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2004年07月 アーカイブ

2004年07月01日

『ラスキーズ』

『ラスキーズ』(1987) RUSSKIES 1988/9/28鑑賞

監督:リック・ローゼンタール 脚本:アラン・グルックマン/シェルドン・レティック/マイケル・ナンキン
出演:リーフ・フェニックス(ホアキン・フェニックス)/ステファン・エアサール/ピーター・ビリングスレー/ウィップ・ヒューブリー

つい10数年ほど前、まだソビエト連邦が存在し、アメリカとロシアが憎しみ合っていた時代。
ソビエト潜水艦から任務を帯びてある水兵がアメリカに忍び込もうとするが、嵐に遭い南フロリダの浜辺に流れ着く。映画や小説などの影響で「赤いラスキーズ(ロシア人)をやっつけろ」と思いこんでいる三人の少年が水兵を見つけ、妙な成り行きから彼をかくまうこととなる。次第に打ち解けていく水兵と少年たち。だが、警察や軍が浜辺への漂着物からソビエトの侵入者がいるのではと捜索を開始し、少年たちは水兵をキューバへ逃がすことにする。

自転車こそ空を飛ばないが、ほとんど『E.T.』(1982)そのまま。訴えられなかったのだろうか。
アメリカ人にとってロシア人は宇宙人みたいなものだったのだ。

2004年07月02日

『ツイ・ハークの霊戦英雄伝』 名前入りの法則

『ツイ・ハークの霊戦英雄伝』(2002) 僵屍大時代

監督:ウェルソン・チン 製作・脚本:ツイ・ハーク
出演:ユー・ロングァン/ケン・チャン/マイケル・チョウ/ラム・シュー/チン・グォクン

「タイトルに役者や監督の名前が入っている作品はイマイチである」という法則があるが、この作品もその一つ。
ツイ・ハークの脚本はまとまりがないことが多いので、それを観客に感じさせない勢いで見せることが重要なのだが、師匠とはぐれた4人の弟子たちが婚礼の準備で忙しい金持ちの館を訪れる辺りからもはや物語は失速していく一方だ。財産目当てで妹を嫁に送る兄やキョンシー使い、使用人の娘などが登場してくるが、どの人物も魅力に欠け物語の牽引力とはならない。

久しぶりのキョンシー映画ということで期待していたのだが、最大の敵キョンシー大王は腐敗していて見た目はルシオ・フルチ作品のゾンビ、赤外線で熱を関知する視力はプレデター、怪力はフランケンシュタインの怪物ときている。これでキョンシーステップがなかったら詐欺で訴えていたところだ。
キョンシー大王の倒し方は「えっ?これで終わり?」というあっけなさ。てっきり、やっつけたと一息ついたところで、バラバラになった死体が再びつなぎ合わさって襲いかかってくると思ったのだが。
本家ともいうべきワイヤーアクションは、目新しいアイディアこそなかったもののさすが。逆を言えばそれぐらいしか見るところがない。
弟子の一人が『少林サッカー』のキーパーだったのは収穫と言えば収穫だが、自分の中でどこに分類したらわからない微妙さだ。

2004年07月03日

『バーチュオシティ』

『バーチュオシティ』(1995) VIRTUOSITY

監督:ブレット・レナード 製作:ゲイリー・ルチェッシ 製作総指揮:ハワード・W・コッチ・Jr 脚本:エリック・バーント
出演:デンゼル・ワシントン/ラッセル・クロウ/ケリー・リンチ/スティーヴン・スピネラ/ウィリアム・フォーサイス

舞台は近未来。
警察官訓練用にバーチャルシミュレーターが作られ、まずは被験者として二人の囚人を使ったテストが始まる。仮想空間に送り込まれた囚人たちは悪人役のプログラムされた人格“シド6.7”(ラッセル・クロウ)を日本料理店に追いつめるが、シド6.7の反撃に遭い神経細胞に過負荷がかかったため囚人の一人が死亡する。
開発チームの科学者がシド6.7に実体の体を与えてしまい、シド6.7は研究所から逃亡してしまう。シド6.7は凶悪犯罪者として設計されており、このままでは大量殺人事件になりかねない。そこでシド6.7と戦った被験者の一人で元警官の囚人(デンゼル・ワシントン)を捕獲のために送り出す。しかしシド6.7は身体に損傷を受けてもガラスを取り込むことで修復できる不死身のボディ。いかにして戦うか・・・

主役悪役ともに今ではアカデミー主演男優賞俳優という豪華な顔ぶれ。設定自体はSFしているのだが、画面が妙に安っぽい上に衣装・小道具などに魅力が無いためC級作品で終わっている。
シド6.7の6.7はバージョン番号。バージョン1.0の単純なものから始まり、何百人もの凶悪犯罪者の人格をデータ入力しそれを戦い合わせることでより邪悪なものに作り上げられた。珪素で身体を構成している珪素系生物というのは、映画だと『ガメラ2レギオン襲来』のレギオンが有名だ。そういえばレギオンもガラスを食っていた。
元警官の左腕は過去の爆破事件で失われ“片腕サイボーグ”となっているのだが、この設定は最後の最後になってようやく活かされる。しかし、「別に鉄パイプと電線があればすむ話」だったりする。
冒頭の仮想空間での訓練シーンでシド6.7に襲われ、ヴァーチャルシミュレーターマシンのヘッドギアをかぶったまま痙攣して暴れるデンゼル・ワシントン。で、慌てた研究員がヘッドギアを外すとデンゼル・ワシントンの髪がボッカーンと爆発頭になっている。「ドリフかよ!」と思ったが、よくよく見るとドレッドヘアだった。どうでもいいが似合わない。
仮想空間で人が消えていくCGが『バーチャル・ウォーズ』(1982)のそれに似ているなと思ったら監督は同じ人だった。

2004年07月04日

『コータローまかりとおる!』 JACのJACによるJACの映画

『コータローまかりとおる!』(1984)

監督:鈴木則文 プロデューサー:豊島泉/厨子稔雄/佐藤公彦 企画:佐藤雅夫/千葉真一 原作:蛭田達也 脚本:志村正浩/鈴木則文 撮影:北坂清 美術:佐野義和
出演:黒崎輝/千原麻里/大葉健二/真田広之/志穂美悦子/伊原剛/山口良一/山城新伍/千葉真一

