『ムトゥ踊るマハラジャ』(1995) MUTHU
監督:K・S・ラヴィクマール 脚本:K・S・ラヴィクマール 音楽:A・R・ラフマーン
出演:ラジニカーント/ミーナ/サラットバーブ
『ムトゥ 踊るマハラジャ』をきっかけにインドの娯楽映画がマサラ・ムービーの名で流行したことがあった。わたしもいくつかの作品は観たのだが、どれも今ひとつ受け入れにくかった。歌や踊りなど様々な娯楽要素が詰め込まれているのはわかるが、ひたすら山場ばかりのストーリーと演出には“急”ばかりで“緩”が存在しておらず疲労を覚えた。そして無駄なカットとシーンが多いため上映時間も166分と作品のカラーにしてはずいぶんと長目だ。本来ならばカットすべきところそのままに、綿密な編集を行わずに完成させてしまった感がある。
これは“近代”映画であって、“現代”映画ではないなというのが感想だ。
確かに勢いは感じるが、勢いだけでしゃべる芸人は得てしてつまらないもの。それと同じような一種の空回りを感じた。
もっともインドは映画人口が多く、製作本数も世界のトップクラスなので、別に『ムトゥ 踊るマハラジャ』の様な映画ばかりでもない。『ムトゥ 踊るマハラジャ』だけを観てインド映画を語ることは『踊る大捜査線2』だけ観た外国人が日本映画を語ることに等しいだろう。
『サラーム・ボンベイ!』(1988)のような社会派作品や、『ストーミー・ナイト』(1999)などのサスペンス作品もあり、あまり日本では公開されることがないので現在の詳細は分からないが、進化をし続けているはずである。製作本数が多いだけに、どんな傑作が飛び出してくるかも分からない。そういった意味では楽しみである。