« 2003年10月 | メイン | 2003年12月 »

2003年11月 アーカイブ

2003年11月03日

ぎらっぎらっ

 昨日のWOWOWで『スパイダーズ』(2000)、『スパイダーズ2』(2001)、『スパイダーマン』(2002)、『スパイダー』(2001)を4連チャンで放映していた。
 巨大生物パニックとアメコミヒーロー物とサイコスリラーではタイトルに“スパイダー”が入っている以外に共通項がないが、だとしたらずいぶん安易な気もする。
 どうせなら『ザ・スパイダースのゴーゴー向う見ず作戦』(1967)もやってほしかったぞ。しかし、イカすタイトルだよなぁ~。

 イカすといえば宍戸錠の『早射ち野郎』と『ろくでなし稼業』なんかも衛星で放映されたりしてて。んもぉークール。SuperCool!
 最近再評価の動きが高まっている石原裕次郎も悪くはないが、彼はナルシシズムが露骨に見え隠れするので好みじゃない。
 小林旭って人は、そんなナルシシズムをある意味超越している存在だ。根っからのスターなんだろう、きっと。

 それからジェリー藤尾の『地平線がぎらぎらっ』(1961)。聞いたことのないタイトルだなと思ったら、なんと“新東宝”作品。
 新東宝とは東宝が労働争議でもめてた時にいわばどさくさ紛れに誕生した制作会社で、最初はそれなりの作品も創っていたのだが、途中からは“エログロ”という今ではある意味こっ恥ずかしい路線中心に転向し62年に倒産して約15年の歴史に幕を下ろしたという、ま、正直知っていなくても特に問題のない映画会社です。
 しかし、この『地平線がぎらぎらっ』はイカしてました。まず、ジェリー藤尾がいい。チンピラ役なのだが、実にふてぶてしい感じが様になっている。
 それにその彫りの深い顔。日本人じゃなくて欧米系ですよ。そう、例えるならば・・・う~ん、『底抜け大学教授』(1962)で薬を飲んでカッコ良く変身したジェリー・ルイスにそっくり。
 はっ、ジェリー藤尾のジェリーはひょっとしてジェリー・ルイスのジェリーかっ?・・・違うだろうなぁ。
 あと、役名教授の天知茂もいい。
 ぎらっぎらっ、地平線がぎらっぎらっ
 この意味が実は・・・なんだ。

2003年11月04日

See You Next Wednesday!

「次の水曜日にお目にかかりましょう」

 「See You Next Wednesday!」といえば、ジョン・ランディス作品の多くに登場するキーワードである。
 『ブルース・ブラザース』(1981)では看板の中に、『狼男アメリカン』(1981)では地下鉄の壁に貼られたポスター、『スリラー』ではマイケル・ジャクソンと彼女が観ているホラー映画のセリフとして登場する。
 しかし、何故ジョン・ランディスは「See You Next Wednesday!」という言葉にこうもこだわるのだろうか?

 その理由はある意味明日分かる。
 明日11月5日の水曜日は『マトリックス レボリューションズ』(2003)の封切り日なのだ。
 普通、映画の封切り日は土曜日だ。では、何故『マトリックス レボリューションズ』は水曜日?奇をてらったのか?
 実は、アメリカでは水曜日が初日ということが多く、世界同時公開と言うことで日本も水曜日に合わせたわけである。
 映画少年だったジョン・ランディスは、通い詰めた映画館でいくつもの予告編を観てきたことだろう。そして、その予告編の多くが「近日公開!」といった意味合いでラストに「See You Next Wednesday!」と入っていたのだ。特に週替わりの連続活劇は「続きは次週」というあおり文句だと思われる。そのあおり文句に心躍らせた彼は、自分で映画を作るようになった時に、一種の署名として「See You Next Wednesday!」を入れることにしたのだ。アルフレッド・ヒッチコックが自作に1カット出演していたのと同じ理由なのだろう。
 M・ナイト・シャマランも自作に出演してるが、あれは違う。ああいうのは、単に厚顔無恥という。

2003年11月10日

爆笑CD ウルティメイト・ベシャリストCLASSICS

  以前作った“真心ブラザーズ”のmp3が、どうゆうわけかiTunesで鳴ってくれない。しょうがないので、アルバムをiTunesでACCに変換してみることにした。
 『B.A.D』のCDをドライブにセットする。なにやら勝手にインターネット経由でサーバにアクセスしている。むむ、アクセスするならするとわたしに一言断れよと思った瞬間、アーティスト名・アルバム名・曲名が表示された。しかも、日本語。くわっ、昔CDDB(CDデータベース)を使った時はローマ字だったぞ。
 あとは、変換する曲を選択してメニューから「AACに変換」を選ぶだけ。10分もすると全曲分の日本語ファイル名ACCファイルができあがっていた。
 うーむ、楽。ここ数年でここまで進歩していたか。

