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『エクソシスト3』 ババァがっ!天井にババァがっ!

『エクソシスト3』(1990) THE EXORCIST III 110分 1990/11/26鑑賞

監督・脚本・製作・原作:ウィリアム・ピーター・ブラッティ 撮影:ジェリー・フィッシャー 音楽:バリー・デ・ヴォーゾン
出演:ジョージ・C・スコット/ブラッド・ドゥーリフ/エド・フランダース/ジェイソン・ミラー/ニコル・ウィリアムソン/スコット・ウィルソン

『エクソシスト』(1973)については特に説明の必要がないだろう。悪魔憑きになってしまった少女とその悪魔を払わんとする神父の物語である。
わたしはこの作品が嫌いで、何故かというと単純につまらないからだ。代わりに『エクソシスト2』の方は結構好きである。
そして『エクソシスト3』は、近代ホラー映画にとって重要な位置を占める傑作だと思う。何故ならば、おそらく「何も描かない事による恐怖の演出」を初めて意図的に行った作品だからだ。
ジョージ・C・スコット演ずる刑事が連続首切り殺人を捜査する。首切り殺人といってもこの作品でははっきりとした死体などは画面に映し出されない。そして事件の線上に1作目で悪魔と戦い命を落としたはずのカラス神父が浮かび上がる。
一作目であったような緑のゲロや回転する首などのショッキングな映像を極力排除したのは、監督・脚本をつとめた原作者のウィリアム・ピーター・ブラッティ。思い切った省略や無駄とも思えるカットがあり一般的な映画の枠に収まっていないが、それを可能にしたのは職業監督ではないという強みもあったろう。

ムスッとした表情のジョージ・C・スコットの、もっとも彼の場合はいつもそんな顔つきなので心の内は分からないが、下からあおって撮ったジョージ・C・スコットの上にある天井には、気味の悪いお婆さんがスパイダーマン状態で張り付いてゴソゴソと這いずり回っている。ではそのお婆さんがジョージ・C・スコットに襲いかかったりするかというとそんなことはなく、場面は変わりその後お婆さんは登場しない。(WOWOWで放映中のアメリカのテレビシリーズ『スティーヴン・キングのキングダム・ホスピタル』で、アル中の発作で担ぎ込まれた患者の幻覚として天井を這いずり回る女性が登場していた。ひょっとしてオマージュか?)
病院の長い廊下のその端にカメラを据え付け、人気のない廊下を画面固定のまま延々と撮る。はっきりとは憶えていないが1分ほど続いたのではなかったか。ようやく看護婦が現れ廊下を横切って姿を消す。その次の瞬間、植木バサミほどもある巨大なハサミ(鎌だったかも)を持った黒衣の人物がその看護婦の後を追って走り過ぎる。ほんの一瞬である。
黒衣の人物に看護婦が襲われたのか。その首を切り落とされたのか。画面には何も映し出されないまま次のシーンになってしまう。
ここには70~80年代にあったような直接的な残虐描写は登場しない。ある意味、何もないのだ。そのことによって恐怖が発生し、何も描かれてないだけに映像に物理的な限界が生じない。

もっとも、1990年当時の観客にはあまり受けが良くなかったように思う。
当時、わたしは大学のシネマ研究会に所属しており、そこでの作品批評会では「つまらない」「何をやりたいのかさっぱり分からない」という意見が多かった。映画にかなり興味があっていろいろな映画を観ているシネマ研究会部員にしてそうだったのだから、一般の人たちからはもっと厳しい意見だったことだろう。
「いや、この何もないところが良いんだ」と力説したのだが、表現力不足で他の部員にはあまり伝わらなかった事を憶えている。

(14年前に一度観たきりなので、ひょっとしたら『エクソシスト3』について間違っているところもあるかもしれないが、その点はご容赦をお願いする)

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コメント (2)

けん:

天井にババァがっ!に笑いました。確かにあれはなんだったんでしょう。

東森時音:

けんさん
今でこそ『エクソシスト3』を観直してみる意味があると思うのですが、近くのレンタル屋はビデオの大半を整理してしまってもう置いてないんですよね。DVDは廃盤になっていますし、再販の可能性も低そう。
『リング』などの和製ホラーでチラッチラッと変な物が画面に映るという手法がハリウッド作品でも使われるようになってずいぶん経ちますが、あれをいち早くやっていたと思うんですが。

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