1985年当時、ジャパン・アクション・クラブがジャニーズばりにアイドルとして大人気だったと言っても、若い人にはちょっと想像がつかないかもしれない。
真田広之の存在が大きかったと思うが、ついには「JACのJACによるJACの映画を作ります(千葉真一)」と東映でJACムービーが製作されることとなった。JACの面々が主題歌を歌い、歌番組にも出演していたのだから大した物だ。
第一弾の『伊賀のカバ丸』に続き同じく黒崎輝主演の第二弾が『コータローまかりとおる!』だ。ちなみに『週刊少年マガジン』で1982年から連載されていた『コータローまかりとおる!』だが、2004年7月現在『少年マガジンSPECIAL』にて『コータローまかりとおる!L』が連載中だ。じつに22年、未だにコータローたちは高校生のままである。
監督の鈴木則文は『トラック野郎』シリーズで有名だが、『ドカベン』などの漫画原作モノも得意としている。中でもこの『コータローまかりとおる!』と『ザ・サムライ』(1986)は白眉の出来だ。異論は多いだろうが。

スケベで欲望に忠実、それでいて惚れてる女には弱い野生児コータロー役の黒崎輝は適役。『瀬戸内少年野球団 青春編』(1987)などに出ていたが、その後消息不明。元気にしているのだろうか。
真田広之は日舞の名取でもある風紀委員。真田広之がチントンシャンと踊っているところは、『ラスト・サムライ』などで「真田さま~」とか言っている女性の方々にも見てもらいたい。もっとも、真田広之は実際に日舞の名取なんだそうで。破壊力ということなら『伊賀のカバ丸』での白塗り長髪な沈寝役の方が強いか。実は悪役のこのキャラクターは映画オリジナルだったのだが、原作にも登場してそのままシリーズ最大の悪役になってしまった。原作者蛭田達也氏はなかなかちゃっかりしているようだ。
そしてコータローのライバル、風紀委員特別機動隊隊長天光寺役が大葉健二。常に和服で日本刀を腰に携え、頭はツルツルに剃り上げている。その頭をコータローに「一つ人よりハゲがある~」とからかわれて、怒りのあまり叫んだのが「ハゲじゃない、この頭は剃っているだけだ」の名セリフ。『キル・ビルVolume.1』でも使われていた。コンサート会場での乱闘騒ぎで感電してしまい、電気スタンドのコンセントを鼻に差し込むと光らせることが出来る得意体質に。原作であったこのギャグをまさか実写の映画で見られるとは思わなかった。さすが、鈴木則文。大葉健二も長いこと見ませんでしたが、『キル・ビル』で元気そうなのを確認。

どいつもこいつも高校生には見えません。特にコータローを百人組み手の名でリンチにかける柔術部の主将は、どうみたって30歳越えてるおっさんです。
出演者のほとんどがJACだけにさすがアクションは豊富ですが、個人的にはナンセンスバカコメディに分類します。変にお利口さんぶって始めから馬鹿にしてみるようなことをしなければ、爆笑できる傑作だと思うんですがねぇ。

2004年07月05日

『ザ・サムライ』 ハリァァヤー!

『ザ・サムライ』(1986)

監督:鈴木則文 製作:鈴木則文 原作:春日光広 脚本:志村正浩/鈴木則文 撮影:苧野昇 特殊メイク:原口智生
出演:中村繁之/松本典子/大沢樹生/朝丘雪路/堀江しのぶ/相田寿美緒/宍戸錠/渡辺裕之/菅原文太

いやー、この作品は傑作だと思うわけですよ。マジでマジで。
前半は割と普通の学園コメディなのですが(常に日本刀を携えたアナクロ男子が主人公で、女体アレルギーを治すためにレオタード姿の同級生たちが踊るのを間近で見て耐えるというのが“普通”なのかは疑問が残りますが)、中盤に主人公のライバルでハイテク好き外国好きな転校生南藩都来が垂直離着陸戦闘機ハリヤーに乗って登場する辺りから良い意味でどんどん道を踏み外していきます。
このハリアー、フルスケールで作られていて合成無しで校庭に着陸します。『トゥルーライズ』(1994)の8年先を行ってます。絶対この映画を観てるなジェームズ・キャメロン。と誰だ、クレーンで吊っているワイヤーがバレバレだとか言ってるのは。そういうときは脳にフィルターをかけて、目には見えてるけど頭の中に映った映像では取り除かれていることにするべきです。ワイヤーが見えるという重箱の隅など、実物大のハリヤーという非日常が高校の校庭という日常に、いかにも当然といった顔で着陸するインパクトの前ではどうでもいいことです。それに『ブレード・ランナー』(1982)のスピナーだって、ハリソン・フォードを乗せて発進するシーンでは雨で上手く隠しているもののワイヤーが丸見えです。まだCG処理でワイヤーを消すといった技術がなかった時代なのですから、文句を言っても意味がありません。
他にも、文化祭で作ることになった映画に全長3メートルはある茶坊主人形が出てきたり(もっとも主人公の妄想としてですが)、原作で主人公の顔が変形するのと特殊メイクで再現していたりと、プログラムピクチャーで低予算であったろうにも関わらず色々工夫が凝らされています。
オープニングで主人公血祭武士が剣豪荒木又右衛門になった夢を見ており、鍵屋の辻での32人斬りが再現されます。わたしの記憶だとこのシーンは1カット長回しだったんですが、10数年ぶり観直したら違ってました。長回しのカットはあるんですけどね。ストーリーには関係しないおまけ的シーンであるのに、中村繁之が町中を走りながら敵をばっさばっさ斬り倒していく様はなかなかにかっこよく、『あずみ』なんかよりはるかに上です。
なに気に豪華キャストでして、主人公の母親が朝丘雪路(好演)、その母親に惚れて結婚を申し込むのが宍戸錠(任侠)、チンピラに絡まれている主人公を助ける流れ者が菅原文太(トラック野郎)、そして主人公のグラマーな姉が堀江しのぶ(合掌)。
血祭武士の中村繁之と南藩都来の大沢樹生は当時ジャニーズ事務所なので、ジャニーズ映画でもあったりします。セーラー服を着て「クセになっちゃう」とか言ってる大沢樹生が後に光GENJIの一員として一大アイドルになるとは誰が思ったでしょうか。
かなりごちゃ混ぜでところどころ破綻もしていますが、それを補ってなお余りある魅力を持ったバカ映画。さすが鈴木則文です。

