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『死霊のえじき』 第二のアダム

『死霊のえじき』(1985) DAY OF THE DEAD 102分 1986/04鑑賞

監督:ジョージ・A・ロメロ 製作:リチャード・P・ルビンスタイン 製作総指揮:サラ・M・ハッサネン 脚本:ジョージ・A・ロメロ 撮影:マイケル・ゴーニック 特殊メイク:トム・サヴィーニ 音楽:ジョン・ハリソン
出演:ロリ・カーディル、テリー・アレクサンダー、ジョセフ・ピラトー、リチャード・リバティー、アントン・ディレオ、ハワード・シャーマン

この作品はジョージ・A・ロメロの『リビングデッド』シリーズ第三弾にあたる。『NIGHT(夜)』→『DAWN(夜明け)』ときてついに『DAY(日中)』までゾンビのものとなってしまった。
疲れ切った一人の女性から始まるオープニングは前作『ゾンビ(DAWN OF THE DEAD)』とほとんど同じで、「はて、リメイクだったか?」と思ったところで・・・。当時の劇場では大概の人が椅子から飛び上がっていた。
舞台は岩盤を削って作った洞窟状の地下軍事基地。第二次大戦末期に建設が進んだあの“松代大本営”の様なものだと思ってもらえばいい。『ゾンビ』の食料をはじめとする物資が豊富なショッピングセンターと比べてさらに閉塞感が強く殺風景で息苦しい。とても人間が生活する場には思えず、日常が消え去り希望のかけらもないことがうかがえる。
今回そこに立てこもるのは軍人たちと幾人かの科学者。ゾンビを研究しひょっとしたらゾンビと人間が共存できるのではないかとまで考える科学者と、ゾンビは全て敵で滅ぼすべき存在であるとの頑迷に思いこむ軍人との対立がストーリーのメインで、そして双方とも代表者を始めほとんどの連中はもはや気がふれている。人間の狂気こそが一番の焦点だ。
フェンス越しに溢れんばかりに押し寄せているゾンビの大群やDVD『死霊のえじき・最終版』ではカットされていたラストのゴアシーン(残酷シーン)は実は添え物にすぎない。だからって勝手にカットするなとは思うが、なんでも最終版はアメリカのケーブルテレビ放映用バージョンだそうだ。確かにゾンビに食われるゴアシーンはケーブルテレビの専門チャンネルとはいえ放送してはまずいだろう。2004/10/22に発売された完全版はノーカットなので最終版に不満だった方には完全版を観るといい。ただ、最終版ではゴアシーンがカットされているが故にかえって人間の有様が浮き出ているかもしれない。
結局は組織として破綻した軍人側によってその共同体は壊滅する。だが科学者の側が正しかったわけでもなく、もはや人類の時代は終わり死者の時代になったということだ。多少の人間が生き延びることができてもその先に繁栄はない。
知恵を付けたゾンビ“バブ”はひょっとして新しいアダムなのかもしれない。

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