヴェノムってのは映画三作目の敵で出るんじゃないかって奴だな。
数十分後ようやく屋内に入る。そこからはピーター・パーカーがカメラマンとして務めるデイリービューグル社という設定になっているらしい。何カ所にも設置されたテレビでは紹介ビデオが流され、わたしたちは新聞社を“スクープ”という最新の取材用車両を見学に来たのだと分かる。
ところが、折しもニューヨークの街をドクター・オクトパスを首領とする悪党どもが襲い、なんと反重力銃で自由の女神を奪い去ってしまったというではないか。取材記者の数が足りないため一計を案じたジェイムソン編集長はわたしたちを臨時の記者としてスクープで送り出すことにする。
ちなみに報酬として新聞をタダでくれるそうだ。ただし日曜版は除くとのこと。とほほ・・・
ともあれ悪党どもとスパイダーマンの戦いを取材するために、3-D眼鏡を手にわたしたちはスクープでニューヨークの街に出撃していくのであった。
『アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド』はスクープというライドに乗ってニューヨークの街中を駆けめぐるといったアトラクションだ。
スクープは4人3列の12人乗り。わたしは一番前列の右端だった。やはりこの手のは最前列に限るのでうれしい。乗り込むとキャノピーが閉められ、そしてごごんとスクープが発進する。スクープは曲がったり持ち上がって落ちたり、時にはぐるぐると回転までする。横Gがなかなか強かった。前にあるレバーをしっかり握っていないとちょっと怖い。
ニューヨークの街はセットでそこに映写機で立体映像のスパイダーマンたちが写し出される。これがどうやっているのかがちょっと分からない。背景のセットが見えるのだから、単純にセット内にスクリーンを張ってそこに映しているのではないだろう。透明な透過型スクリーンかとも思ったが、わたしたちの乗ったスクープは移動し続けているわけだからそれも違うだろう。スクープのボンネットにスパイダーマンが飛び乗るシーンもあるし、ひょっとしたらフロントガラスにヘッドアップディスプレイスタイルで上映しているのだろうか。でもそれだと後部座席の人がなぁ・・・謎は深まるばかりである。
スクープの中でぐわんぐわん振り回され、ハイドロマン登場のシーンでは小さな水滴が降ってきて、炎が燃えるシーンでは熱風が吹いてくる。うーむ、これはあれだ、洗濯機と乾燥機で洗われた洗濯物の気分なのかもしれない。
そしてスパイダーマンが悪党どもを捕まえてアトラクションは終了。最後にスパイダーマンが写真を撮ってくれ、それは出口の所で希望者は実費を払えば購入することが出来る。いい年したおっさんが一人で乗った写真を買ってもしょうがないのでそのまま通り過ぎたので金額は不明。
撮影時のカメラ位置はライドの前方右上側からなので、「わたしは写真に写るときはこの角度からと決めてるのよ。これが一番やせてて可愛く見えるのっ!」という方は参考にしてください。
でもスパイダーマンはひょいと上から出てくるなり何の予告も無しでシャッターを切るのでタイミングを計るのは難しいかも。
『スパイダーマン』のライドに乗っていた時間は5分ちょっとだろうか。10分はなかったと思う。建物から出たところで時計を見たら待ち時間を含めた所要時間は2時間ちょっと。90分待ちどころじゃねーじゃん。
アトラクションとしては移動系のライドと3-D映像の組み合わせが新しかったが、残念なのが登場人物たちがサム・ライミによる実写映画の方ではなくアニメだったことだ。
スパイダーマンはアニメ絵でも実写でもそんなに変わらないんだが、悪党どもは服装などがかなり間抜けっぽい。『スパイダーマン2』で大暴れしたドクター・オクトパスはアニメ(原作のアメリカンコミック)だと黄色いタイツ姿にヘヤースタイルは坊ちゃん刈りなのだ。かっちょわりー。
なんとか実写で撮り直すか、せめて『アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ジ・アニメーション・ザ・ライド』に名前を変えてくれ。長いけど。