BS2で放映された『忍者秘帖 梟の城』(1963)を観る。
決して大作とはいえないが、きっちり楽しませてくれるのがうれしい。
忍者二人が寺の階段に忍び装束のまま座って世間話をしている(いや世間話ではないのだが)シーンなどなかなかのん気っぽくてよい。
ほぼ無音のまま繰り広げられる伊賀忍群と甲賀忍群の戦いがその静けさのためにかえって迫力である。
忍びだけあって走る足音すらほとんど立てないし、やられても大げさな悲鳴なぞあげずに死んでいく。
天下統一を果たした豊臣秀吉を討つ決意をした一人の忍びと、それに関わるさまざまな人々の群像劇。
そして、ついに秀吉の首に刀を突きつけながらも、それが再び戦乱の世を招くことに気づき、殺さぬまま去る。
むむっ、これはまるで「HERO-英雄」ではないかっ!
パクッたな工藤栄一っ!いや、時間軸的には逆か。
しかし、篠田正浩は自作『梟の城』(1999)を撮る前にこの作品を観たのかね。
もし観てたとしたら、これ以上のものは作れませんって辞退しようとは思わなかったのか。
それとも、完成した後に観たとしたら自分のフィルムを切り刻みたくはならなかったのか。
『忍者秘帖 梟の城』を傑作というつもりはない。
しかし、篠田の方は同じ小説を原作にしておきながらよくもここまで・・・
と一種あぜんとしてしまう作品であった。
ようやく引退したようでなによりである。