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なぁ桂馬、ひょっとして・・・

  ラグナロクオンラインはあっさり挫折してしまったわたしだが、MMOゲーム(大規模多人数オンラインゲーム)にはまだ興味がある。
 ネットワーク上に一つの世界があって、そこにいるキャラクターたちは誰かの分身で、自分もそこで冒険したり商売したりというのは面白そうだ。
 重要なのは世界観と細部のディテールだと思うのだが、ラグナロクの場合そこにわたしが馴染めなかった。
 何か面白いのないかなと思って探してみたが、正直どれも似たりよったりだった。

 でも、実は私たちの暮らしているこの世界が、より上位の世界によって作られたMMO世界で、わたしたちはそこの人々に操られているだけだったりして。
 映画『マトリックス』シリーズにもちょっと似てますが、あちらはコンピューター上の仮想現実であるマトリックスにその人間の人格そのものが暮らしているのでちょっと違う。
 MMOの場合は、育て方と間違えたからとあっさり削除されてしまったり、プレイヤーが飽きて途中で止めてしまわれたりします。
 いや、プレイヤーキャラならまだいいんで、実はNPC(ノン・プレイヤーキャラクター)だったりするとかなりイヤです。

 そういえば、フレドリック・ブラウンの短編に、騎士や僧侶そして女王などが敵と血みどろの戦いを繰り広げていて、最後には地面がグラグラっとして傾いたなと思ったらみんなチェスのコマの箱に落ちていくというのがありました。
 現実の戦いだと思ったら実はチェスだったってことです。
 なかなか「うむむ」とうならせる出来なのですが、騎士にナイト、僧侶にビショップなどとフリガナが振ってあるので序盤ですでにオチが読めてしまうのが難点です。
 『糸井重里の萬流コピー塾』(*)の“将棋”の回では、「なぁ桂馬、ひょっとしてこんなことは全部ゲームじゃねぇのかな」という名コピーがありました。(記憶で書いてますので細かい点が違ってるかも知れませんが)フレドリック・ブラウンが数ページを費やしたテーマを、たった一行で表現してしまうとはさすが俳句の国の人です。
 しかし今の糸井重里には、なんかバス釣ってる人っていうイメージしかないですね。コピーライターという本来は裏方の職業に異様な注目が集まったのも、今思えばバブルのせいだったんですかね。いや、知らんけど。

*コピーライター糸井重里が週刊文春で1980年代半ば~後半にかけて連載していた読者参加コーナー。通称、糸萬ピ。
 家元糸井重里が提出したお題(“将棋”、“烏龍茶”など)にコピーを募集し、読者がハガキで応募する。送られてきたコピーに対し餅(0点)、毒(0.5点)、梅(1点)、竹(2点)、松(5点)の順で点数が付く。「なぁ桂馬~」のコピーはもちろん松。
 わたしが読み始めたのはおそらく病院の待合室などで週刊文春を手に取ったのが最初。以降、高校生なのに週刊文春を購読していた。

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