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『ズーランダー』 スーパー・バカ・モデル伝説

『ズーランダー』(2001) 監督・脚本・主演:ベン・スティラー 出演:クリスティーン・テイラー

おバカ映画との評判だったので興味を引かなかったのだが、観てみるとこれがちゃんとしたバカ映画だった。世間ではバカ映画とおバカ映画を混同されている場合があるが、わたしにとってこれらはれっきとした別物だ。

デレク・ズーランダーは売れっ子の男性モデル。しかし、4年連続の最優秀男性モデル賞を逃してしまい、さらには友人三人がガソリンスタンドでガソリンをかけ合って遊んでいて爆死。失意のズーランダーはモデルからの引退を宣言し、故郷に帰り父(ジョン・ヴォイド)や兄弟と一緒に炭坑で働くことにする。
しかし、ひ弱なズーランダーは炭坑ではまるで役に立たず、酒場のテレビで流れた“人魚の格好をしている”CMを仲間から笑われ、父親からもう戻ってくるなと言われてしまう。
再び、ニューヨークに戻った彼に、トップデザイナー“ムガトゥ”から次のショーでの主役の話がくる。心機一転やりなおそうとトレーニングに入るが、その最中に催眠プログラムで殺し屋に仕立て上げられてしまう。フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの『リラックス』(懐かしいね)を聞くと本人は無意識のままマレーシアの首相を暗殺してしまうのだ。そう、これは最低賃金の引き上げや児童労働を禁止し、ファッション業界の現地下請け企業にダメージを与える首相の政策に反発してのものだったのだ。
果たして、ズーランダーは悪の陰謀に打ち勝つことが出来るのか?

カッコはイイが脳みそは薄っぺらな売れっ子モデルのパロディを演ずるのはベン・スティラー。先日紹介した『ミステリー・マン』で主役の怒りっぽい男を演じていた男だ。割と整った顔立ちなので今回の役もそんなに無理がない。それでいてこの作品では監督・脚本も手がけている。才人なのだ。
ヒロインのタイム誌女性記者役のクリスティーン・テイラーはベン・スティラーの実の妻。この作品の時点ではすでに結婚している。おしどり夫婦なんだろうか。もっとも、芸能界はおしどり夫婦でもすぐ離婚するが。
ライバルモデルのオーウェン・ウィルソンなど脇役やカメオ出演がかなり豊富。
わたしが気がついたのはミラ・ジョヴォヴィッチ、クリスチャン・スレイター、キューバ・グッディング・Jr、ナタリー・ポートマン、レニー・クラヴィッツ、デヴィッド・ボウイ。
それからビリー・ゼイン(『山猫は眠らない』『タイタニック』)もいたが、頭を坊主にしていたのはテレビムービー『インビンシブル』が同時期の撮影だったせいか。なにやら、『コータローまかりとおる!』(1984)の天光寺役のために坊主にしていた大葉健二が特番『宇宙刑事全員集合』に坊主頭で出て来たのを思い出す。
ズーランダー「どうしたの、ハゲちゃって」
ビリー・ゼイン「ハゲじゃない、剃ってるだけだ!」
のやり取りが欲しかったところ。いや、いらないか。

それからの展開も見事にバカで、しっかり笑わせてもらいました。
ラストの敵の攻撃をああやって防ぐとは・・・「マグナームっ!」最強。

残念なのは、失意のまま田舎に帰ったズーランダーに対する家族の対応ぶり。
ズーランダーが炭坑の仕事を満足にこなせないことで距離を置くのはともかくとして、テレビで流れた「人魚の格好をした」CMを仕事仲間に笑われたときには、
父親が「うるさい、わしの息子の仕事を笑うんじゃない!たしかにこいつは筋肉もなく頭も足りない。炭坑じゃクソの役にもたたん。しかし、みろあのテレビのCMを。何十万という人があれを見る、それに対して息子は体一つで頑張っているんだ。もしもまだモデルなんて男の仕事じゃないという奴がいたら俺が勝負してやる」ぐらい言って欲しかった。せっかくジョン・ボイド使ってるんだしさぁ。
でもラストにちょっと見せ場はあるんだけどね。

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