『スナイパー』(2002) 監督:カリ・スコグランド 出演:ウェズリー・スナイプス
『ボーリング・フォー・コロンバイン』(2002)+『フォーン・ブース』(2002)といった趣である。
つまらないものにつまらない映画を足したのだからこれまたもちろんつまらない。
某高校での生徒による銃乱射事件で娘を失った男ジョー(ウェズリー・スナイプス)が怒りに燃え復讐に立ち上がる。標的になるのは「おのれらが銃を作るからいかんのやんけぇ」という理由で銃器製造メーカー。そこで、南北戦争当時から銃製造会社を営んできた一族の女性に目を付ける。彼女を街頭のホットドックスタンドに足を手錠でつなぎ、自分は少し離れたビルから携帯電話を使って彼女に連絡し、また彼女経由で警察やマスコミと接触する。
「オレの言うことを聞かないと撃ち殺すぞ」
狙撃用ライフルの照準をあわせながら男は脅す。
って、お前は銃に怒りを覚えてこの事件を引き起こしたんじゃないのか。自分も銃を使ってどうするよ。しかもかなり大型で殺傷力強そう。それで警官やテレビのレポーターを実際に射殺してしまいその上で銃規制を訴えるのだから、なにが言いたいのかもやりたいのかもさっぱりだ。
どうもジョーは元CIA特殊工作員で、過去には世界中で活動していたなどということが語られる。その頃の心の傷が犯行理由の一つとなってきて、さすがにもう何を況やである。あちこちでさんざん暴れてきて、いざ自国で娘が乱射事件に巻き込まれるとブチ切れて人殺しとはたちが悪い。政治家と癒着して汚く稼いできた銃器メーカーの会長が悪者ということで話は終わるが、ジョーの方がよっぽど悪人なんじゃないと思えてしょうがない。
下手に社会問題を持ち込んだのでサスペンスとしてはグダグダ。銃問題を世間に訴える手段として狙撃事件を起こし、更には眉も動かさず冷静に警官を射殺するあたり、ジョーが静かに狂っていることの証である。そこら辺をもうちょっと踏み込んでくれれば面白くなったのかもしれない。
いっそのことジョーが「銃反対!規制しろぉ!撲滅だぁ!」と叫びながら銃を持っている連中を次々撃ち殺していくブラックコメディってのはどうだろうか。
ところで、銃器メーカーの会長が電話先のジョーに向かってこんなセリフを言う。
「お前は会社人間(company Man)か?いや、会社人間(company Man)ならこんなことはしないな」
・・・会社人間ってなぁ・・・ジョーは残業や休日出勤ばかりで家族との交流がなかったのが原因なのか。
いや、ジョーが特殊訓練を受けてたことのある人物だと分かった後のシーンなのだから、このcompany manはCIA関係者の意味の隠語だろ、普通。
CIAのことをCompany、CIAの仕事をCompany businessと呼んだりするのはハリウッド映画では常識だと思うのが、単に知識として知っていなくても、なんで会長が“会社人間”であるかどうかを気にしているのか字幕翻訳者は疑問に思わなかったのだろうか。もちろん、話の流れから言っても“会社人間”は関係なく、そこでちょっと調べればCIA関係者のことだと分かるものだろうに。
外国語がろくに分からない私の場合、どうしたって字幕や吹き替えが頼り。鑑賞料などの一部は翻訳料として払っているのだから、ぜひともプロとしての仕事をお願いしたいものだ。
コメント (2)
ハ!ハ!ハ!ハ!つまらないものにつまらない映画を足したのだからこれまたもちろんつまらない。ハ!ハ!ハ!ハ!ぎゃくに観てみたくなりました。
Posted by: けん | 2008年03月01日 21:06
日時: : 2008年03月01日 21:06
けんさん
ほんと、論理展開がよく分からない映画ですよ。それだけウェズリー・スナイプスが狂ってるということなんでしょうか。『フォーン・ブース』は着目点は面白いので「つまらない」と言い切るのはちょっと抵抗あったんですが、筆の勢いでついってやつです。
Posted by: 東森時音 | 2008年03月02日 00:03
日時: : 2008年03月02日 00:03