2004年07月06日

『びんばりハイスクール』 原作を読んだことありません

『びんばりハイスクール』(1990) 1990/9/4鑑賞

監督:鈴木則文 プロデューサー:若松孝二 原作:石井まゆみ 脚本:渡辺善則/ 鈴木則文 撮影:喜久村徳章 音楽:後藤次利
出演:藤瀬かおり/日原麻貴/八木小織/竹内力/南渕一輝/片桐はいり/キューティー鈴木/阿藤海/由利徹/塩沢とき

これまた鈴木則文監督によるマンガ原作モノなんですが、往年の勢いは消えてあまりパッとしない作品です。
美少年大好きな片桐はいりの高校教師や、巨大なヘルメットを被ったオートバイライダーがそのヘルメットを脱ぐとそのままな髪型の塩沢ときが現れるなどギャグもありますが、全体的に不発で笑えません。
では学生組織の争いに巻き込まれていく主人公の格闘で見せてくれるかというと、別にジャパン・アクション・クラブの人でもないのでパンチやキックの真似をするとスタントマンが勝手に吹き飛んでくれるというお手軽アクション。
物語が展開してもただひたすらに失速していくだけで、70~80年代の鈴木則文作品が持っていたエネルギーは感じられません。もはや古くささを感じるスタイルには、「ああ、もう90年代なんだな」とどこか寂しさを覚えたものです。

2004年07月07日

『ドカベン』 野球?の鬼

『ドカベン』(1977)

監督:鈴木則文 企画:太田浩児 原作:水島新司 脚本:掛札昌祐 撮影:出先哲也 美術:藤田博 編集:田中修 音楽:菊池俊輔
出演:橋本三智弘/高品正広/永島敏行/川谷拓三/マッハ文朱/渡辺麻由美/吉田義夫/水島新太郎/南利明/佐藤蛾次郎/水島新司

ドカベンこと山田太郎がライオンズ入りした『ドカベン プロ野球編』のことは知っていたが、今はさらに進んで「2004年、夢開幕!! 土井率いる東京スーパースターズと小次郎率いる四国アイアンドッグスの新球団同士がいきなり激突!!」の『ドカベン スーパースターズ編』になっているそうだ。それで近鉄の身売り話について水島真司が四国四県で近鉄を買い取りフランチャイズを四国に移せばいいとか言ってたわけか。しかし、21世紀になっても『ドカベン』が連載してるとは思わなんだ。「すでに21世紀」というのもなんだか古くさい言い回しになってしまったが。

70年代に大ブームを巻き起こし、少年たちを野球へ野球へと走らせた『ドカベン』(週刊少年チャンピオンにて'74~'81に連載)は、当然のごとく映画化されている。製作したのは東映、そしてマンガ原作モノと来れば鈴木則文である。
誰もが、ギラギラと太陽の照らす中、白球が飛び交い、ユニフォームを着た選手たちがグラウンドを走り、バットの快音が響く、そんな映画を予想していたはずだ。
だが、85分の映画の中で野球をするシーンが登場するのはラストの数分間だけ。残りは何をやっているかというと柔道だ。太陽がギラギラどころか屋内である。ユニフォームじゃなく道着で、グラウンドじゃなく畳である。何故?何故なんだぁ~?
いや、真面目な話、連載当初の『ドカベン』は確かに柔道マンガなのであった。夏目房之介の『消えた魔球』(双葉社)によると「さよう、誰しも『ドカベン』を野球漫画として記憶している。(中略)が、この『ドカベン』、実は全篇の8分の1までは柔道漫画であった。」とのことで全48巻中最初の6巻の山田太郎や岩鬼は柔道をやっていたのだ。だから話の順番から言えば1作目であるこの映画が柔道モノになるのは間違ってはいない。間違ってはいないが残念なことに2作目はなかったし、そもそも続編を予定していたかも怪しい。主人公山田太郎を演ずるのは公募で選ばれた橋本三智弘。オーディションといえば聞こえは良いが、外見が山田太郎に似ているだけの単なる素人である。寡黙で口数の少ない役だから何とかなっていたものの、脇役ならともかく劇場公開作の主役に普通は素人を持ってこない。この時点ですでに後のことは考えていない、“一発ネタ”なわけだ。
そして、おそらくは野球より柔道のシーンを撮る方が楽だというのがあるだろう。柔道の試合場ならばセットの中に作ることができるが、グラウンドは無理だ。それゆえロケに頼らざるを得ず、天候などに左右されてしまうし、日中しか撮影が出来ない。また、選手にしても野球は両チーム合わせて最低18人。そしになにより、観客席に観客エキストラが必要でこれを集めるのが大変。ジャニーズ事務所のアイドル主演作ならば若いお姉ちゃんやあまり若くないお姉ちゃんが集まってくれだろうが、『ドカベン』の顔ぶれではちょっと難しい。お姉ちゃんたちに受けそうなのは永島敏行ぐらいだが、この作品がデビュー作だから当時はまだ知名度がない。
こんな具合に「おいおい」とツッコみを入れたいネタは多いが、そこをパワフルに突き進む鈴木演出には見せられてしまう。いや、この人はパワフルとかではなく、本当はものすごく上手い人なのかも知れない。タイアップであろうコカコーラの赤い看板をバックにした公園(だったか?)での決闘。柔道大会決勝戦でライバルの心をよぎる今は亡き妹の思い出と、妹の遺影と、山田太郎の妹サチ子のカットバック。笑いものにする点ばかりを探して、これらの胸を打つシーンを見落としたりしてないだろうか。
とはいえ、いきなりみんなで野球部に入部し、原作者水島真司が演ずる監督のノックを受け、
監督「(岩鬼に向かって)なんじゃお前は、不細工な面しおってからに」
岩鬼「おんどれが描いたんやろが」
と来た日にはわたしは降参である。
岩鬼役の高品正広はひょっとして高品格の関係者だろうか?

