『野獣捜査線』(1985)のパンフレット 監督アンドリュー・デイヴィス 出演チャック・ノリス
わたしがチャック・ノリスファンになったきっかけがこのアクション刑事映画『野獣捜査線』。
『地獄のヒーロー』は正直ヒゲオヤジがランボーの真似をしているといった感じでピンとこなかったのだが、この作品のあくまでも正義と己を貫くタフガイ刑事にはやられてしまった。
舞台はシカゴ。麻薬を扱うコロンビアマフィアを追うシカゴ警察特捜班。そのリーダーがチャック・ノリス。老刑事が捜査中に犯した不正に関して審問会で証言したためにチャックは裏切り者として警察内部で孤立していく。だが、そんな逆境を物ともせずチャックはただ黙々と悪を追い続ける。賢しげに正義を口にしたり権力に溺れることなく戦うその姿はなるほど“野獣”だ。
全体的にガンアクションが多いが、敵の集まる酒場での30対1の格闘アクション。派手な技はないが地道に骨の髄まで痛そうな突きに蹴りがさすがチャンピオンである。演出いかんでもっと見せ場になっていたのだろうが、これが1985年のアメリカ映画での格闘シーンの限界なのだろう。ボクシング的な殴り合いの演出ならばとっくに形が出来ていたが、空手やクンフーなどの動きが速く足技もあるアクションについてはまだ定着しておらず演出方法も模索中だったのだ。
もちろん、色んな物を積極的に取り入れるハリウッドではその後格闘アクションの分野では飛び抜けた進化をしていた香港映画からキャストやスタッフを引き抜きすでにその弱点を克服してしまっている。自分のところで一から育てるのではなく、すでに技術を持っている者がいるならばそれをヘッドハンティングしてくるというのが実にアメリカ的だ。
1985年のアメリカ映画なりの空手アクションを手がけた監督のアンドリュー・デイヴィスはその後『刑事ニコ 法の死角』(1988)で合気道アクションに挑戦し、引き続きスティーブン・セガール作品の『沈黙の戦艦』の大ヒットで今では一流監督になってしまった。
チャック・ノリスと並んでこの映画を支えているのが悪役コロンビアマフィアのボスヘンリー・シルヴァだ。『シャーキーズ・マシーン』(1982)や『パリ警視J』(1984)などの主役を食ってしまう狂人じみた悪役ぶりはここでも健在。特筆すべきは“コロンビア・ネクタイ”だろう。これは制裁の手段で、相手の喉を切ってそこに手を突っ込むと舌を引っ張り出すという荒技だ。切れ目からぶら下がった舌がまるでネクタイみたいなのでコロンビアネクタイ。うん、これでノーネクタイお断りの店でもOK、おしゃれさん。なんてことはないわけで、普通喉を切られた時点で死んでるな。
そして、ラスト。悪投どもが待ちかまえる倉庫に他の警官の応援がこないまま一人で乗り込んでいくチャック。男だねぇ。いや、正確には一人じゃない。テスト期間中の警察ロボットも一緒だ。(見にくいだろうが写真の左上がそのロボット。人型ではなく自動で動く小型装甲車といったところか)最初は「おいおいロボはないだろロボ」はと思ったが、いったん戦い始めるとこいつがなかなか頼りになる。物騒な昨今、我が家にも一台欲しいところだ。・・・マシンガンやランチャーで撃ち殺しちゃったら過剰防衛かな、やっぱ。
刑事物好きなら押さえておきたい1本。刑事がたむろっているバーに押し込み強盗が入ってくるシーンは爆笑だ。
コメント (2)
アンドリュー・デイビス監督は、セガールとか
アクション俳優をうまく使って硬派な見ごたえのある作品を作るのがうまい人ですね。本日みた「コラテラル・ダメージ」もテロに巻き込まれた被害者の報復を通して、アメリカの横暴さとテロの無情さを含みながら、しっかりとしたエンタテイメントにしたてていてお勧めです。しかし、あんまり反応がイマイチなんですよね。器用な職人監督だと思うのですが、「中途半端」
とののしられたり、「もっと能天気なやつにしろ」とか。ゴダールとか駄作・愚作が連発しても何もいわれないのに・・・
Posted by: ネスカフェ | 2005年10月08日 23:57
日時: : 2005年10月08日 23:57
ネスカフェさんへ
『コラテラル・ダメージ』が興行的に大きな成功を収めなかったためかアンドリュー・デイヴィスは次回作としてファミリーファンタジー映画『穴/HOLES』を撮ってますね。アクションじゃないのに大丈夫かと思いましたがなかなかな佳作です。日本では劇場未公開のビデオスルーでしたが。
ハリウッド映画はなによりもまずビジネスとして成立することが重要ですから失敗した場合の責任が大きいんでしょう。プロデューサーはもちろんですが監督や脚本家も成功すれば次回作でのギャラは大きくなるけれども、失敗すれば干されかねない。
ゴダールも政治色が強い映画や興行が成り立たない映画ばかり撮っていたせいで70年代は干され気味でしたからね。資金を出してくれるのならば相手を選ばなかったのか『デルタ・フォース』コンビのメナハム・ゴーランとヨーラン・グローバスコンビの製作で『ゴダールのリア王』を撮ってますし。
こちらもどうなることかと思ったらゴダール色が薄まっていて意外と普通に面白い作品でした。ゴダールの熱烈なファンは嫌がるかも知れませんが、映画を作るには資金が必要ですからね。税金で好き放題に作れる道路や建物じゃないんだから。ある意味、ゴダール作品ならなんでも許してしまう熱狂的なファンが悪いのかも知れません。時々とんでもない駄作を出してくるところがゴダールの魅力だと反論されるかもしれませんが。
失敗に一番甘いのが日本映画なのかも知れません。ヒット作を作ってもさしてギャラは増えなさそうですが、その分失敗作を作っても責任をさして問われない。
本来は失敗したらやはりだれかがちゃんと責任を取るべきでしょう。じゃないと失敗がうやむやになってまた同じような失敗作が作られる。
昨年は古いアニメやコミックの映画化が流行でしたが『キューティーハニー』にしろ『鉄人28号』にしろ、もちろん『デビルマン』にしろ失敗作ばかり。それぞれの作品の製作者や監督はちゃんと責任を取ったのでしょうか?
『キューティーハニー』の庵野は実写で3本撮っていますがどれもこれもクズでした。実写での監督生命は絶たれたと思っています。これで4本目を撮ったら庵野というより日本映画界に怒りますよ。
『デビルマン』の那須も監督生命を絶たれべきだと思いましたが、それ以前の根本の生命を絶たれてしまいましたな。さすが不謹慎か、合掌。
Posted by: 東森時音 | 2005年10月09日 00:44
日時: : 2005年10月09日 00:44