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『ピンポン』

『ピンポン』(2002) 監督:曽利文彦 原作:松本大洋 脚本:宮藤官九郎 VFX:曽利文彦 出演:窪塚洋介/ARATA/サム・リー/中村獅童/大倉孝二/夏木マリ/竹中直人

 オープニングの窪塚が橋の欄干に突っ立っているシーンからしてなかなかよくて、しかもそれは映画の中盤で再び登場する重要なシーンだったりする。そこら辺からして、それなりに脚本がよく出来ているのではないだろうか。
演出については同じVFX出身の監督でも『リターナー』の山崎と比べると曽利はかなりマシである。派手なところは派手に、抑えるところは抑える。メリハリの効いた演出である。
 役者陣もなかなか良くて、わたしとしてはドラゴンを演じた中村獅童の力の入りまくりつつ抑えた演技(矛盾してるか?)が好み。ペコの窪塚もスマイルのARATAもそれぞれ自分の役割をきちんと把握しているようで、窪塚のバカ、ARATAのシラケとなかなか良い。ただし、竹中直人は相変わらずの演技だが、これは竹中直人が悪いのではなくて、監督の責任だろう。この竹中直人の演技は彼の本来の芸風を元に周防正行が確立させた物で、著作権は周防正行にあると思うのだが。その点、きうちかずひろは『カルロス』シリーズで竹中直人の悪人顔を活かした極悪非道の日系ブラジル人を演じさせていた。
 ただ、誉める部分だけではなくて、まず卓球シーンなのだが、CGを利用して息詰まる試合を描いているのはいいのだが、ラケットに球がぶつかるのを超アップで撮ったり、海王学園のみんな頭を剃った卓球部員たちが一糸乱れぬ動きで練習していたりとやりすぎなシーンも多々見受けられて、いったいシリアスなのかギャグなのかどちらがやりたいのか首をひねる部分もあった。その点、ひたすらバカのためにCGを利用していた『少林サッカー』はやはりスゴイのだろう。
 それと、ストーリーがペコが主役の部分とスマイルが主役の部分にくっきりと分かれていて、ちょっと見づらい。マンガならば分量もあるのでちゃんと処理できるのだろうが、2時間ほどの映画ではちょっと欲張りすぎではないだろうか?もうちょっとどちらかの主役としてのスタンスを強くして役割をはっきりしてほしかった。
 カットといえば、子供時代のシーンのいくつか(特にペコが鉄人28号の格好をしているシーン)、ピンポン球に人が埋もれている幻想的シーン、そしてペコとドラゴンによる天国での卓球などの“いかにもなシーン”はいらない。どうも「ほらほら、オレらってイケてるし~」といった勘違いの匂いが漂ってくる。

 その後を描いたラストはなかなか良し。しかし、ドイツには卓球のプロというのがあるのか。いろんなプロがあるもんである。

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