『ドーン・オブ・ザ・デッド』(2004) 監督:ザック・スナイダー 出演: サラ・ポーリー、ヴィング・レームズ
別にオリジナルの『ゾンビ』(1978)をことさら持ち上げて傑作だと言うつもりはないが、ホラー映画としてもアクション映画としても中途半端なこのリメイク版に個人的に魅力は感じなかった。
78年版の好きなところは、人間がゾンビに食われる流血シーンでもなければ、トレーラーを奪取するアクションシーンでもなくて、立てこもった建物をゾンビに包囲されてしまい主人公4人は動きが取れなくなってしまうがそこはショッピングモールのこと、物資は山のようにあり着飾って食事をしてみたり屋内スポーツやゲームセンターで遊んだりと不自由のない生活を送る。しかし、いったんカメラが屋外に出るとそこにはゾンビの群れがうろつく地上の地獄と化しているという一種不条理を思わせる一連のシーンなのだ。
残念ながらその“異常な日常”っぷりはほとんどなくなっていた。
リメイク版ではショッピングモールに立てこもる人数が10人以上になっており、人種や年齢の幅が増えた分だけ人々の間での愛憎や派閥争いなどが盛り込まれるのかと思ったのだが、実際にはストーリーに意味をなしていない。では、せめて“食われ要員”として活躍してくれるのかと思いきや、残酷描写は控えめになる傾向のためあまり食われてもくれない。結局、ただいるだけのキャラクターが多すぎる。
一番魅力的だった人物が、駐車場を挟んで通りの向かい側にあるビルにただ一人取り残されてしまい、暇つぶしにゾンビを屋上からライフルで撃っては「どーだ、当てたぜ」とスケッチブックに書いて双眼鏡でのぞく主人公たちに見せる銃器店の男だろう。どうでもいいが、バート・レイノルズとはな。
逆に、一番嫌だったのが犬について大騒ぎする女性だ。雲霞のごとくゾンビがあふれている中、一匹の犬が危ないからどうしたというのだ。それで自分はおろか仲間の身も危険にさらす必要がどこにある。スリルを盛り上げるために嫌われ役として描いたのかとも思ったがどうもそうではなさそうだ。しかも、ハリウッド映画のこと、例によって人が怪我したり死んだりしても犬は無事だ。
主人公の女性がショッピングモールにたどり着くまでの、すでにゾンビがうろつき始めた住宅街をカローラで走る冒頭のシーンはなかなか良い。ガラス越しの遠景で人が襲われたり逃げまどっているのは下手にアップにするよりも怖い物がある。だがラストの脱出シーンからはCM界出身のこの監督にアクションの才能は見て取れなかった。
どうでもいいが、『キャスト・アウェイ』(2000)で、無人島に漂着したトム・ハンクスが苦労してイカダを作り脱出して、何日もかかってようやくのことで大陸にたどり着いたら、世の中ゾンビであふれかっていたんだったらさぞ嫌だろうなぁ。