『リーサル・ウェポン3』(1992) LETHAL WEAPON 3 アメリカ 1992/10/23鑑賞
監督:リチャード・ドナー 製作:ジョエル・シルヴァー、リチャード・ドナー 原案:ジェフリー・ボーム 脚本:ジェフリー・ボーム、ロバート・マーク・ケイメン 撮影:ヤン・デ・ボン 音楽:マイケル・ケイメン、エリック・クラプトン、デヴィッド・サンボーン
出演:メル・ギブソン、ダニー・グローヴァー、ジョー・ペシ、レネ・ルッソ、スチュアート・ウィルソン
警察内部の不正や警官による犯罪を監視調査するための内務監査局というものがある。『交渉人』(1988)でサミュエル・L・ジャクソンの相棒殺し・年金基金を捜査したり、『NYPD15分署』(1999)で中国系刑事チョウ・ユンファによる不正捜査を疑ったりなどときおり警察映画に登場する。『インソムニア』(2002)ではアル・パチーノが不眠症(インソムニア)で苦しんでいるが、その理由の一つが自らに迫る内務監査の網だった。
警官・刑事が主役の映画が多いためどちらかというと内務監査局は嫌な連中として描かれがちだが、外部から干渉されることが少なく結束し独立した集団である警察を、第三者的な立場からクリーンな組織にするために内務監査局の存在は重要なのだろう。どのような組織でもそうだが、外部からどのように見られているかを意識していないと、倫理観がねじ曲げられ不正行為がまかり通ったり、組織を守ることが優先され公共の利益が無視されかねない。しかもその組織の権力が強ければ問題はより重要になる。
『リーサル・ウェポン3』にも内務監査官が登場するが、珍しく主人公側の人間として登場する。しかも美人で気が強く、腕っ節まで立つときてる。レオ・ルッソはまさにはまり役で、『リーサル・ウェポン2』で妻の仇を取り心の傷も癒えてきたリッグス(メル・ギブソン)が惚れてしまうのも納得だ。リッグスの傷を手当てをしているうちに、二人とも銃で撃たれたりナイフで刺された傷跡自慢を始めて、そのままお互いへの想いに気づきベッドインしてしまうシーンは笑えるし実に上手いラブシーンへの導入である。『リーサル・ウェポン』シリーズなどのパロディ映画である『ローデッド・ウェポン1』(1993)でエミリオ・エステヴェスとヒロインがこのシーンをパロっているが、こちらは本家と違いトホホな情けない傷ばかり。ちなみに『ローデッド・ウェポン1』とあるものの『2』や『3』はない。
『リーサル・ウェポン1』や『2』にあったヘビーな部分はほとんどなくなっている。その点で評価が分かれるかも知れないが、傷つき孤独な男が友を得、そして恋人を得てついには家族という存在と人生を取り戻す『リーサル・ウェポン・サーガ』において苦しみよりも喜びの方が多くなった重要なターニングポイントである。
実際のビル爆破解体現場を巧みに使った事件爆弾騒ぎから始まるオープニングでどっと沸かされる。主人公が事件爆弾を解除する場合、ほとんどが1秒前や7秒前で止めることが出来るのだが、いきなりその法則をぶち壊わす。しかし、事件爆弾の解除ではなぜ最後に赤と青の2本の電線の内どちらかを切るというシチュエーションになるのだろうか。爆弾魔も2分の1で解除されてしまうようなヤワな仕組みではなく、「白・黒・抹茶・あずき・コーヒー・ゆず・桜の7本の内どれか1本を切ると止まる」にしておけば解除される可能性もぐっと低くなると思うのだが。いっそのこと「100本ぐらい線がある」というのはどうだろうか。
『2』に引き続いてジョー・ペシが笑わせ役で出演しレギュラー陣がすっかり安定してリチャード・ドナー一家と言ったところだ。それに対して悪役側が今一つで、特にボスに迫力がない。建売住宅地を経営しているってのはずいぶん堅実な奴だ。
エンディングクレジット後におまけがあるので見逃さないように。
撮影は後に『スピード』(1994)などを監督するヤン・デ・ボン。『ダイ・ハード』(1988)や『ブラック・レイン』(1989)の撮影も担当しており、監督になるよりもそのまま撮影監督を続けていた方が映画界にとって重要だった気がする。