10月7日 -
今日は肺機能の検査と採血のみなので空いた時間は読書などをして過ごす。
ジャック・ヒギンズの『鷲は飛び立った』を読み始める。
こいつはかの傑作にして名作『鷲は舞い降りた』の続編なのだが、そちらがどうやったって続きの書きようがない終わり方をしている。実際、ジャック・ヒギンズはかなり強引な力技で続編を書いているのだ。その概要を聞いて「そりゃ力技だあ、無茶だよヒギンズ」と1992年に出た翻訳版ハードカバーはスルーし、1997年に文庫化されたとき同時発刊の『鷲は舞い降りた(完全版)』と一緒に購入した。『鷲は舞い降りた』は以前の版を持っていたのだが何度かの引っ越しの最中に紛失してしまったので買い直し、購入後改めて読んでその面白さに驚喜した。しかし、『鷲は飛び立った』はそのせっかくの喜びをぶち壊してしまうのではないかと怖くて、そのままずっと本棚にしまいっぱなしになっていた。7年間熟成された本である。
詳しいことはまた後日にするが、思っていたような破綻はなくてジャック・ヒギンズ最良の作品とは言えないが、十分に合格点はつける事ができる。
そんなこんなで読書をしているうちに看護師が肺機能の検査に行くよう告げにきた。そこで肺機能検査室に向かった。
肺機能検査の検査担当者は白髪混じりの比較的年配の方だった。
まずは年齢を聞かれ、続いて身長と体重を測る。体重は極秘だが、身長は173センチと教えられた。ここ10年ほどずっと自分の背は171センチだと思っていたのだがいつの間に2センチも伸びたのだろうか。ひょっとして今更成長期なのか。
そして一本のホースを手渡された。その先端には使い捨ての紙の管が付いている。トイレットペーパーの芯を少し細くし、長さを5~6センチで切ったような管だ。
それをくわえると鼻をクリップで止められる。何故か“シンクロナイズドスイミング”という言葉が頭をよぎる。
「では思いっきり息を吸い込んだ後、最後まで全部吐ききってください」との指示があった。
そこで、すうぅぅう、はぁぁぁぁーーーー
検査機のディスプレイにいびつな円が描かれているのだが、それがグニョグニョと大きく形を変える。どうやら吐く息の量でその大きさが変化するようだ。
うむ、では少しでも大きくなるよう、『ライトスタッフ』(1983)でデニス・クエイドたち宇宙飛行士候補が肺活量のテストで一秒でも長くと競っていたようにがんばろうと思ったが、あっという間に肺は空っぽになってしまった。風船を膨らませたりするのと違い何の抵抗もない上に紙の管で口を大きく開けているので息がそのまま出て行ってしまい一気に吐ききってしまうのだ。
その後、普通の呼吸を続けたり、吐ききったところから一気に吸い込んだりの検査が行われた。
検査時間は10分ほど。検査機器は“TOSHIBA”の文字はなかった。機械も結構年季が入っており、DOSかなにかのCUIベースのOSで動作していた。もしかしたら外国製の機器かもしれない。
そうか、別にどの機械どの機械も東芝製というわけじゃないんだなと部屋に戻ってきて、ふと床据え置き型のエアコンを見たら東芝製だった。
夕方にナースステーションの呼ばれ、何かなと行ってみたら看護師さんに術前処理をされてしまった。いわゆる剃毛その他である。昔、盲腸をやった時はカミソリだったが今は電気カミソリなのか。ま、詳細は省く。
この日の午後9時、消灯をもって絶飲食に突入。これ以降は“飲む打つ買う”は禁止だ。いや、“飲む”と“食う”が禁止か。まぁ、病室で打つ買うをしていたらどのみち怒られるんだが。そもそも両方とも法律違反だし。
腸の中をなるべく空にしておくためで、そのためにラキソベロン液という便秘治療薬も処方され朝に服用している。食べてはダメはいいんだが、飲んじゃダメはちょっとつらい。朝起きて、ノドが渇いているのを我慢する。あー、瓶の牛乳を一気に飲みたい~。って、いつもは飲んでいないのだが、禁止されるとやってみたくなるものだ。