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白線ヘルニアと入院(10)と『デッドコースター』

10月8日 - 15時00分
手術台からえいやっとストレッチャーに移されたわたしは手術準備室で今度はよっこらせっとベッドに移された。そしてベッドに横たわったまま廊下とエレベーターで病室まで運ばれた。テレビ・シリーズ『ER』など病院物の映画やドラマだとよく見る光景で、上に設置したカメラで患者を見下ろすカットがあったりする。だが、患者の視点で天井を見上げたままの移動撮影で撮った映像というのはあまり記憶にない。で、面白いのだ、これが。
頭の方向に進むので、天井が上から下へと流れていく。角を曲がった時の視点の移動がダイナミックだ。
みなさんも一度上を見上げたまま歩いてみて欲しいと思ったが、なんか永六輔作詞の歌みたいだし、つまずいたりぶつかったりするといけないので、やはり止めておいた方がいいだろう。

- 15時05分
病室に到着。ベッドが固定されると、壁にある“oxygen”、“vacuum”の“oxygen”にチューブがつながれ二股になった先端を鼻に差し込まれた。まだ呼吸が安定していないので酸素を供給してもらわないといけないのだ。『デッドコースター ファイナル・デスティネーション2』(2003)のラスト近くで黒人教師が事故で病院に担ぎ込まれ鼻にチューブを入れられるがあれだ。もちろん火気厳禁でタバコも吸えやしない。というかもともと吸わない上に病院内は禁煙だが。『デッドコースター』だともちろん大爆発を起こして病室は吹き飛んでしまうが、酸素は物の燃焼を助けるだけでそのものは燃えないのだから、あれはひょっとして酸素と間違えて水素ボンベを取り付けてたんじゃないだろうか。
鼻には酸素のチューブ、左腕手首内側には点滴の針、尿道にはカテーテル。3本もの管がつながった状態で身動きができない。しかもまだ飲食禁止。すでに18時間が経過し、空腹は案外感じないが気道に酸素チューブを入れられてイガイガしているし酸素ボンベからの空気は乾燥していてノドが乾いてしょうがない。水を、いやできればペプシ・コーラの冷えた奴をゴクゴクッと1缶丸々飲み干したい。だが我慢我慢。
ちなみに、ベッドから出られるようになってからさっそく1階の自販機でペプシを買った。紙コップ式の自販機で普通と大の二種類があったので迷わず大にした。いやもう、その一杯の旨かったこと。ペプシ最高!

こうして手術は終わり病室に戻ってきた。これから怖いのが感染症。点滴で抗生物質を投与されているのだが、消毒が頻繁に行われる病院内で耐えて生き残ったメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)には抗生物質がほとんど効かないという。こいつは怖い。実をいうと、わたしの入院している市民病院は数年前にMRSAの集団感染が発生し死者まで出しているのだ。うむむ・・・
だが逆に、普通の病院以上に院内感染への対策が進んでいるかもしれない。まぁ、どの病院でも同じようにちゃんとした対策が取られているのが理想かつ当たり前なのかも知れないが。
院内感染やMRSAといった単語が一般的になったのは割と最近な気がするが、わたしが1993年頃にバイトをしていた医学系出版社ではすでに雑誌で『院内感染特集号』といったものを出していた。あまり厚くない本だったが、そのほとんどの校正をわたしが担当した。朝から晩まで“院内感染”についての原稿と校正ゲラを見比べる毎日。校正というのは文字は見ていても文を読んではいないのだが、それでもMRSAというのは恐ろしいと思った物だ。
その後、『性感染症特集号』というのも出されたのだが・・・毎日朝から晩まで・・・でっ、でら恐ろしい・・・。これ読んだらとてもじゃないが性風俗店なんて行けないよ。

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