 普段からmp3などに変換していた人には当たり前なのかも知れないが、わたしにはちょっとした驚きであった。
 しかも、「こいつはさすがに無理だろ」と思って試してみた『ジス・イズ・ミスター・トニー谷』*1や『ウルティメイト・ベシャリストCLASSICS』*2までちゃんとデータがありやがるのだ。
 もちろん、これはiTunesではなくCDDBのデータ量がすごいのだが。

*1:トニー谷の代表曲を集めたアルバム。トニー谷は1950年代に一世を風靡した芸人。在米日系人二世の真似をしてエセ英語(トニイングリッシュ)をしゃべるまくるというかなりイカれた芸風。「さいざんす」「レディースアンドジェントルマン、アンドおとっつぁん、おっかさん」などの流行語を生む。
 「あなたのお名前なんてぇの」というのもトニー谷だが、これは一度人気が落ちて消え1960年代になって復帰してからのギャグ。復帰したものの、結局しばらくして姿を消した。時代のあだ花のような人だったのだろうか。詳しく知りたい人は小林信彦氏の『日本の喜劇人』を読むことをお勧めする。
 1987年没。

*2:わが心の師であるつボイノリオの『きわめつけ!!お万の方』や笑福亭鶴光の『うぐいすだにミュージックホール』、大屋政子の『政子ちゃん音頭』など全13曲が収録された、かなり“アレ”なアルバム。いったいどうゆう購買層を狙ったのか?謎である。

2003年11月15日

許すまじフランク・ダラボン


 わたしぁねぇ、絶対に許しませんよ。ええ、誰がなんと言おうと許すもんですか。
 世の中、やっていいことと悪いことがあります。この作品では一つ、とても大きなやってはいけないことをこれ見よがしにやっています。
 わたしぁねぇ、それがどうしても許せんのですよ。

 ハリウッド最大の汚点であるレッド・パージいわゆる“赤狩り”を扱っておきながら、なんのことはない甘ったるいファンファジーにすぎない。
 なら、赤狩り持ち出す必要ねーじゃん。
 映画の中に題材として赤狩りを持ち出したんなら、もっと腹くくって正味を描けよ、正味を。
 描けないってんなら、はなから持ち出すなっつーの。別に主人公は若手の脚本家じゃなくて普通の犯罪者でもいいじゃん。

 先日亡くなったエリア・カザンだが、赤狩りの最中に自分及び数名の映画人が共産党員であることを告白することでハリウッドに生き残った。エリア・カザンは紛れもなくゲス野郎だが、誰も好きこのんでゲス野郎になったわけでもなかろう。ヤツなりに映画を取るか捨てるかにおいて苦渋の選択による告白ではあったのだ。もちろん、そのとばっちりで映画界から追放された相手はたまったもんじゃないが。
 主人公はエリア・カザンと同じ選択を迫られる。
 で、悩むか?苦しむか?
 んにゃ。独りよがりな演説で万事解決。
 と思わせておいて一ひねりしたが、結局『幸せの黄色いハンカチ』で終わる。
 映画を捨てて女の待つ田舎に逃げましたか。なんじゃそりゃ。
 ラストで薄っぺらな感動に逃げても、誰の痛みも消えないっつーの。
 あー、もう『ニューシネマ・パラダイス』と(1989)並ぶ“嫌悪すべき作品”だな、こりゃ。

 いっそのこと、こういうストーリーにしちゃえ。
「ある日、海辺に一人の男が倒れていた。男は以前の記憶をすっかり失っていた。一人の老人が男を指さして叫ぶ。「彼は“若人あきら”だ!」・・・しかし、彼は次第に記憶を取り戻す。そう、彼の本当の名は“我修院達也”・・・」

 同じような傾向の作品として、アメリカ球史最大の汚点『ブラックソックス事件』を扱いながら、「それを作れば彼がやってくる」てな具合にファンタジーにしてしまった『フィールド・オブ・ドリームス』(1989)があるけど、こっちはありだと思う。
 作品としての出来がってことじゃなく、題材はあくまで“野球”だから観るにたえるってことで。
 “映画”を題材にした“映画”をちゃんと撮るにはキレ者でかつヒネクレ者にやらせないと。
 ダラボンじゃとてもその器じゃない。

 やっぱ、わたしはフランク・ダラボンって駄目だわ。
 「ふーん」の『ショーシャンクの空に』(1994)、「あーな」の『グリーンマイル』(1999)だもんなぁ。
 この人ってひたすら二流の監督なんだと思う。でもって、この二流の監督ってのが一番始末に負えないんだわ。
 面白い映画撮るのは一流か三流の監督。二流は生真面目なのが取り柄の凡庸な監督。
 まぁ、WOWOWにて初見なのでせめて被害が少なかったか。劇場で観てたら憤死だぞ。