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『アトランティス』(1991) 右も左も海の中

『アトランティス』(1991) ATLANTIS フランス 79分 1992/10/31鑑賞

監督:リュック・ベッソン 製作総指揮:クロード・ベッソン 撮影:クリスチャン・ペトロン、リュック・ベッソン 音楽:エリック・セラ

『グラン・ブルー(グレート・ブルー)』(1988)で海への想いを描いたリック・ベッソンが、今度は海の中で暮らす魚などの姿だけを捉えて人間を一切登場させずに撮った作品。
エリック・セラの音楽に合わせていくつかのテーマによるシーンが構成されている。ドキュメンタリーというよりは環境ビデオ・イメージビデオといった趣きで、製作にあたってはかなりの量のフィルムを回し、編集でもかなり苦労したことだろう。水中撮影で撮られた映像の美しさからして、病院の待合室などで流されているそこら辺の環境ビデオとは作りが違い、ちゃんとした作品として仕上がっている。
だが、スキューバ・ダイビングはおろかシュノーケル・ダイビングすらやったことがなく、今後もまずやる予定がないという“海の中”に対して別段これといった思い入れがないわたしにとってはどうしたって環境ビデオの枠を出ない。それにリック・ベッソンの「俺ってオシャレさんだろ」といった自意識が常に画面に張り付いているのがうっとしい。映画館の大スクリーンで見たから映像の力で79分を耐え切れたが、もし改めてテレビで見たら絶対に眠ってしまうだろう。
つまるところ、わたしにとって映画とは劇映画のことで、ドキュメンタリー映画やこの作品のような環境映画は映画ではないのだ。

人間が登場せず動物の姿だけを描いた作品だとディズニーの『砂漠は生きている』(1953)があるがこちらは好き。ナレーションによって動物の行動に人間的心理を持ち込みすぎているきらいはあるが、その分だけ分かりやすくて楽しい。
『アトランティス』もナレーションで魚たちの紹介や生態などをやってくれるとまだ見やすいのだが、それでは「オシャレ」ではないのだろうし、「オシャレな作品」が好きな人から不評を買ってしまうのだろう。

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