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インディはきっと苦手

 家から歩いて10分ほど行ったところに五叉路の交差点がある。
 道のうち一本が斜め鋭角に入り込んでいるために家を建てるとかの実用にならない土地がありそこがちょっとした花壇になっている。色鮮やかな花が目を癒やしいわゆる都会の(いや田舎だが)オアシスである。
 しかし、何故に名前が“蛇渕花壇”なのだろうか。

 花壇の名前としてはかなり「付けちゃいけない度」が強いように思う。
 一歩足を踏み入れるとマムシがグワッッ!もう一歩踏み出すとハブがガプリッ!それでも進むとパイソンがギリギリッ!
「だから花壇に入っちゃダメと小学校で言われたでしょ」
 なるほど。いや、そういう問題ではないが。
 ここら辺が蛇渕という地名なのかと思ったが、交差点の名前は”祠峰2”。地図でも祠峰。うーむ、そういえば花壇の向こうは池になっているがひょっとしてあれが蛇渕池だろうか?ってんで行ってみると鹿狩池。鹿と蛇とでは足の数からして違う。
 結論から言えば“蛇渕花壇”の名前の由来は分からなかったのだが、一つ推測するにこの花壇はおそらく歩道ではなく私有地。もしかしたら地主の名前が蛇渕さんなんじゃないだろうか。蛇渕さんちの花壇なんで蛇渕花壇。しかし、生まれてこの方まだ蛇渕という名字の人に会ったことがないのも事実。念のため「蛇渕」で検索・・・・・・「知多郡武豊町 蛇渕の天気」ぃ?ちょいと待て、地名なのかぁ?「この地域の地図を表示」ってのがあるな。ポチッっと。
 で、表示されたのはやっぱ祠峰の地図。家の地図と同じで蛇渕なんかないぞ。あっ、でも郵便番号だとあるんだな。〒470-2328、へびぶちじゃなくてヂャブチって読むのか。

 どうも、ぐるぐる回ってばかりで先へ進まなくて申し訳ないが、とりあえず地名であることが判明。一つ分かれば後は調べるのも楽で、「平成6年(1994)の区画整理により蛇渕は字名地番変更」したとのこと。10年も経つのに郵便番号は現行として残っているのがややこしいが、おかげで謎が解けたとも言える。
 蛇渕(ヂャブチ)という字面も音の響きもちょっとアレなので時代の流れの中に消え去ってしまったのだろう。今では花壇を残すのみ、か。

 宮城県桃生郡桃生町樫崎字取首畑というところが、「首を取る意味の字名は縁起が悪く、新時代に向けてイメージチェンジを図ろう」と“取首”を“取久美(とりくび)”に変更して欲しいと要望を出しているそうだ。やはり、そこに住む住民の意見が尊重されるべきで遠く愛知県のわたしが「地名も一つの文化遺産」だとか「地名なりの歴史がある」なんて言うつもりはない。
 ただ、もし交差点の脇に“取首花壇”があるなら、わたしみたいな暇人が通りかかって、花壇に“取首”はないだろうと調べ始めるかもしれないんで、その名前だけはそのままにしておいて欲しいものだ。

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