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ほぼ殺され損 『八つ墓村』

 なにも風邪でダウンしている時に読まなくてもいいじゃないかとも思うが。

『八つ墓村』 横溝正史 角川文庫

 推理小説の名探偵は、殺されるべき人間が一通り殺され終わって事件もほぼ終わりになってからようやく真犯人を見つけだす連中である。正直、あまり役に立っているとは思えない。金田一耕助なんてのはその代表格で、ようやく真犯人を推理するが(もっとも、その頃には生き残っている人間はかなり減っているので当てずっぽうでも結構当たるんじゃないかって気がする)たいていの場合犯人に自害されてしまう。探偵駆け出しの頃だけならまだしも、何度も同じ失敗を繰り返す。ちったぁ学習しろ。

 八つ墓村では時折主人公である青年の前に現れ、なにやら意味ありげなことを言っては去っていくのだが、その助言(?)はまるっきり役に立たない。
 何しに出てきたんじゃお前は。
 主人公は幾度も恐怖を味わったり命の危険にさらされ、そしてついに事件は解決する。その解決に金田一はほとんど役にたっていない。
 だから、何しに出てきたんじゃお前は。
 「名探偵、皆を集めてさてといい」という言葉があるが、この小説にもラストに金田一による謎解きがある。
 金田一いわく、
 「ところで、それでいて私は最初から、犯人を知っていたのですよ」
 知ってたんなら早い内になんとかしろ。被害者、ほぼ殺され損。しかも、金田一に反省の色なし。
 やっぱ、何しに出てきたんじゃお前は。

 やはり、名探偵は金大事包助か早乙女ボンド之介に限る。

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コメント (2)

けん:

八つ墓村は別に金田一じゃなくてもいいですよね。大好きな作品です。

東森時音:

けんさん
あれは推理小説と言うよりも、映画でショーケンが演じた青年を主人公とした冒険小説ですよね。そう思えば、地下洞窟のシーンなんか実に面白い。

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