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白線ヘルニアと入院(6)と関東無宿

10月6日 15時 -
医師から最終説明を受ける。

1:病気の内容
  病名は“白線ヘルニア”であること。ただし、手術で腹を開いてみたところ別の病気の可能性もある。超音波検診とCTによると開いている穴の大きさは10~20ミリ程度である。

2:手術の内容
  手術の名称は“ヘルニア根治術”。皮膚と皮膚下脂肪などを切り腹直筋の中央を縦に走っている白線に開いた穴を縫い合わせる。自前の組織では足りなかったり腹部の緊張が強い場合には人工シートを用いて穴を塞ぐ。全身麻酔で行い、手術自体で1時間、麻酔作業で1時間半を予定しているとの事。輸血は行わない予定。

3:起こりうる危険性、合併症
  出血、脂肪融解、創感染、皮膚下漿液腫、心肺合併症、下肢静脈血栓症、そしてヘルニアの再発。など

1、2はふむふむと聞いていられたが3で手術中の危険性や術後の合併症などはさすがに真面目になる。もちろん最初から真面目だがその度合いが違う。あまり聞いた事がない単語がずらずらと出てきて、なにやら大手術のように思えてきた。
出血に備えて輸血用血液は常備してあるとのこと。病院内の感染対策は行っており、様態が安定するまでは入院してもらい、心肺合併症については明日心肺機能検査を行うとのこと。
下肢静脈血栓症とは長い時間身体を動かさないでいると血液の流れが滞り、さらに水分補給を怠った事で血液の粘調度が増してネットリとしてしまい、膝から下の静脈に血栓(血の固まり)ができることだ。その血栓が細い静脈、特に肺の毛細血管につまり血液の流れを損ねて近辺の細胞組織を壊死させてしまう。
飛行機のエコノミークラスで遠距離旅行をしたときにも狭い席にずっと座っているのでこの下肢静脈血栓症が発症することがあり、俗に“エコノミークラス症候群”と呼ばれる。時には死を招きかねない恐ろしい病気だ。予防策としては少しでもいいので身体を動かして運動すること、水分を補給する事なんだそうだが、どちらも全身麻酔の最中には難しい。というよりメスで切られてる時に動いたらめちゃめちゃ危ないし。
そこで血液が溜まらないように下肢を圧迫する用品が支給された。アルケア株式会社の弾力性ストッキング“アンシルク・プロ(ハイソックス)”である。
すっ、ストッキングっすか・・・と内心思ったものの、紙箱を開けてみるといわゆる透けとおったストッキングではなく白い薄目の靴下といった様子だった。ハイソックスタイプなのでつま先から膝までの丈しかない。女性が着用している下半身全部を覆うタイプでなかったので少しほっとした。

そして、これが一番重要なのかも知れないが、大体10センチ程度の手術の傷跡がヘソの下から縦に上に向かって残るとのこと。ヘソの周りでカーブを書くので“?”の上の部分を逆さまにしたような傷になるらしい。
わたしの腹にはすでに盲腸の傷跡があるが、あれは右足の付け根に近いので長さが8センチほどあってもあまり目立たない。普通の盲腸の傷跡は3センチ程度らしいが、わたしの場合虫垂が奥に入り込んでしまっていたそうでなかなか見つからずまた引っ張り出すのが大変だったのだ。虫垂炎の手術は下半身麻酔で行ったので意識があり、医師から「虫垂が見つからないからもうちょっと切り口を広げるけど良い?」と尋ねられたが、この状態で誰が「嫌です」と言えるものだろうか。で、もうちょっと切りもうちょっと切りでそれでも見つからず、このままでは麻酔が切れてしまうので一旦縫い合わせて後日再手術という話も出てきた頃にようやく虫垂が見つかった。どうやら引っ込み思案な奴らしい。
ようやく切除され傷口を縫い合わせて病室に戻る最中にはもう傷が痛み始めていた。ほんとぎりぎりセーフだったのだ。
今度の白線ヘルニアの傷は割と大きい上に腹の真っ正面でど真ん中。パンツ一丁や水着になるとかなり目立つ。パンツ一丁で人前に出る趣味はないが、水着の場合は人前に出る。うむむ、そういえば最近の水泳選手は水の抵抗が少ないとかで男でも上下つなぎの水着を着ている。こうなったら水泳選手にでもなったらいいのだろうか。まぁ、わたしの場合は別段傷のことが気にならないのでどうでもいいか。
これが頬の傷だったりすると『関東無宿』の小林旭みたいに凄みが出たりもするのだが。うーむスカーフェイス。

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