10月6日 午前11時 -
造影剤と聞いて顔をしかめたのには訳がある。
9月22日の診察の時に“造影剤(ヨード系)についての説明書”という用紙を渡され、造影剤の副作用について説明を受けた。
用紙のよると
「診断効率を向上させる目的で、造影剤(ヨード系)という注射薬を使用します。造影剤は安全な診断薬ですが、低率ながら」
おっ来たよ来たよ
「(3.13%といわれている)副作用が発現することがあります」
ほら、良い事ばかりではないのだ。主作用があれば副作用があるのは薬の常識だ。それまで“ですます”調で進んでいたのに、確率の数字となるといきなり“だである”調になる辺り、「遊びじゃねぇんだ、マジなんだよ」という凄みを感じる。
「副作用の多くは即時型で造影剤の注射開始後30分ぐらいまでに起こり、はきけがしてはいたり、からだが熱くなったり、かゆくなって皮膚が赤くなりじんましんがでたりするというような軽いものです。」
といってるが安心しちゃいけない。
「しかし、」
ほらやっぱり。
「ごくまれながら(0.04%すなわち2,500人に1人くらいという確率)呼吸困難、急激な血圧低下やショック、けいれん、運動まひや意識消失などの重い副作用が起こることも報告されています」
報告されていますってあんた事務的な。しょせん他人事なのねっ!
いやまあともかく、重い副作用が発現する可能性があるわけだ。宝くじの一等だってあれは何分の一かという確率は知らないがめったに当たらない物だというのに毎回だれかしらが当選している。それに比べたら低率といっても2,500分の一というのは宝くじよりかはずっと当たりやすい。
普段は外れてばかりだがこんな時ばかり当たるんじゃないかなと不安がよぎり、それで顔をしかめたというわけだ。
今回投与された造影剤は150cc。注射された場所から徐々に温かい物が広がっていくような感じを受ける。痛みといったような物は感じない。数分を経過した後にまたCTスキャンにかけられる。
造影剤なしで一回、造影剤ありで一回。合計二回の撮影が行われた。検査時間は約20分だった。
なぜ造影剤を使うかというと、普通にレントゲン写真を撮ると(今回はCTスキャンだったが)ご存じのように骨ははっきりと写るものの、それ以外の臓器とか筋肉とかはぼんやりとしか写らない。これは通常の細胞組織がX線を通過させてしまうからだ。しかし例えばどうしても血管のレントゲン写真が撮りたいとなるとそこで造影剤の出番となる。造影剤は放射線を遮る力を持っており、血管に注射すればその形が写真に写し出される。
わたしに使われたのはヨード系造影剤。ヨード剤といえば原子力発電所(原発)事故に備えて近隣地区にはヨード剤が備蓄されていると聞く。そういえば『トータル・フィアーズ』(2002)だったかで核爆弾が爆発し、対応の一つとして市民にヨード剤を配るシーンがあった。「子供の分しかヨード剤がない」というシーンはどの映画だったか。
勉強不足で効果の理由が良く分からないのだがなんでも甲状腺関連を守るらしい。鉛の部屋の中にいると放射線を防げるといったようなものだろうか。だったら造影剤もヨードよりも放射線を防ぐ効果の強い“鉛”を粉にして水に溶きそれを注射したらより鮮明な写真を撮ることができる。鉛中毒で死んだりするが、まぁ大したこっちゃない。・・・大したことか。
CTスキャンで午前中の検査は終了。
病棟に戻るとリクレーションルームにある机で看護師から入院についての説明を受け、預けておいた荷物を受け取り割り振られた病室へと案内された。
コップやタオルなど必要な物を設置しているうちに12時になり昼食となった。今日からの入院なので当然食事も出る。ベッドに腰掛けて食事を取りながら、造影剤の副作用が出ないか身体を気にするが特に異常は感じられない。もしなにかあってもすでに病院にいるというのは安心だ。検査と手術を一度の入院ですませることにした利点を感じた。一人暮らしの人が家に帰った後で意識消失でぶっ倒れたらと思うと怖い。
用紙の説明に「造影剤は『尿』と一緒に体外に出ていきます。いつもより水分(お茶、水、ジュース等)を多めに飲んで『尿』を出してください」と書かれている。わざわざお茶や水と指定されているのは、じゃあビールをグーッっとなどという人がいるからだろうか。
病院一階にある売店でミネラルウォーターの2リットルボトルを買ってきてゴクゴク飲んでいたらその日のうちに飲み干してしまった。夜に様子を見に来た医師に「それは飲み過ぎです」と怒られてしまった。やはり何事もほどほどにということか。しかし、ほどほどにしないからバカはバカなのである。