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『フォートレス』 夢見ることさえ許されない

『フォートレス』(1992) FORTRESS アメリカ 95分

監督:スチュアート・ゴードン 製作:ジョン・デイヴィス、ジョン・フロック 製作総指揮:グレアム・バーク、グレッグ・クート 脚本:スティーヴン・フェインバーグ、トロイ・ネイバーズ、デヴィッド・ヴェナブル、テリー・カーティス・フォックス 撮影:デヴィッド・エグビー 音楽:フレデリック・タルゴーン
出演:クリストファー・ランバート、カートウッド・スミス、ローリン・ロックリン、クリフトン・ゴンザレス・ゴンザレス、リンカーン・キルパトリック

“分かってる”B級映画監督のスチュアート・ゴードンによる近未来刑務所映画。
護送車の中で刑務所のすぐ側まで来た告げられるが周りに広がるのは荒野だけで、「どこに刑務所があるんだ。三十階建てなのに見あたらないぞ」と囚人が不安を口にする。実は三十階建てと言っても地下三十階なので地表には車が入っていく出入り口があるだけ。吹き抜けにシャフトが伸びた地下刑務所のセットはSF色を高めているし、出入り口が一ヶ所というのは刑務所の警備面に関する設定にもかなっている。そしてなにより、屋外セットを最低限に抑え制作費や製作日数を節約につながっている。分かってるな、ゴードンは。
『ウェドロック』(1991)の囚人は爆弾搭載の首輪をかせられていたが、『フォートレス』ではあめ玉大の監視装置を飲み込まされる。監視装置は胃袋に定着し刑務所を管理しているマザーコンピューターに常時囚人の位置を知らせて管理するようになっている。規則違反者には制裁として激しい痛みを与えたり、例によって禁止区域に立ち入ったりすると爆発する仕組みだ。首輪だと腕の良い技術屋が何とかして解体も出来るが、胃袋の中では外科医でもいないことには取り出せない。
胃袋管理装置やマザーコンピュータの監視カメラで監視され、さらには脳波スキャンで寝ている間の夢さえ禁止される内に囚人たちは人間性を失い、自分させよければいいと野獣のようになっていく。そんな中、主人公のクリストファー・ランバートは同じ刑務所内に妻が収容されていることや老囚人の言葉によって理性を保ち、所長による脳波スキャンの精神攻撃で一時は廃人になりながらも復活し、ついには脱獄を企て始める。同房の4人が次第にクリストファー・ランバートに共感し始め仲間になっていく様が良い。だが、その4人の結末は・・・いや言うまい。
刑務所長(カートウッド・スミス)のことを単なる悪人にせず、スキャンし映像化されたクリストファー・ランバートの夢を見たことでその人生を疑似体験し、それによって自我に目覚め自分が刑務所システムの一部であることとある女性への愛情の境界で悩む存在としているのは面白い。表の主役がクリストファー・ランバートなら裏の主役がカートウッド・スミスだろう。
牢屋の格子がレーザー光線だったり、所長の椅子の肘掛け部分にに左右分割で付いたキーボード、データが収集された宝石型の結晶体や苦肉の策でのそのデータ呼び出し方法、終盤になって唐突にワラワラと登場するクローン兵士などちょっとしたアイディアがうれしい。

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