ダニー・ボイルの『普通じゃない』は、掃除夫ユアン・マクレガーと大会社の社長令嬢キャメロン・ディアスを愛で結びつけるために、天国から男と女の二人の天使がやってきてあれこれどたばたするという映画である。その天国なのだがセットの造り自体はどこぞのオフィスなのだが、天国だけに壁も白、床も白、天井も白、家具も白、机の上の文房具も白なら天使達の服もぜ~んぶ白。とにかく真っ白けのけなのだ。
パナウェーブの人たちにとってはきっとさぞかし天国に思えるんだろう。いや、もともと天国か。
『ザ・ビーチ』の大コケいらい音沙汰がないダニー・ボイルだが、元気にしているのだろうか。『ザ・ビーチ』は酷評している人が多かったようだが、第一作の『シャロウ・グレイブ』以来、一貫して“疑似ユートピアの形成とその崩壊”を描いてきたダニー・ボイルにとって(『普通じゃない』は疑似ユートピアの形成までで終わっている。愛で結ばれた二人がその後どうなったか観客はうかがい知ることが出来ない)当然『ザ・ビーチ』はあのようになるべきであって、事実その通りになったのだけのことだ。(脚本はずっと同じジョン・ホッジという人が書いているので、同じような傾向が見られるのかもしれない)
夢とか愛とか友情などの幻想を基本的に信じていない人なので、ハリウッドの大作には向いていないのかも知れない。日本でもオシャレな人たちを中心にウケた『トレイン・スポッティング』だって、実は人間不信と自己嫌悪の塊だぞありゃ。でも、まぁそれなりにやっていくでしょ。なんってったってイギリス人はしぶといから。