2004年07月08日

『デルタフォース3』 ニック・エリック・マイク

『デルタフォース3』(1991)

監督:サム・ファーステンバーグ 脚本:アンディ・ドイッチ/グレッグ・ラター/ボアズ・デヴィッドソン 撮影:アヴィ・カーピック 音楽:ロバート・トーマス・メイン
出演:ニック・カサヴェテス/エリック・ダグラス/マイク・ノリス

カーク・ダグラスの息子でマイケル・ダグラスの義理の弟であるエリック・ダグラスが7月6日に亡くなった。
エリック・ダグラス、そんなのいたのか?とフィルモグラフィを調べたら80年代に3本、89年に日本のVシネマ『クライムハンター2裏切りの銃弾』、そして91年の『デルタフォース3』があるようだ。
わたしが観ているのは『デルタフォース3』だけだが、どの役だったかすぐに思い当たらなかったが、顔写真を見てわかった。デルタフォースの一員で爆薬の専門家サミーだ。この男、任務に向かう飛行機の中で「軍を退任したら花火会社を設立するんだ」と仲間に話しており、部隊を脱出させるため爆弾を抱えて押し寄せる敵に飛び込んで自爆する。“戦争映画でその手の発言をしたらラストまでに死ぬ”の法則はやはり正しいようだ。
他の出演者は、主演のデルタフォース指揮官役ニック・カサヴェテスはジョン・カサヴェテスの息子。空手アクションを炸裂させるマイク・ノリスはチャック・ノリスの息子。2世揃いの2世ムービーだったのだ。
ただ、マイク・ノリスはぱっと見だとチャック・ノリスの息子ではなく弟ぐらいに見える。何故かというと、額がかなりヤバイ。かなり上の方までM字型に上がってきていて、とても28歳の頭ではないのだ。
それぞれに有名な俳優の息子たちが主演したこの映画だが、あまり面白くはない。当時敵国だったロシアの特殊部隊と組んで敵地へ侵入しアラブ人テロリストのリーダーを拉致し、テロリストによるアメリカでの核爆発を阻止するが、アクションシーンになっても盛り上がってこない。ダラダラと緊張感なく展開していき、やる気のないラストをむかえる。サミーとロシアの爆薬専門家が友情で結ばれていく辺りは良かったが。

2004年07月10日

『タイムトラベラー きのうから来た恋人』 35年を経て、地上へ

『タイムトラベラー きのうから来た恋人』(1999) BLAST FROM THE PAST

監督:ヒュー・ウィルソン 製作:レニー・ハーリン/ヒュー・ウィルソン 脚本:ヒュー・ウィルソン/ビル・ケリー 撮影:ホセ・ルイス・アルカイネ 衣装:マーク・ブリッジス  音楽:スティーヴ・ドーフ/スティーヴ・ティレル
出演:ブレンダン・フレイザー/アリシア・シルヴァーストーン/クリストファー・ウォーケン/シシー・スペイセク/デイヴ・フォリー

 1962年といえば世界が最も核戦争に近づいた年。ソビエト連邦がキューバに核ミサイル配備を配備し、それに対しアメリカ合衆国の大統領ジョン・フィッツジェラルド・ケネディは開戦も辞さずの強硬姿勢を取った。いわゆる“キューバ危機”である。
 “キューバ危機”についてはケヴィン・コスナーの『13デイズ』(2000)を退屈さを我慢しながら観ると「ある程度」は解る。つまりある意味でのアメリカ的視点については。ソビエト連邦やキューバの立場はまた別でそれぞれ言い分もあるだろうが、どのみち「映画はすべからくフィクションであるべきだ」なんで『13デイズ』もそもそも事実そのものじゃない。
 ともかく世界は緊張し、人々は核戦争におびえ、ロスアンゼルスのある科学者は妻と共に核シェルターにもぐった。
 そして、核戦争が実際には起きなかったことを知らないまま時は過ぎ、シェルターの中で生まれ育った青年がついに地上に出てくるのである。
 35年の年月を経て。

 60年代の価値観の男が現代に現れて起こる一騒動。
 「I love Sushi.」と寿司(Sushi)を勧められるが、寿司を何だか知らないので思わず「I love Lucy」と返す。60年代のアメリカ人は寿司なんか知らないというのと、スシと1950年代のアメリカのホームコメディ番組『アイ・ラブ・ルーシー』をかけたギャグになっている。ま、いわゆるカルチャーギャップ・コメディである。
 ポール・ホーガンがニューヨークに来る『クロコダイル・ダンディ』(1986)とか、ジャッキー・チェンが香港からロスアンゼルスに来る『ラッシュ・アワー』(1998)とか、マイケル・ダグラスがニューヨークから大阪に来る『ブラック・レイン』(1989)とか。最後のはコメディじゃないだろって気もするが。
 ともあれ、違う文化の場所に行ってそのギャップから笑いを生み出すのがカルチャー・ギャップコメディなんで、それが土地じゃなくて時間でも成立するわけである。逆に現在から過去に行く『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)もコメディという視点からではここに分類される。

 ある意味究極の世間知らずのお坊ちゃんを演ずるのはブレンダン・フレイザー。『ハムナプトラ』(1999)とはだいぶ印象が違う。というか、わたしの初観ブレンダン・フレイザーは『原始のマン』(1992)だったんで、『ハムナプトラ』の時が「印象が違う」だったんだが。

 父親役はクリストファー・ウォーケン。変人の科学者が案外似合っている。ただ、ドクター・ペッパーをホットにして飲むのはどんなもんだろう?変わった味がさらに変わった味になって裏の裏は表で美味しくなるのかも。誰か試してください。えっ、わたし?いやー、うちの方じゃドクター・ペッパーは売ってなくてさぁ。ほんと残念だ、手に入れば絶対やってみるのに。いやー、ほんとどうして売ってないかな~。てなことを書くと誰か送ってこないかな。

 クリストファー・ウォーケンはシェルターに入る前に株を持っていた。それを誕生日に「もう価値はない物だかな」と言いつつ息子に送る。
 その株券を地上の人が見てびっくりする。当時は安値だったのが今では成長して大企業になり、株はすごい価値になっていたのだ。
 「IBM、AT&T、ポラロイド!」
 ポラロイド?ポ、ポラロイド!? ・・・・・・・・・2001年に破産したじゃんか・・・
 なんつーか、1999年の時点ではスピード現像屋などはあったもののまだ大企業ではあったわけだ。それがほんの2~3年で諸行無常の響きありだな。
 うーむ、もう2~3年したら「あっ、IBM!?」とか思ってるのかも知れない。

