« 『野獣の青春』 ハードボイルドだぜ | メイン | 『Mr.マグー』 無敵のド近眼 »

『座頭市(2003)』 叩っ斬るぜ

『座頭市』(2003) 監督:北野武 出演:ビートたけし、浅野忠信

 『座頭市』と言えば勝新太郎である。勝新太郎と言えば座頭市なぐらいの当たり役だ。
 『座頭市』 (1962~1973、1989)は子母沢寛の原作ということになっているが、実際には随筆集『ふところ手帖』に「天保のころ、座頭の市という盲目の居合い抜きの達人がいた」とたった数行書かれているだけらしい。
 より重要なのは勝新太郎が極悪な盲目の按摩氏を演じた『不知火檢校』(1960)だろう。そのキャラクターに居合い抜きを合わせて生み出されたのが名匠三隅研次の『座頭市物語』(1962)だと思われる。
 なにせ1989年の松竹版を合わせて26本も作られたシリーズであり、座頭市と勝新太郎というのは切っても切れない関係である。その座頭市を北野武はいかに映画化するのか?それが不安ではあった。
 結局武がどうしたかというと、『座頭市』のリメイクしたのではなく主人公の名前と居合い抜きの達人という設定だけを持ってきて、これまでのシリーズとは関係のないまったく新しい映画を作ってしまったのである。つまり過去の作品の延長線上に存在するわけではないのだ。
 だからこそ金髪なのである。「時代劇なのに金髪なんて」と文句を言っていた人もいるが、あの金髪はもちろん意図があってのものなので文句を言う方がアレである。
 勝新太郎の座頭市が坊主頭であったが故にビートたけしの座頭市は金髪でなければならなかったのだ。
「これは『座頭市』のリメイクではなく、まったく別の映画である」という制作側のメッセージを象徴したのがあの金髪なのだ。多分。
 観る前ならともかく映画を観た後でも金髪をあーだこーだと言っている映画評論家はまったくもって“頭が悪い”の一言である。

 『座頭市血煙り街道』(1967)はルトガー・ハウアー主演で『ブラインド・フューリー』(1989)として忠実にリメイクされた。このリメイクは『座頭市』を“現代”の“アメリカ”に連れてくるという大技をもって可能だった。
 だが北野武の『座頭市』はリメイクではない。勝新太郎版とは違う、まったく新しい座頭市なのだ。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.jion-net.com/mt/mt-tb.cgi/3769

コメントを投稿 携帯電話からは投稿出来ません