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『ロープ』 80MINUTES

『ロープ』(1948) 監督:アルフレッド・ヒッチコック 出演:ジェームズ・スチュアート

 24時間の出来事をリアルタイムに描いたTVムービー『24 TWENTY FOUR』が話題になっている。さすがに24時間というのは映画では無理だが、作中の時間と上映時間がシンクロしている作品には『真昼の決闘』(1952)、『ニック・オブ・タイム』(1995)などがある。
 アルフレッド・ヒッチコックの『ロープ』(1948)はそれらリアルタイム映画の先駆けであるが、ヒッチコックだけあってただ単にリアルタイムなだけでは終わらせない。

「優れた者は劣った者を殺してもかまわない」という論理(ニーチェの超人思想)で知人を“ロープ”で絞殺した二人の青年。そして、殺人の彩りとして死体を衣装箱に隠したままの部屋に人を招き小さなパーティーを催す。だが、来客者の大学教授(ジェームズ・スチュアート)は二人の言動の小さなほころびから犯罪に気が付いていく。
 殺人の光景から結末までの80分全てがアパートの一室で起こり、しかもそれがたった3カットの長回しで語られる。実際には長回しは機材の関係で最長でも8分までで、カットの変わり目になると人がカメラの前を横切るなどしてレンズを塞ぎ、フィルムを入れ替えると再びそこからスタートする疑似1カットを使っている。その手法を使えば全編1カットも可能だったろうが、ジェームズ・スチュアートが二人の言動に始めて違和感を覚えたシーンと、青年が拳銃を取り出すシーンではクローズアップでカットを割っている。やはり映画を知り尽くしているヒッチコックにとって、そのシーンに最も適した演出としてカットを割るという欲求に耐えかねたのだろう。

 オーソン・ウェルズ以降の近代映画に於いては、作中の時間の進行は制作者の自由になった。カットが変わった途端10年後あるいは10年前になることも当たり前だ。『市民ケーン』(1941)や『パルプ・フィクション』(1994)の自在な時間軸は映画ならではの表現だ。
 そういった意味に於いて、リアルタイム進行や長回しという演出が非映画的でありうるということを逆説的に示したのが『ロープ』なのだろう。

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