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『レッドブル』 「ソビエトのポドブィリン92ミリが破壊力世界一だ」

『レッドブル』(1988) RED HEAT アメリカ 105分 1988/9/21鑑賞

監督:ウォルター・ヒル 製作:ウォルター・ヒル、ゴードン・キャロル 製作総指揮:マリオ・カサール 原案:ウォルター・ヒル 脚本:ハリー・クライナー、ウォルター・ヒル、トロイ・ケネディ・マーティン 撮影:マシュー・F・レオネッティ 音楽:ジェームズ・ホーナー
出演:アーノルド・シュワルツェネッガー、ジェームズ・ベルーシ、エド・オロス、ピーター・ボイル、ラリー・フィッシュバーン(ローレンス・フィッシュバーン)

ソビエトから来た警官シュワルツェネッガーが拳銃についてこう述る。「ソビエトのポドブィリン92ミリが破壊力世界一だ」と。
ポドブィリンとは実在しない架空の拳銃で、イスラエルのデザートイーグルをベースに作ったプロップガンだが、もしそんな拳銃があれば確かに破壊力世界一だろう。というか、92ミリ口径ってどんなんだよ。戦車の主砲が100ミリから120ミリぐらいの口径らしいがそれに近い大きさじゃないか。ソビエトだからそんなとんでもない兵器を作ることもあるかも知れないが、撃たれた相手は木っ端微塵になってしまうぞ。というよりそもそも持ち歩けないだろ。携帯できない拳銃なんて、有線式の携帯電話みたいなもんで単なる役立たずだ。
92ミリといえば現在主流である9ミリ弾のおよそその10倍。ダーティーハリーが使って有名になった44口径マグナムは0.44インチのことなので11.18ミリ。コルトガバメントなどの45口径が11.43ミリ、大口径オートマチックのデザートイーグル50AEがその名の通り50口径なので12.7ミリ。どれもとてもじゃないが92ミリにはほど遠い。
もちろんこのDVDにおける字幕は“92ミリ”ではなく“9.2ミリ”の誤植である。シュワルツェネッガーははっきり「ナイン・ポイント・ツゥーミリメートル」と言ってるのでさすがに誤訳ではないだろう。もし誤訳ならば中学校からやりなおしだ。だが、マスターが作成されるまでの間に誰か気が付かなかったのだろうか。
銃の口径というのはインチとミリが混在しており、さらに大砲の場合の口径はサイズ+砲口と砲身長の比率だったりと確かにややこしいが、それは誤訳のいい訳にはならないとはずだ。だが、ちゃんと調べずにいい加減なことを書いてある翻訳小説などがたまにあり、45口径の拳銃を45インチ口径と訳しているのを見たことがある。大艦巨砲の象徴である大和にだってそんな物は積んでないだろうに。
もっともわたしもあまり人のことは言えない。散弾銃の口径を表す「番・ゲージ」のことをインチに由来する物と勘違いしていた。これは重量換算で、12ゲージのショットガンとは1/12ポンド分の散弾を使う銃のことだそうだ。1ゲージが1ポンド分の散弾なのでゲージの数字が大きくなるほど小さな口径となる。弾丸(シェルショット)の直径はおよそ18.5ミリだとか。「津山三十人殺し」の犯人都井睦雄が使ったのはブローニングの12番猟銃だったが、それについて書かれた書物を紹介した時に誤った数値で表示してしまった。すでに訂正済み

『レッドブル』に関して話すべき事は特にない。
脚本家から傑作『ストリートファイター』(1975)で監督デビューしアクション映画を中心にいくつかの優れた作品を世に送り出したウォルター・ヒルだが、『ダブルボーダー』(1987)以降は何がどうしたのかグダグダに腰砕けになり、もはや駄作製造マシーンと化している。
規則ガチガチなソビエト人警官と型破りなアメリカ人警官という立場も違う二人が組むという点では、白人刑事と黒人の犯罪者が組むことになる『48時間』(1982)と似てはいる。だがそれは設定だけで、お互いに反発と影響を与えながら少しずつ理解が進んでいく様子がまるで伝わってこない。シュワルツェネッガーにもうちょっと感情の動きを持たせてもよかったと思うのだが、これでは役柄としてほとんどターミネーターの延長だ。
全体に刑事映画としても相棒映画としても中途半端なまま映画は終わる。
アメリカ映画初の赤の広場ロケも大して意味なし。

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