『プリンセス・ブライド・ストーリー』(1987)の原作本 監督:ロブ・ライナー 原作・脚本:ウィリアム・ゴールドマン 出演:ケアリー・エルウィズ、クリス・サランドン
「この映画は面白いよ」とか「この映画はカッコイイよ」など割と無責任なことは普段から言っているが、「こいつは観なきゃ損だ」「ぜひとも観に行け」と映画を保証付きで勧めたことはほとんどない。そんな数少ない“お勧め”の内の1本がこの『プリンセス・ブライド・ストーリー』(原題The Princess Bride)だ。名古屋駅近くの小さな映画館で『ラスキーズ』という映画と2本立てだったと記憶している。
風邪をひいて寝込んでいる少年のもとに祖父がお見舞いに訪れる。おみやげは一冊の本。昔から病気の子供に親が読んで聞かせてきたという本だ。最初は興味を示さなかった少年だが、フェンシングに格闘、拷問に復讐、なにより真実の愛と奇跡についてのお話に引き込まれていく。そして、昔々、まだ剣士や海賊が活躍していて巨人や魔法が身近だったころの物語が始まる。
愛しい恋人ウェスリーを海賊ロバーツに殺されてしまったキンポウゲ姫。数年後、その国の王子との結婚を控えたキンポウゲ姫が巨人と剣士を含めた三悪人に誘拐されてしまう。捜索隊を指揮してその後を追う王子。それとは別に謎の黒装束の男も三悪人に迫る。
追いついてきた黒装束の男に対し、三悪人は剣士イニーゴ・モントーヤが立ち向かう。父親の敵を討つために子供の頃から剣の修行を積んできたイニーゴと黒装束の男との、まるでダグラス・フェアバンクスばりの西洋チャンバラが始まる。そして、一枚上手だった黒装束の男がイニーゴを追いつめる。
だがイニーゴはにやりと笑うと「お前にまだ言ってなかったことがある。俺は左利きじゃないんだ」そして、剣を右手に持ち替えるとさらに鋭くなった動きでたちまちに黒装束の男を追いつめる。
しかし、黒装束の男もにやりと笑うと「俺も言ってなかった。左利きじゃないってね」
クワーッ!シビレる~。もう、個人的ツボにはまりまくった。
その後、キンポウゲ姫を取り返した黒装束の男は実は死んだと思っていたウェスリーで、二人は隣国との戦争に関わる陰謀に巻き込まれ、仲間になった剣士イニーゴや巨人フェジックと一緒に大活躍を繰り広げる。
1987年当時はまだ「ファンタジーは子供向け」という風潮だったが、今ならばちゃんと評価される作品なのではないだろうか。
監督のロブ・ライナーは『スタンド・バイ・ミー』(1986)で有名だが、その前年に撮ったデビュー作の『シュア・シング』、そしてこの『プリンセス・ブライド・ストーリー』(1987)と続けて撮ったこの3作が絶頂期だった気がする。後は落ちる一方で、これには親父のカール・ライナーも困ったモノだと思ってることだろう。
原作のウィリアム・ゴールドマンは『明日に向かって撃て』(1969)や『マラソンマン』(1976)の脚本家として有名な人で、当然この作品でも自ら脚本を手がけている。原作の方は、子供の頃父親に読んでもらったS・モーゲンスターンという作家の『プリンセス・ブライド』を手に入れたウィリアム・ゴールドマンが、父親が子供に分かりやすいように退屈だったり難解な部分は飛ばして読んでいたことに気付き、それではと自らも娯楽抜粋版として『プリンセス・ブライド』を書き直していくというストーリーである。もちろん、S・モーゲンスターンもその著作『プリンセス・ブライド』もゴールドマンが生み出した架空の存在。映画化に際して、主人公を作家から少年に変更したのは妥当だろう。
祖父役はピーター・フォーク。かなり老けたメイクをしているので、当時はすぐにピーター・フォークだと分からなかったが、先日『新刑事コロンボ』をWOWOWで観たらかなり似た感じになっていた。
そして、巨人のフェジックを演じているのが故アンドレ・ザ・ジャイアント。そのまんまなキャスティングだが、さすがにデカい。モサッとしたセリフ回しだったが、役柄に合っていて良かった。
主人公ウェスリー役のケイリー・エルウィズはその後メル・ブルックスの『ロビン・フッド キング・オブ・タイツ』(1993)のロビン・フッド役などでたまに見る。『ロビン・フッド~』劇中で「あっちのロビン・フッド(ケビン・コスナー版)と違ってわたしはちゃんとしたイギリス英語をしゃべる」とか言ってたな。