2004年07月12日

マルクス兄弟主義者は今日も行く

ワーナーから出た『マルクス・ブラザーズ コレクターズ・ボックス』を購入。
マルクス兄弟主演6作品が5枚組で9,500円は暴れ出したくなるほどお買い得。収録されているのは『オペラは踊る』(1935)、『マルクス一番乗り』(1937)、『マルクス兄弟珍サーカス』(1939)、『マルクスの二挺拳銃』(1940)、『マルクス兄弟デパート騒動』(1941)、『マルクス捕物帖』(1946)。中期以降のMGM時代作品だ。
初期であるパラマウント時代の5作品の内『けだもの組合』(1930)、『御冗談でショ』(1932)、『我が輩はカモである』(1933)はユニバーサルから『マルクスブラザース コレクションBOX』として9,800円で発売済み。
どうにもBOXの名が似ていてややこしい。それから、ワーナーは『ブラザー“ズ”』、ユニバーサルは『ブラザー“ス”』と表記に食い違いがある。ではどちらが正解かというと、もちろん『マルクス“兄弟”』に決まっている。
値段はほとんど同じだが、収録数は6作品と3作品。ぱっと見ワーナーの方がお得だが、ユニバーサルの方にはコメディ映画史に燦然と輝く『我が輩はカモである』が入っている。答えはもちろん「どっちも買え」なのだが、マルクス兄弟作品を観たことがない人が「どんなのだろうか?」と買うにはセット売り9,000円台はちょっときつい。レンタルDVDにはなっていないようだが、出来ればレンタルもして欲しい。まずは借りてきてマルクス兄弟初体験をし、そこからはまってマルクス兄弟主義者が増えていくのではないだろうか。

そもそも、わたしがマルクス兄弟と出会ったのは1987年の夏。地元の古い映画館だった。
ジャッキー・チェンの『プロジェクトA2』(1987)と『漂流教室』(1987)の二本立てを観に行ったところ、夏休み企画としてだったのだろうか更に一本増えて三本目として上映されたのが『マルクスの二挺拳銃』だったのだ。
あらかじめマルクス兄弟作品の上映があると知っていたならまだしも、予想しておらずすっかり油断しているところへ突然あのけたたましくイカれたバカ騒ぎに襲いかかられ、ガツンと良いパンチをもらってしまった。『漂流教室』の大きな失点も、『二挺拳銃』ラストの機関車大暴走で帳消しの上に大逆転となった。
それから、「マルクス観たい、マルクス観たい」とぶつぶつ唱えるようになった。これが東京に住んでいたなら名画座などで観る機会もあったろうが、出来ることといったら品揃えの多いレンタルビデオ屋の話を聞いては探しに行くぐらいで、当時ポニーキャニオンから出ていたMGM作品をようやくいくつか観ることは出来た。

未だに『ココナッツ』『いんちき商売』『ルーム・サービス』は観ていないが、どこかがソフト化ないし放映して欲しいものだ。
・・・と思っていたら2005/03/25に『ザ・ベスト・オブ・マルクスブラザース』の発売が決定。だからマルクス兄弟だっつーてんのに。もうどれがどのBOXだかさっぱりわかりゃしない。
『ココナッツ』『けだもの組合』『いんちき商売』『御冗談でショ』『我輩はカモである』の5作品収録で「おいおい、マルクスブラザース コレクションBOXと3作品もかぶってんぞ。どうせ同一マスターだろうから、せめてばら売りしてくれよ。そしたら『ココナッツ』と『いんちき商売』だけ買うから」と思うんだがどうせセット売りのみなんだろう。前2BOXが結構売れたのだろうか。ちなみに8,379円。
ともあれ2005年3月末のマルキシストは今夜も眠れないぞ。

2004年07月14日

『ハートブルー』 いや、お前テッドだろ

『ハートブルー』(1991) POINT BREAK 1991/10/19

監督:キャスリン・ビグロー 製作:ピーター・エイブラムス/ロバート・L・レヴィ 製作総指揮:ジェームズ・キャメロン 原案:リック・キング/W・ピーター・イリフ 脚本:W・ピーター・イリフ 撮影:ドナルド・ピーターマン 音楽:マーク・アイシャム
出演:キアヌ・リーヴス/パトリック・スウェイジ/ゲイリー・ビジー/ロリ・ペティ/ジョン・C・マッギンレー

キアヌ・リーヴスを「大型新人現る!」と言った具合に売り出した作品だが、ほんの10日程前に『ビルとテッドの地獄旅行』を観ていたわたしには、いくらキアヌ・リーヴスがカッコつけても脳裏に焼き付いた例の長髪ウスラバカが邪魔しにかかる。『殺したいほどアイ・ラブ・ユー』(1990)でもバカだったし、そもそもキアヌ・リーヴスは子役上がりだから新人じゃないだろ。
カッコよさげな映像やシチュエーションを打ち出しているが、肝心の演出がいたって凡庸で登場人物もただのカッコつけ野郎にしか見えない。荒れ狂う海でのサーフィンや高々度からのスカイダイビングが、いくら見た目が派手でも映画におけるアクションとして成立していないのだから始末が悪い。アクション刑事映画というものを勘違いしているとしか思えないのだが。
ま、しょせんキャスリン・ビグロー。多くを期待するのがそもそもの間違いか。

2004年07月15日

水野晴郎シネマ館 どっちがオマケだ?

「ガムのオマケに映画のDVDが付いてくる。価格は税込み315円!」という情報がちょっと前にニュースサイトなどで飛び交った。
そんなに興味は覚えなかったのだが、コンビニで現物を見かけたら「『バリ島珍道中』は絶対欲しい。おっ、ロジャー・コーマンの『古城の亡霊』がある。恐怖映画俳優ボリス・カーロフが出てるのか、これは買いだな。アンドリュー・V・マクラグレン&ジョン・ウェインの『マクリントック』も良いし。うわー、うわー」と物欲中枢にアドレナリンが流れ込み、気が付いたら単品ではなく箱ごとレジに持って行っていた。ひょっとしてこの行為は“大人買い”ってやつか?うーむ、大人買い初体験。
幸いだったのは“買って開封しないと何が入っているか分からない”というシステムじゃなかったことだ。そうだったらダブリとやらで頭を悩ましていただろう。交換するといっても、『二人の女』を引き取ってくれそうな相手が思いつかない。ともあれ10枚で3,150円と、普通のDVD1枚かせいぜい2枚分の金額だ。しかも、ガムも付いてるしな。いや、逆か?でもガムったって一つに小さいのが一枚だしな。こちらがメインというのもかなり無理がある。
タイトルごとにほぼハガキサイズの水野晴郎氏によるリーフレットが付いている。400文字程度だが作品の見所や情報が記載されていてなかなかうれしい。ワーナーなんか通常タイトルでもチャプターリストすらついてないものな。

