『野獣の青春』(1963) 監督:鈴木清順 出演:宍戸錠、小林昭二 原作:大藪春彦
近所のGEOで『野獣の青春』のDVDがレンタルされていたので驚いた。しかも、『関東無宿』や『東京流れ者』まである。なかなかやるな、GEO。
これらはヤギのようなヒゲが目印の鈴木清順監督作品だ。鈴木清順といえば『ツィゴイネルワイゼン』(1980)や『夢二』(1991)のような幻想的で難解な映画の印象が強いが、1950~1960年代は日活で主にハードボイルド系の娯楽映画を手がけており傑作・良作も数多い。
ただ、次第に趣味色を強めていって、ついには『殺しの烙印』(1967)で日活幹部から「こんな訳の分からん映画を撮る奴はいらん」と首を切られ映画界から干されることとなる。このことについては日活幹部を責める人も多いが、個人的には『殺しの烙印』を観るとそれも仕方ないかなとも思ってしまう。1971年には日活はロマンポルノへ転向することとなるわけで、1967年というとかなり経営が苦しくなっているのだ。会社が好調ならば『殺しの烙印』のような映画がたまに作られても受け入れる余裕があるだろうが、この時期の日活にそれを期待するのは酷というものだ。
『野獣の青春』は日本のハードボイルド映画の最高傑作と言っていいだろう。
連れ込み旅館で無理心中をした男女。男の持ち物から警察手帳が見つかる。モノクロの画面の中花瓶に生けられた一輪の花だけが赤い。
そして街に現れた一人の男がチンピラを叩きのめす様をひたすらロングで捉え続けるオープニング。ここですでに背筋がぞくっとくる。
ジョーという名のその男(宍戸錠)は野本興業という暴力団に雇われる。ボスの野本役はウルトラマン・仮面ライダーなどの小林昭二。うひふふふと笑うサドのナイフ使いという悪役が意外に似合う。
ジョーは野本興業と敵対する三光組とも内密に組み始める。どうやら、ジョーには目的があるようなのだが・・・
映画館のスクリーン裏にある三光組の事務所、黄砂吹き荒れる野本の家など美術面でも見所が多い。ロケーションで1963年当時の東京の風景をきれいに収められている。麻薬取引の場所が矢切の渡しだったりする。
一瞬で終わる銃撃戦の迫力。銃を突きつけ合い、撃ち合う二人の男。おおっ、タランティーノかジョン・ウーか。
南という男がジョーの相棒になるが、この男ちょっと頭が足りなくて女と酒が苦手。こいつがいなくてもストーリーには関係ないが、ある意味劇中唯一の善人であるこの男の存在で映画に深みが出ている。
そして、最後には救いようのない苦い苦い結末。
なにより復讐に燃える宍戸錠のタフガイぶり。
必見である。
うちの近所のGEOにあるぐらいだから置いてある店は多いだろう。観てくれ、頼むから。