『ヒルコ/妖怪ハンター』(1991) 監督:塚本晋也 主演:沢田研二、工藤正貴
自主映画『鉄男』(1989)で衝撃的デビューを果たした塚本晋也の初メジャー作品。でもって、今のところ最後のメジャー作品。『双生児』(1999)がどっちだか微妙なところだが、まっ、マイナーだろう。
『ヒルコ』ではニヒルだった稗田礼二郎は頼りなくコミカルなキャラクターになり、主人公は稗田から甥っ子の男子高校生になった。こういった諸星大二郎の原作からの思い切ったアレンジによって、青春ファンタジーホラー娯楽映画となったのだ。
塚本晋也に娯楽映画が撮れるのかとかなり不安な面もあったが、観終わってみるとけっこう心地よく感動しているわたしがいた。
主人公たち3悪ガキにはなにやら青春時代を思い出したし、考古学の知識はすごいのだが実際妖怪に遭遇するとアタフタ慌てふためいてる沢田研二は好演である。猟銃片手の故・室田日出男の迫力はさすが。
古墳の場所が判明するシーンでの視点の移動は何度観てもエキサイティングだ。
うむ、ちゃんと観客を楽しませてくれてるではないか。
マイナーな映画が好きな人は、ハリウッドを始めとするメジャー系の映画を「中身がなく薄っぺら」とか「派手なだけ」と批判する。逆にメジャー系の娯楽映画が好きな人は、マイナーな映画を「難解だ」とか「退屈だ」と批判する。
しかし、本来映画は映画。突き詰めれば単なる傾向の違いだ。
『鉄男』シリーズや『BULLET BALLET バレット・バレエ』などの塚本晋也でなければ撮れないような映画がある以上、別に無理してメジャーな映画を撮る必要はないのだが、肝心の娯楽映画畑の人々がつまらない・しょうもない作品を作ってばかりだとしたら、また塚本晋也に出て来てもらうのも手かもしれない。