とりあえず『マクリントック』を鑑賞した。
まずは水野晴郎氏の解説から始まる。金曜ロードショーを思い出させて懐かしい。このスタイルが残っているのは今や木曜洋画劇場の「あなたのハートにはなにが残りましたか?」木村奈保子氏ぐらいなものだ。時折「なんにも残ってないよ!」と言い返したくなる作品もあるが、それはそれでテレビ東京の味だろう。
フィルムの傷が目立ち画質も良いとは言えないが、観るに堪えないという程ではない。近所のレンタルビデオ屋GEOで台湾プレスの今ひとつ謎なクラッシック作品群を見かけるが、それと同程度の画質だ。チャプターも打ってあり、字幕のON・OFFもできる。字幕の翻訳もそれなり丁寧で、ユニバーサル作品に時々あるような“明らかにおかしい字幕”ではない。全体的に値段を考えれば充分すぎる作りだ。
「1作品315円ならレンタルの方が安いじゃん」と言う人もいるかも知れないが、どのタイトルもレンタル用にはソフト化されていないか、ひょっとしたら『黄金の腕』あたりはなっているかも知れないが、かなり品揃えのしっかりした店じゃないと置いていないだろう。
画質に少しばかり難があっても、観れるだけでもありがたや。ぜひとも第2弾、第3弾を出してもらいたい。

2004年07月16日

『メダリオン』 ミツビーシ

『メダリオン』(2003) THE MEDALLION 飛龍再生 2004/06/26鑑賞

監督:ゴードン・チャン アクション監督:サモ・ハン・キンポー 製作:アルフレッド・チョン 製作総指揮:ジャッキー・チェン/ウィリー・チャン/アルバート・ヤン 原案:アルフレッド・チョン 脚本:アルフレッド・チョン/ゴードン・チャン/ポール・ホイーラー/ベネット・ジョシュア・ダヴリン/ベイ・ローガン 撮影:アーサー・ウォン 音楽:エイドリアン・リー
出演:ジャッキー・チェン/クレア・フォーラニ/リー・エヴァンス/ジュリアン・サンズ/ジョン・リス=デイヴィス/アレクサンダー・バオ

中学生の頃『プロジェクトA』を観て以来、数えてみると35本のジャッキー映画を映画館で観ていました。『メダリオン』が36本目。
『ラッシュアワー2』や『タキシード』が今ひとつだったので、さすがのジャッキーも年には勝てんかと思っていましたが、昨年末の『シャンハイ・ナイツ』がなかなかイイ。
ロンドンは下町での追い駆けっこが市場の屋台などセット・小道具を上手く活かしたスピード感のある物で、やはりジャッキーはバスター・キートンの正当なる後継者です。ただし悪人面ドニー・イェンとの格闘シーンは、ハイキックのヒットポイントの高さやスピードが明らかにドニーに劣っていました。まぁ一対一の格闘に関しては『スパルタンX』の対ベニー・ユキーデ戦などを除くとそんなにすごいのはなかったですから。

アクション刑事映画『メダリオン』ではダブリンで黒人を追いかけるシーンが良かったですね。壁の幅の狭い段差をトトトッと走り抜けるところや鉄格子の門をよじ登るところは見事。しかしもう50歳でしょう。若いというか落ち着かんというか。
病院での乱闘シーンはもう少し状況を活かしたアクションが欲しかったところ。

メダルの力でジャッキーが不死身になり、相棒がそれを確かめるためにナイフで刺してみる。ところが大丈夫。試しにもう一回、もう一回とやっているうちについ夢中になってプツプツと連続刺しをする。
子供がヘリコプターにさらわれ、ヘリに向かってビルの屋上からスーパージャンプをするがあとわずかのところで届かず、真っ逆さまに落下する。
などは笑わせてもらいました。

CGは使ってそうでカット数にすると案外使ってないんじゃないですかね。
少年がメダルを二つに分けるカットは、妙な動きで一旦服の袖元に持って行きますが、ひょっとして手品か?

ジャッキーと言えば三菱。
今作でも香港での自家用車、ダブリン空港でのレンタカーがそれぞれミツビシパジェロでした。
大丈夫か、タイヤ外れないか、クラッチ火を吹かないか。
えっ、不死身だから大丈夫?

2004年07月24日

『ロボコップ3』 ロボコップ4は海だろうか?

『ロボコップ3』 ROBOCOP 3 1993/5/1鑑賞

監督:フレッド・デッカー 製作:パトリック・クローリー 脚本:フランク・ミラー/フレッド・デッカー 撮影:ゲイリー・キッブ 特殊効果:ロブ・ボッティン 音楽:ベイジル・ポールドゥリス
出演:ロバート・バーク/ナンシー・アレン/レミー・ライアン/ジル・ヘネシー/ブルース・ロック/フェルトン・ペリー/マコ・イワマツ

SFアクション刑事映画の第三弾。
WOWOWの放映で久々に観た。やはり面白い。わたしにとってはシリーズ中ずば抜けてベストの傑作だ。
傑作『ドラキュリアン』を手がけたフレッド・デッカーの演出は軽快で、全二作の抑圧感がすっかりぬぐい去られている。1作目では殉職しロボット警官に改造されて記憶を失いながらも“マーフィー”という自我にこだわり続けていたが、3作目では人間時代のことはすっかり忘れたかのようにヒーロー“ロボコップ”になっている。それを象徴するかのように、中に入っている人もピーター・ウェラーからロバート・バークに変わっている。いや、これはピーター・ウェラーが「もう嫌だ」と断ったんだろうが。
そして重荷から解き放たれ鋼の身体がすっかり軽くなったロボコップは、もはや空を飛んでも違和感がない。中盤で“ロケットパック”がいかにもといった具合に登場し大方予想はつくものの、警察とチンピラを含めたリハッブ隊が戦っているところへロボコップが空の彼方からジェット噴射で弾丸のように飛んでくるシーンには「もうまいった」の一言。かなり無理矢理な合成なのだが、短いシーンなのでそれほど気にならない。というか気にするな。
もう一つの大きな違いが、絶対的な存在であったオムニ社も日本企業に買収されてしまっていることだ。日本人ボスを演ずるマコ・イワマツは、もちろん日本人から見てあまり気持ちの良い役ではないのだが、重みのある存在感を示していて頭一つ分ほども身長が大きいロボコップを前にしてもひるまずに堂々としている。いい役者だと思う。
一番好きなシーンは先ほどもあげたロボコップの飛行シーンだが、ちなみに次に好きなのは街のチンピラたちが悪党から武器を与えられ、その一人がヘルメットを被ろうとするがモヒカン頭なので被れないというバカなシーンだ。

