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『真夜中の虹』 北欧のキャデラック

『真夜中の虹』(1988) ARIEL 1990/12/10鑑賞

監督・脚本・製作:アキ・カウリスマキ 撮影:ティモ・サルミネン 音楽:ヨウコ・ルッメ 出演:トゥロ・パヤラ/スサンナ・ハーヴィスト/マッティ・ペロンパー/エートゥ・ヒルカモ

フィンランドの鉱山が閉鎖され職を失った男が、コンパーチブルのキャデラックで南へとあてのない旅に出る。その道中で出会った人々や事件が淡々と描かれる。登場人物は感情を露わにせず、静かに日々を暮らし時に死んでいく。
男は強盗に有り金を奪われ、また自らも銀行強盗となる。犯罪の被害者・加害者両方の立場が出てくるが、そこに善悪の区別はなくただ行動のみが描かれる。
閉め方が分からずに雪の降る中でもずっと開けっ放しだったキャデラックの幌は、ナイフで刺され死ぬ間際の相棒が押したスイッチでようやくと閉まっていく。まるで棺桶の蓋が閉まるように。
アキ・カウリスマキは普通ならばことさらにドラマチックに盛り上げようとするシーンを実にあっさりと描く。だが、いやだからこそわたしの様なひねくれ者の心を動かすこともある。アキ・カウリスマキ作品は“味の薄い料理”ではあるが、“味のない料理”では決してない。日頃、塩コショウの効いた“味の濃い料理”に慣れすぎているてすぐには舌がついて行かないが、じっくりと噛みしめればその味わい深さが伝わってくる。
刑務所の旋盤でプロポーズのために指輪を作るシーンなど、アキ・カウリスマキは斜に構えたニヒリストでいながら、どこかロマンチシストでもある。

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