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『シリアル・ママ』 コマったヤツらは、皆殺し

『シリアル・ママ』(1994) 監督:ジョン・ウォーターズ 主演:キャスリーン・ターナー

「シリアル・ママ フロム、ニューオリンズ~♪」
いや、あれはルイジアナママか。

バードウオッチングが趣味の善良な母親。しかし、その正体はムカつくヤツらは皆殺しの連続殺人鬼(シリアル・キラー)、その名もシリアル・ママだったのだ。読んでいる本もカバーこそ鳥類図鑑だが、中身はチャールズ・マンソンの写真が載った殺人鬼全集。
例えばレンタルビデオを巻き戻さないで返却する客、駐車場の順番待ちで割り込むヤツ、ゴミの分別をしないヤツ、などなどの困った人々が次々とシリアル・ママの餌食になるのだ。シリアル・ママを演ずるはキャスリーン・ターナー。にこやかに笑いながら本気で楽しそうに人を殺していく。罪悪感の欠けらもなし。
『アニー』の『トゥモロー』が流れる中で子羊(?)のもも肉で殴り殺すところは、『時計仕掛けのオレンジ』の『雨に唄えば』と並ぶ映画史に残る殺人シーンの一つだ。
実はここら辺結構共感するものがあって、わたしも普段の生活の中で遭遇する困った人々にやはりムカつくことがある。こんな時、シリアル・ママがいてくれたらと思ったりもする。もっとも、気付かないうちに自分自身が困った人になっていて、シリアル・ママに殺されちゃってるのかもしれない。
ついに逮捕され殺人罪で起訴されるが、裁判では弁護士を首にすると自ら弁護を始め、あれやこれやで証人の証言をくつがえし陪審員を丸め込んでなんと無罪を獲得。
アメリカの司法制度というのは厳格なのかいい加減なのかよく分からないところがあり、例えばO・J・シンプソン事件にしてもわたしはO・J・シンプソンがやったんだろそりゃと思うが、刑事裁判では最強の弁護団の弁護もあってか無罪になった。逆に今話題のマイケル・ジャクソン事件は幼児がらみの忌み嫌われる犯罪ということで圧倒的不利な状況だ。陪審員に悪い感情を持たれたら難しい裁判になるのだろう。もっとも、陪審員は感情論ではなくきちんと論理的に話し合っているとも聞くが。
「ママが殺人鬼?まさか」と振り回される夫、息子、娘の三人のドタバタぶりも楽しい。裁判所では「ママは無罪だ」とビラを配って訴えるが、いざママが無罪になって家に帰ってくることになると、さてどうしようと困惑する有様。

悪趣味大王ことジョン・ウォーターズが初っ端から「これは実話です」と大嘘をカマすブラックコメディ。
もっとも、ジョン・ウォーターズは『ピンク・フラミンゴ』(1972)こそあまりにもアングラな悪趣味で塗りつぶされていて観客を強く選ぶ映画だったが、それ以降の作品は例えば同じディヴァイン主演モノの『ポリエステル』(1981)や『ヘアースプレー』(1988)などでもヘンな作品ではあるが一般客でも観ることが出来る。
『クライ・ベイビー』(1990)や『I Love ペッカー』(1998)なんかはかなり普通だし。

ともあれ、これだけははっきり言えるとしたら、秋になったのにまだ白い靴を履いてちゃ駄目だ、ってことかな。


*念のため。
シリアル・ママのシリアルはシリアル・ナンバー(通し番号)と同じシリアルで綴りはserial。
コーンフレークのシリアルは綴りがcereal。
最初の文字がsかcかで違ってくる。発音は同じだそうだが。

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