2004年07月25日

『ポリス・ストーリー/香港国際警察』 ハンチモ~ランホチ~

『ポリス・ストーリー/香港国際警察』(1985) 警察故事

監督:ジャッキー・チェン 製作:レイモンド・チョウ/レナード・ホー/ウィリー・チェン 脚本:ジャッキー・チェン 撮影:張耀祖 音楽:マイケル・ライ
出演:ジャッキー・チェン/マギー・チャン/ブリジット・リン/トン・ピョウ

いやー、この映画には燃えたねぇ。これでもかぁってぐらいに燃えた。
主題歌だって「ハンチモ~ランホチ~ヘイチョンヤサンチ~、ランホユウチョンチェクサンチョイチャンタイイイ~、サンメンチョウトンキュウ、ラウハンメイホンコンシ~」と歌えるぐらい。当時高校生だったわたしは、文化祭か何かの打ち上げで(ジュースにお菓子だけの健全な打ち上げです)同じくジャッキーファンだった友人と二人でこの歌を合唱し周囲のひんしゅくを買った。ちなみに耳で聴いて無理矢理カタカナに置き換えただけだから「ハリウッド映画に出てくるインチキ日本人がしゃべる日本語」みたいなもんなんで、どこかにちゃんと広東語が分かる人が書き留めたカタカナ歌詞とかないだろうか?ついでにカラオケに収録されているとなおうれしい。香港のカラオケだと入ってたりするのだろうか。
どこかの空き地や廃工場、いつもの石切場などアクションの舞台は人気のないところが多いが、『ポリスストーリー』の場合は違う。オープニングは丘の斜面に立ち並ぶバラックのスラム街でそこをドッカンドッカンぶち壊しながら下っていく問答無用のカーチェイス。このシーンは『バッドボーイズ2』(2003)でそのまんまパクられていた。
そしてなによりラストの客がいっぱいいるデパートでのマンチェイスだ。商品棚やハンガー掛けなどの比較的小物から、階段・エスカレーター、果ては展示されてるバイクまでと、状況を活かしたアクションの次々と繰り出される。これはクンフー物の枠を越えた近代アクションへとジャッキー・チェンが移っていったという意味でも重要だ。実際、この映画でのジャッキーは走る・飛ぶ・跳ねる・そして落ちるは存分にやるが、格闘アクションは驚くほど少なくほとんどのエネルギーは戦うではなく追うか逃げるかに費やされているのだ。
現在入手できるDVD版は、ジャッキーが悪党のボスであるチュウを激しく殴り倒し、同僚の刑事に制止されるところでストップモーションになりそのままぶった切ったように終わってしまうという、今ひとつ後味の悪い物だ。昔の香港映画はそんなかんじでまったく余韻が無く唐突に終わる物が多かった。だが、わたしが劇場で観た日本公開版だと、その後デパートの外に移り、警察に保護されパトカーに乗るブルジット・リンとジャッキーが一瞬視線を交わすシーンが追加されていた。こっちの方が良いと思うのだが。

2004年07月26日

『検事Mr.ハー/俺が法律だ』 困った癖の検事さん

『検事Mr.ハー/俺が法律だ』(1986) 執法先鋒 1989年後半に鑑賞

監督:コリー・ユン 製作総指揮:レイモンド・チョウ 脚本:バリー・ウォン/スゼット・チェク・ホン 撮影:トム・ラウ 音楽:ロメオ・ディアズ
出演:ユン・ピョウ/シンシア・ラスロック/メルヴィン・ウォン/ユン・ケイ/ウー・マ

タイトル通りにユン・ピョウが検事を演じている。ただしこの検事、自分が検察を担当した裁判で負けて悪党が釈放されると、その居所に忍び込んではクンフー技で惨殺してしまうという困った癖がある。クンフーを磨いてる暇があったら検察官としていっそうの勉強をするべきだろう。
同じような例だと『デアデビル』のベン・アフレックがいて、こちらも裁判で自分を打ち負かした相手を自警団気取りで殺しに行く。自分の弁護士としての能力が不足していたと反省はしないんだろうか。
闇の始末人Mr.ハーの存在に気づき捜査を進める白人女性刑事がシンシア・ラスロック。同じくユン・ピョウ主演のオールスター大作『冒険活劇/上海エクスプレス』でも見せていた切れ味の良い格闘アクションが格好いい。中でも女性悪役との対決は一見の価値あり。
全篇にユン・ピョウの身体を張った命がけな“痛い”アクションが満載。同じようなアクションでもジャッキー・チェンだとコミカルな味わいがあるが、この映画はシリアス風味なのでやけに悲惨でその分余計と痛そうに感じる。
ラストでは空高くを飛ぶ小型飛行機からユン・ピョウがパラシュートなしで海に向かって飛び降りる。うぉっ!まさに命がけ。バッシャーンと大きな波しぶきをあげて着水し、そしてカメラが波にユラユラと揺られるユン・ピョウに寄っていくと・・・・・・死んでる。
飛び降りた意味ねーっ!

かくして登場人物のほとんどが“無駄”とも思える死に方をして、何の救いもないまま映画は幕を閉じるのであった。

2004年07月28日

『マッハ!』 仏像の頭を返せっ!

『マッハ!』(2003) ONG-BAK 2004/7/28鑑賞

監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ 製作:プラッチャヤー・ピンゲーオ/スカンヤー・ウォンサターバット 製作総指揮:ソムサック・デーチャラタナプラスート 脚本:スパチャイ・シティアンポーンパン 撮影:ナタウット・キティクン 美術:アッカデート・ゲーオコート 編集:タナット・スンシン/タナパット・タウィースック
出演:トニー・ジャー/ペットターイ・ウォンカムラオ/プマワーリー・ヨートガモン/スチャオ・ポンウィライ/チェータウット・ワチャラクン/ルンラウィー・バリジンダークン

