『スパイダーマン2』でかなり調子が復活したんですが、そこで満足していたら人類は未だに洞窟暮らしだったわけで、さらに快適を目指して『ゴッド・ギャンブラー/賭聖外伝』『ゴッド・ギャンブラー2』『ゴッド・ギャンブラー3』をレンタルしてきた。この三本、賭博物とは仮の姿でその実体はハチャメチャギャグコメディなのだーっ!
「あれ、『ゴッド・ギャンブラー』ってコメディだったか?」とお思いのあなたのためにシリーズの流れを簡単に説明しておきましょう。
そもそも第一作の『ゴッド・ギャンブラー(賭神)』がチョウ・ユンファ主演で作られたのが1989年です。
ヒットしたこの映画の柳の下を狙って、さっそくパロディ作品が作られました。ジョン・ウー監督の『ワイルド・ヒーローズ/暗黒街の狼たち』などで二枚目を演じていたチャウ・シンチーをコメディアンとして大胆に起用した『ゴッド・ギャンブラー/賭聖外伝(賭聖)』です。これが本家をしのぐ大ヒット。その後のチャウ・シンチーのコメディー路線を決定づけることにもなります。
こうなると本家の方も黙ってはいられませんが、あいにくと主演のチョウ・ユンファはB型肝炎で休養中。そこで一作目でチョウ・ユンファの仲間になったアンディ・ラウを格上げし、賭博に生きる任侠-“賭侠”として主役に据えることにします。だがこれだけでは少々不安があると思ったのか、パロディ作である『賭聖』からチャウ・シンチーを連れてきて“賭侠”+“賭聖”二枚看板にしてしまったのです。
さすが香港映画、発想が並ではありません。いや、こういう言い方だと「内心馬鹿にしてるんだろ」とか思われますが、本気で言ってますよわたし。監督のバリー・ウォンは天才に違いありません。
チョウ・ユンファも一応、前作からの使い回しのカットや写真、明らかに別人な後ろ姿、そして黄金の銅像として登場してます。微妙に似ていて、微妙に似ていないこの胸像が気持ち悪いこと。
そして三作目の『ゴッド・ギャンブラー3(賭侠Ⅱ之 上海灘賭聖)』では原題に“賭侠”とあるもののアンディ・ラウは欠片も出てきません。チャウ・シンチーは一枚看板の主役です。
これは、ビートルズのステージにゲストとしてラットルズが出演したと思ったら次のコンサートではラットルズだけだったような、アテネでナインを指揮していたのがプリティ長島だったような、“美空ひばり”のコンサートが地元であるというので公民館に行ったらエノケソ一座の“美空いばり”だったような、もう自分でも何を言ってるんだかよく分かりませんが、ともあれ大したことです。
しかも、初っぱなから超能力者のサイキック合戦が始まります。その影響で時空に穴が開き、1930年代末の上海に飛ばされてしまうチャウ・シンチー。『賭聖』では透視がせいぜいだったのがずいぶんとパワーアップしています。そして『少林サッカー』で少林隊の監督をやっていたいつもの相棒ン・マンタが演ずる自分の祖父と出会い、未来に帰るべく方法を探るのですが、時は正に第二次世界大戦も間近い頃、日本軍の侵略の手が上海にも伸びスパイの“男装の麗人”川島芳子までが暗躍跋扈しています。
「そうか、この危機をギャンブルの腕を活かして乗り切るのだな」と思いましたが、ギャンブルはほとんど出てきません。代わりにチャウ・シンチーが使うのは超能力とクンフーです。ラストでは“賭神”のボディーガードが特殊部隊を率いて登場し、サブマシンガンなどの近代兵器で日本兵を皆殺しにします。その影響で未来が変化してしまうのがSFの決まりごとですが、誰も気にしちゃいません。美人だったはずの川島芳子が憎たらしいオバサンになっているのも史実と違いますが、これも歴史への干渉があったせいなのでしょう。
エンディングが飛び上がったチャウ・シンチーのストップモーションというのもうれしいところです。
『ゴッド・ギャンブラー3』は、もうどこが『ゴッド・ギャンブラー』なんだよとツッコミ所で一杯ですが、あえて言うならボディーガードのドラゴンが一作目から皆勤賞で出演していることと、監督がバリー・ウォンということでしょう。
こうなるとチョウ・ユンファが復帰したシリアス作『ゴッド・ギャンブラー完結編』の方がむしろ番外編に思えるってのは無茶でしょうか。