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『マジェスティック』

『マジェスティック』(2001)  THE MAJESTIC  監督:フランク・ダラボン 製作:フランク・ダラボン 脚本:マイケル・スローン 出演:ジム・キャリー/マーティン・ランドー/ローリー・ホールデン/アレン・ガーフィールド/アマンダ・デトマー/ボブ・バラバン/ブレント・ブリスコー/ジェフリー・デマン/ハル・ホルブルック/ロン・リフキン/デヴィッド・オグデン・スタイアーズ/ジェームズ・ホイットモア/ジェリー・ブラック/キャサリン・デント

 わたしぁねぇ、絶対に許しませんよ。ええ、誰がなんと言おうと許すもんですか。
 世の中、やっていいことと悪いことがあります。この作品では一つ、とても大きなやってはいけないことをこれ見よがしにやっています。
 わたしぁねぇ、それがどうしても許せんのですよ。

 ハリウッド最大の汚点であるレッド・パージいわゆる“赤狩り”を扱っておきながら、なんのことはない甘ったるいファンファジーにすぎない。なら、赤狩り持ち出す必要ねーじゃん。映画の中に題材として赤狩りを持ち出したんなら、もっと腹くくって正味を描けよ、正味を。描けないってんなら、はなから持ち出すなっつーの。別に主人公は若手の脚本家じゃなくて普通の犯罪者でもいいじゃん。

 先日亡くなったエリア・カザンだが、赤狩りの最中に自分及び数名の映画人が共産党員であることを告白することでハリウッドに生き残った。エリア・カザンは紛れもなくゲス野郎だが、誰も好きこのんでゲス野郎になったわけでもなかろう。ヤツなりに映画を取るか捨てるかにおいて苦渋の選択による告白ではあったのだ。もちろん、そのとばっちりで映画界から追放された相手はたまったもんじゃないが。
 主人公はエリア・カザンと同じ選択を迫られる。
 で、悩むか?苦しむか?
 んにゃ。独りよがりな演説で万事解決。
 と思わせておいて一ひねりしたが、結局『幸せの黄色いハンカチ』で終わる。映画を捨てて女の待つ田舎に逃げましたか。なんじゃそりゃ。ラストで薄っぺらな感動に逃げても、誰の痛みも消えないっつーの。
 あー、もう『ニューシネマ・パラダイス』と(1989)並ぶ“嫌悪すべき作品”だな、こりゃ。

 いっそのこと、こういうストーリーにしちゃえ。
「ある日、海辺に一人の男が倒れていた。男は以前の記憶をすっかり失っていた。一人の老人が男を指さして叫ぶ。「彼は“若人あきら”だ!」・・・しかし、彼は次第に記憶を取り戻す。そう、彼の本当の名は“我修院達也”・・・」

 同じような傾向の作品として、アメリカ球史最大の汚点『ブラックソックス事件』を扱いながら、「それを作れば彼がやってくる」てな具合にファンタジーにしてしまった『フィールド・オブ・ドリームス』(1989)があるけど、こっちはありだと思う。作品としての出来がってことじゃなく、題材はあくまで“野球”だから観るにたえるってことで。
 “映画”を題材にした“映画”をちゃんと撮るにはキレ者でかつヒネクレ者にやらせないと。
 ダラボンじゃとてもじゃないがその器じゃない。

 やっぱ、わたしはフランク・ダラボンって駄目だわ。
 「ふーん」の『ショーシャンクの空に』(1994)、「あーな」の『グリーンマイル』(1999)だもんなぁ。
 この人ってひたすら二流の監督なんだと思う。でもって、この二流の監督ってのが一番始末に負えないんだわ。面白い映画撮るのは一流か三流の監督。二流は生真面目なのが取り柄の凡庸な監督。
 まぁ、WOWOWにて初見なのでせめて被害が少なかったか。劇場で観てたら憤死だぞ。

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