『HELL ヘル』(2003) IN HELL 97分 2004/9/23鑑賞
監督:リンゴ・ラム 製作:ボアズ・デヴィッドソン/ダニー・ラーナー/ジョン・トンプソン 製作総指揮:アヴィ・ラーナー 脚本:エリック・ジェームズ・ヴァーゲッツ 撮影:ジョン・アロンソン 音楽:アレクサンダー・ブーベンハイム
出演:ジャン=クロード・ヴァン・ダム/ローレンス・テイラー/マーニー・アルトン/マイケル・ベイリー・スミス/ビリー・リーク
ジャン=クロード・ヴァン・ダムの刑務所映画というから『ブルージーン・コップ』(1990)のように刑務所の中で戦ってばかりの映画かと思ったら、これが意外に面白かった。
スティーヴン・キングの小説『不眠症』上巻297ページに「テレビの犯罪特集や、ジャン=クロード・ヴァン・ダムが主演する映画と同じぐらい嘘っぽいものだ」と書かれており、『シンデレラ・ボーイ』(1985)の悪役イワンでヴァン・ダムを見て以来のファンであるわたしとしてはせめてもの反論をしたかったところだが、残念ながら「その通りだよなぁ」としかつぶやけなかった。キング原作の映画だってほとんどはあまり評価が高いとも思えないのだが。わたしは好きだけどね。
だからってキングがヴァン・ダムをどう評価しているかはまた別で、実在する商品名などの固有名詞を作中に数多く盛り込む人だから、リアリティに欠けるB級アクション映画的状況というイメージを伝えるためにヴァン・ダムが選ばれたわけで、ある程度メジャーと考えているのは確かだ。
そんな“嘘っぽさ”で満ちあふれているヴァン・ダム作品だが、この『ヘル』は割ときちっと刑務所映画になっている。
ロシアの油田基地で働くアメリカ人エンジニアのヴァン・ダム。その妻が強姦魔に襲われ殺されてしまう。ヴァン・ダムは追跡の末犯人を捕まえるが、その犯人が実力者の息子だったため裁判で無罪の判決が下る。怒ったヴァン・ダムは裁判所内で犯人を射殺。そして今度は自らが殺人犯として裁かれ、ロシア一過酷な刑務所に送られてしまう。
まるで収容所の様な劣悪な刑務所でヴァン・ダムは生き延びことが出来るのだろうか。
監督は『マキシマム・リスク』や『レプリカント』などで何度かヴァン・ダムと組んでいる香港出身のリンゴ・ラム。アクション映画主体の人だが、そういえばチョウ・ユンファ主演の刑務所映画『プリズン・オン・ファイアー』(1987)を撮っている。
刑務所に収容されたヴァン・ダムは観光旅行中に交通事故を起こして逮捕されたアメリカ人青年や、車いすの調達屋(刑務所映画や収容所映画には必ず出てくる役柄。『大脱走』のジェームズ・ガーナーや『ショーシャンクの空に』のモーガン・フリーマンなんかがそうだ)、偏執的キリスト教徒である黒人の大男などと知り合う。
もめ事を起こしたヴァン・ダムが狭苦しい独房に入れられ、絶望してシャツを千切って作ったヒモで首をつろうとして失敗したり、岩で出来た壁に何度も頭を打ち付けて額を割って血を流して倒れる。隣の独房では明らかに精神に異常をきたした男が常に意味のない叫びを上げ続けている。そんな悲惨な状況の中、独房に迷い込んできた一匹の蛾に気づき、その小さな命の存在から希望を見いだしていく様はなかなかに良い。
ひょっとしてこれはスティーヴ・マックィーンの『パピヨン』(1973)ぐらいにはなるか?と期待していたら、刑務所の中庭で看守公認の囚人同士の対決などが始まり、あとは基本的に従来のヴァン・ダム映画の通り。
今作のヴァン・ダムは警官などではなくエンジニアなのでそれほど格闘技が強いわけではなく、一対一ならともかく2、3人がかりで襲われると押し倒されて一方的に袋叩きにされてしまうなど、ヴァン・ダムの「俺が一番だ」的主張が抑えめでそういった点なども悪くなかっただけに残念。
コメント (2)
俺はおもしろいと思いますけどね
Posted by: 匿名 | 2007年02月10日 02:58
日時: : 2007年02月10日 02:58
はい、中盤までの鋭さが欠けてしまいいつものヴァン・ダム映画になってしまっいましたが、そもそも根っからのヴァン・ダム映画のファンですから私も面白かったですよ。
よりすごい映画になる可能性があったのに、もったいないなとは思いますけどね。
Posted by: 東森時音 | 2007年02月10日 08:43
日時: : 2007年02月10日 08:43