『東京暗黒街・竹の家』(1955) 監督・脚本:サミュエル・フラー 出演:ロバート・スタック/ロバート・ライアン/山口淑子/キャメロン・ミッチェル/ブラッド・デクスター/早川雪洲
この作品を国辱映画という神経が分からないし、それだけの理由で否定してしまうのも分からない。
作品中で日本がちゃんと描かれているかなんて事はどうでもいい。日本を正確に描くのが目的ではなく、日本的なものを使いたかっただけだし、そういった意味では十分に成功している。
犯罪組織に潜り込んだ男の活躍といった形だが、そんなことよりも白人男性と日本人女性の関係に全てが集束する。
風呂桶の中での殺しや、デパートの屋上での銃撃戦などのシーンがいい。緊張した画面の連続が心地いい。傑作である。
『マイノリティ・リポート』(2002)の眼球移植屋の部家で、壁に映し出されていたのが上記の『東京暗黒街 竹の家』の風呂桶での殺害シーンだ。
普通の和室の中に檜風呂があるというセットは確かに奇妙ではある。しかし、部屋に入って来るなり入浴中の男をいきなり射殺するという突発的な暴力描写の前にはどうでもいいことだ。わたしが観た1990年においてすら充分衝撃的であったのだから、初公開時の1955年の観客が受けた衝撃はいかほどのものだったのだろう。
ぜひもう一度観てみたい作品である。