予告編を観たときにはさして興味を引かなかった。いやそれどころか「CGを使いません。ワイヤーを使いません。スタントを使いません。早回しを使いません。最強の格闘技ムエタイを使います」というコピーには反感すら覚えた。
CGを使うか使わないか、スタントマンを使うか使わないかなどは、あくまでも作り手の都合といったようなもので、観客にとっては撮影現場がどうだろうとそれはまったく関係なく映し出された画面だけが全てだ。
例えば「このシーンは主役の俳優自身がスタントマンやSFXのサポート無しで実際に飛び降りた。だから凄いシーンだ」という感想は本質的に的外れである。スタントマンがサポートのワイヤーで支持されて飛び降り、CG処理でそのワイヤーを消したシーンであったとしても、観客に感じさせるインパクトがあれば何の問題もない。危険なアクションに体当たりで挑んでいることを変に持ち上げすぎるのは疑問である。
映画の黎明期ならともかく、現代映画におけるスタントマンとは、高度な肉体訓練を受け、車やバイクの運転技術に長けており、必要ならば爆発物に関する知識も習得したプロフェッショナルであるべきだ。だからこそ危険を含んだスタントシーンが実現できる。スタントマンが単なる命知らずの冒険野郎だとしたらスタントシーンは単に運任せになってしまい、死傷者が続出することだろう。
突き詰めるところ映画は“娯楽”だ。しょせん娯楽に人が命をかけたり大怪我する必要があるとはとうてい思えない。

それはそれとして、確かに『マッハ!』には身体を張ったアクションが連発するが、安全基準法を無視したような無茶なアクションは実のところ出てこない。ちゃんとしたスタントチームが参加していたようで、それなりに安全対策が取られている。主人公がトゥクトゥク(三輪タクシー)を飛び越えるシーンでは下にマットレスがちらっと映っていたりする。
一番の見所は主人公と相棒がチンピラに追いかけられるマンチェイスシーンだ。屋台の並ぶ路地裏を若き日のジャッキー・チェンを思わせる身軽さで跳んだり跳ねたりしながら逃げまくる。直径40センチもないような有刺鉄線の輪をくぐり抜けたり、運んでいる最中の大判ガラスの間をすり抜けたりとフットワークがとても軽い。大判ガラスが登場した時には、「ああ、これはその後で悪人が突っ込み割れるんだな」と思ったのだが、残念ながらそれはなかった。並んでいる人の肩の上をトトトトッと駆け抜けるシーンも良い。
一つのアクションを違うカットから二度、三度と繰り返すのもジャッキー風味。といっても別にジャッキー・チェンのコピーなわけではないが、まだ観ていない人には一番分かりやすい比喩だろうか。
相棒(南伸坊似)が追いつめられ、屋台のオヤジからから小さな包丁を奪ってそれで脅す。しかし、悪人たちはせせら笑ってぜんぜん気にしない。そこで大振りの中華包丁に取り替える。今度はおおっとビビる悪人たち。にらみ合う両者。緊張した瞬間が流れる・・・そしてその間を「えー包丁、包丁はいらんかね~」と山ほど刃物を背負ったオバさんの物売りが通り過ぎていく。このタイミングの絶妙なこと!

主人公のトニー・ジャーが「まるで体操選手みたいな動きだな」と思ったら、なんでもスタントマン出身なんだそうだ。なるほど、動きにキレがあるわけだ。代わりに格闘技は専門でないようで、売りであるムエタイのシーンはそれほど迫力がない。スピードはあるのだが、肘打ち・膝蹴りに破壊力が感じられず軽い打撃な印象だ。賭け闘技場を訪れ誤解からリングに上げられたときに、相手の頭部にハイキックを決めて一瞬で倒すのだが、その説得力としての衝撃の強さが伝わってこない。
技が決まっても「ペシッ」というスリッパで頭をはたいたような音しかしないのも迫力が不足している理由の一つだろう。もちろん、実際に人間が殴り合っても「バキッ!」とか「ドカッ!」などという音はしないのでリアルではあるのだが。
学生服を着た日本人(なんで学生服なんだ)とも戦うが、この日本人は負けるとさっさと降参し主人公が後ろを向いたところに襲いかかる分かりやすい卑怯者ぶりだ。グレート東郷か、お前は。
終盤になり主人公たちは古美術窃盗団のアジトに乗り込んでいく。山腹の洞窟というのがいかにも悪役っぽい。

タイの映画というので観る前に若干の偏見があったのだが、これがどうして(これも失礼な言い方だが)なかなかちゃんと映画になっている。
村から奪われた仏像の頭を取り返しに主人公が都会に出てくるという脚本はシンプルだが、アクションを楽しむ映画なので問題はない。画面的にも構図やカット割りがちゃんとしている。役者の演技については外国映画なのでちょっと分かりにくいが、南伸坊や人工声帯でしゃべるボスなどなかなか良かった。主人公は確かに大根だが。
タイ映画の今後には期待していいだろう。

2004年07月30日

『私の愛したゴースト』 黒人の心臓が白人に

『私の愛したゴースト』(1990) HEART CONDITION 1991/2/25鑑賞

監督:ジェームズ・D・パリオット 製作:スティーヴ・ティッシュ 製作総指揮:ロバート・シェイ 脚本:ジェームズ・D・パリオット 撮影:アーサー・アルバート 音楽:パトリック・レオナルド
出演:ボブ・ホスキンス/デンゼル・ワシントン/クロエ・ウェッブ/レイ・ベイカー/ロジャー・E・モーズリー

心臓発作で倒れた刑事に急死した弁護士の心臓が移植される。一命を取り留めた刑事だが、心臓の持ち主である弁護士の幽霊に取り憑かれることとなった。弁護士は自分を殺したのは麻薬・売春組織であり、恋人だった娼婦を守って欲しいと訴える。自分以外には見えない幽霊に悩まされながらも刑事は捜査に取りかかる。といったコメディホラー刑事映画。

主人公の刑事はボブ・ホプキンス。弁護士はデンゼル・ワシントン。チビ・ハゲな白人であるボブ・ホプキンスとスマートでハンサムな黒人のデンゼル・ワシントンという対比の強い組み合わせが面白い。
ただ、幽霊という設定が上手く活かされているとはいえず、たんにバディ(相棒)ムービーの亜種に止まっているのは残念。
幽霊には恋人がいて自分を殺した悪人が彼女も狙っている点、幽霊が取り憑いた相手とは人種や年齢などで大きなギャップがある点など、『ゴースト ニューヨークの幻』(1990)のパクリかと思えるような相似点があるが、両作とも同じ1990年製作なので脚本段階で盗み見たのでなければ単なる偶然だろう。
逆を言えば、同じような作品である分だけ『ゴースト ニューヨークの幻』と比較され不利になっているように思う。