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『ホット・ロック』 アフガニスタン・バナナ・スタンド

『ホット・ロック』(1971) 監督:ピーター・イェーツ 出演:ロバート・レッドフォード 原作:ドナルド・E・ウェストレイク

ドナルド・E・ウェストレイクの犯罪コメディ、ドートマンダーシリーズからの映画化。
犯罪プランナーのドートマンダーは天才的なアイディアに完璧なプラン、そして腕利きのメンバーで仕事に取りかかるのにどういう訳か毎回失敗ばかり。この『ホット・ロック』事件でも、どういうわけか同じダイヤモンドを2度も3度も盗み出す羽目になる。
まったく、生来もって運が悪いのだろうか。ドートマンダーの頭は痛むばかりである。

原作も傑作だが、映画の方も傑作。
ドートマンダーをリーダーとする4人組がアフリカの小国の大使から依頼を受け博物館からダイヤを盗み出すことになる。いったんは盗み出すことに成功するのだが、逃走の途中でダイヤを持った仲間が捕まりその男は警察に見つからぬようダイヤを飲み込んでそのまま刑務所へ。このままでは終わらせられないと今度は刑務所を襲撃することにするが・・・

冒頭のドートマンダー(レッドフォード)の出獄シーンからラストまで軽快なタッチで物語が進む。
全編で犯罪が繰り広げられるが、死人はおろかまともな怪我人すら出ないのがうれしい。暴力なしで頭を使って驚くようなアイディアでダイヤを盗むのはさすがプロの仕事。
最後には「いくらなんでもそりゃないだろ」という手段まで登場する。作品全体のバランスから考えると前代未聞ではあるが現実的な手段を取って欲しかったものの、ありでしょうあれも。えっ、どんな手段かって?ヒントはアフガニスタン・バナナ・スタンドだっ!・・・分からないよな、これじゃ。

ウェストレイク自身はドートマンダー役はハリー・ディーン・スタントンがいいのではないかと言っている。レッドフォードが悪いと言うことはないが、確かにハンサム過ぎるし爽やか君だ。
ドートマンダーは元々の斜に構えた性格と失敗続きで、原作では割と屈折した人物として描かれているので確かにレッドフォードではちょっと違う。だからといってハリー・ディーン・スタントンでは主役には地味だが。

仲間の一人の父親役がゼロ・モステル。メル・ブルックスの『プロデューサーズ』などで見せた怪演がここでも披露される。ダイヤを横取りして息子を犠牲にしても平気な強欲ぶり。それに対する息子の怒りの言葉が「パパ、日曜日の朝食をもう一緒に食べないからね」。いいのか、見殺しにされたお返しがそれだけで。

途中で、ニューヨークの空をヘリコプターで飛び回るシーンがある。
眼下に広がる1971年ニューヨークの風景。その中にすっくとそびえ立つ2つの高層ビル。片方はまだ上部が工事中のそれは国際貿易センタービルだった。

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コメント (2)

藁の猿:

貴兄の映画に対する深い見識、とりわけB級物への愛情が滲む論評、愉しく読ませてもらっています。
この「ホットロック」は小生も、もう20年以上も前になりますか、TVの深夜映画で見ただけで、細部はオボロなのですが、ただこの呪文だけはなぜか忘れられません。で、確認なのですが、あれは確か、「アフガニスタン・バナナ・スタン」(意味は特に無いが、韻を踏んだ語呂の良さと謎めいた響きが肝要)だったと思います。
貴兄に触発されて、また見たくなってきました。
あぁ、それから、これは小さいことですが、文中の誤植をひとつ。「前編」→「全編」

東森時音:

藁の猿さん

『ホットロック』は原作が何作もあるのに続編が作られないのが不思議でしょうがありません。
派手なアクションがないせいですかね?
しかし、ドートマンダーらが知恵と技術を駆使して、暴力を用いずに犯罪を繰り広げるあたり実に痛快です。

映画バカ黙示録は、いつも思いついたらそのまま一気に書き上げ、読み直しをしないままアップしてしまうので、実はかなり誤字や文字の重複があったりします。
全編→前編のご指摘ありがとうございました。さっそく訂正しておきました。

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