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『超能力だよ全員集合!!』 新人の志村けんは精彩に欠ける

『超能力だよ全員集合!!』(1974) 90分 2005/01/08WOWOW放送を録画にて鑑賞

監督:渡辺祐介 製作:沢村国男 原作:渡辺祐介 脚本:渡辺祐介、田坂啓 撮影:荒野諒一 美術:重田重盛 音楽:青山八郎
出演:いかりや長介、加藤茶、仲本工事、高木ブー、志村けん、長山藍子、伴淳三郎、由利徹、東八郎、たこ八郎、玉川良一、夏八木勲、フィンガー5

松竹『全員集合!!』シリーズの第13作目。主演のザ・ドリフターズから荒井注が脱退したため、付き人だった志村けんが今作からメンバーに加わった。
ユリ・ゲラーによる超能力ブームが世界中に吹き荒れる中、そのブームにちゃっかり乗って作られた作品である。ちなみに同年1974年にはユリ・ゲラーは初来日しており、実にどんぴりゃりなタイミングとなっている。
もっとも、“超能力”と映画のタイトルに付いてはいるものの、別段それらしい超能力者が登場するわけではない。記憶喪失の若者(加藤茶)が書いた詩がたまたま予言として的中するが、これは超能力というよりもむしろ前年1973年に発行されこちらも大ブームとなった五島勉の『ノストラダムスの大予言』からのいただきだ。
それにしても、超能力ブームに『ノストラダムスの大予言』とは、1970年代前半はいったいどんな時代だったのだろうか。わたしは幼かったので記憶にないが(もっとも最近のことだって憶えちゃいないが)、皆が心のどこかで不安を感じていたのだろうか。
この青年の予言に驚いたインチキ易者(いかりや長介)が青年のことを宇宙から来た宇宙人だと言い出し、青年を教祖に仕立てて新興宗教を興そうと企て始める。今度は宇宙人に新興宗教ときたものだ。もうあやしげな要素てんこ盛りで、果てさてどうなる物かと思っていたら、そんな話の筋道は途中でどこかへ行ってしまって、結局はいつもの通りのいかりやによる加藤茶イビリに行き着いて逆にホッとしてしまう。ふうっ、このまま『教祖誕生』(1993)になってしまうのかと思った。
不動産屋の社員役の志村けんは精彩に欠けセリフ回しも上手ではない。そしてこの映画はスター映画・アイドル映画の分類になると思うのだが、なによりその主演者としての輝きが焼鳥屋のオヤジ高木ブーよりも劣っている。ザ・ドリフターズの四人と脇役の一人といった具合である。ただ、不動産屋の社長(仲本工事)と一緒に有名易者の用心棒にこてんぱんに叩きのめされた上に玄関から放り出されたシーンでの、「社長、負けた時のポーズはこうするの」でのみょうちくりんな仕草がなかなか良く、その後の活躍の予感が見て取れる。
時折登場する伴淳三郎、由利徹、東八郎などの名人芸が画面をにぎわせる。中には「ハヤシもあるでよ」で有名な南利明の姿もある。比較的低予算な作品だろうが、出演シーンの少ない役を割り振ることで豪華キャストを実現している。特別出演として一大アイドルのフィンガー5まで登場している。今でこそ「あの人は今?」的な番組にしか取り上げられないフィンガー5だが当時の劇場ではさぞかし黄色い声援が飛び交ったことだろう。
やはり一番笑えるのがラストの大混乱と乱闘だ。手前側でメインに映っている役者だけではなく、画面の後ろの方にいる連中もなんとか目立とうと大暴れしながら細かなギャグをやっている。プロだ。
加藤茶の「イックション」のくしゃみで全員がひっくり返るギャグ、懐かしいなぁおい。
結局、予言や占いはインチキだったし、いかりや達は香港から来た奇術団に化けて敵のアジトであるキャバレーに乗り込んでいく。そういえば、ユリ・ゲラーの前職は奇術師だったよな。つまり、「超能力やノストラダムスの大予言なんざ全部嘘だからな」「でもってそれを笑い飛ばすからな」というスタンスで作られた映画なのである。つまり1970年代だろうがなんだろうが信じる奴は信じるし、信じない奴は信じないということらしい。
それとも、これが松竹映画ではなく東宝映画のクレイジーキャッツ主演シリーズ(1963~1970)で作られていたとしたら、円谷特撮で超能力が画面を飛び交ったりしたのかもしれない。

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